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2023.01.12
ペット栄養管理士が答えます。キャットフード選びの一問一答~フード選びの基本編~
猫の健康のために食事の知識を深め、しっかり吟味した上でフードを決めたい、と思う方が年々多くなっています。
でも、調べていくと「これって本当?」と思うような疑問も増加傾向に。インターネット上には説明が分かりにくかったり、専門的な言葉で難しい印象を与える情報も多いですよね。
そこで、今回はtamaのペット栄養管理士がこれまでご紹介してきた記事も交えながら、キャットフード選びを始める時に知っておきたい情報を"一問一答"形式でご紹介いたします。
より深く知りたい!と思ったら、ぜひ他のコラムも参考にしてみてくださいね。
Q1.キャットフードを探す時にチェックしておくべきことは?
A:なぜ新しいキャットフードを探すのか、という目的をはっきりさせておくと役立ちます。
フード探しを始める前に、フードを変更する目的を整理しましょう。
目的がはっきりすると、迷った時にどのような点を重視してキャットフードを選ぶべきかが分かりやすくなります。
だいたいで構いませんので、フードを変えようと思った理由を書き出してみてください。以下に代表的なキャットフードの切り替えを検討するときの理由を挙げてみました。
・食いつきが悪くなった
・下痢・便秘などお腹の調子が安定しない
・皮膚のかゆみや赤み、脱毛が気になる
・腎臓病などで食事療法食を与える必要が出た
・ダイエット、体重管理が必要
・高齢になり、健康診断や日頃の生活の中で衰えを感じるようになった
・食物アレルギーが気になる
などなど…。
それぞれの悩みごとに注目するべきキャットフードのタイプが変わってきます。
たとえば、食いつきが悪くなったことが気になったのであれば、嗜好性が高い生肉などの原材料を使用しているフードを候補に入れてみたり、tamaのサイトのランキングを参考にしてみてはいかがでしょうか。
具体的なお悩みがなく、新しいキャットフードを探したいという方もいるかもしれません。その場合には、猫が気に入ってくれるかどうかをチェックするために、tamaのトライアルセットを試したり、少量サイズのフードがあるかどうかをチェックすると良いかもしれません。
動物病院などで療法食を処方されているのであれば、まずは指示通りの療法食を与えることをオススメします。
その後体調が落ち着いたり、次の検診時に動物病院で他のフードの種類はないか相談してみてください。
なかなか整理ができない…という時は、tamaのコンサルティングサービスにお気軽にお電話かメールにてご相談ください。担当のスタッフがお話を伺いながら、一緒にフード探しをお手伝いさせていただきます。
Q2.グレインフリー、グルテンフリー、ミートミールフリー…これらの意味って?
A:それぞれ、穀物不使用、穀物に含まれるグルテンと呼ばれるタンパク質不使用、ミートミール不使用、という意味です。
勘違いしやすいのですが、グレインフリー、グルテンフリーそしてミートミールフリーはそれぞれ別の評価軸です。(プレミアムキャットフードではいずれも同時に満たしているものも少なくありません)
■グレインフリーについて
グレインフリーとは、「穀類不使用」という意味です。そのため、グレインフリーと表記されているキャットフードには、米や小麦、とうもろこしなどの穀物が一切入っていません。
グレインフリーは本来、肉食獣である猫の食性を考えた場合、自然に近い食事が猫にとって理想的。という考えの元、生まれたレシピのひとつ。
肉食獣である猫はタンパク質からエネルギーを得るのが得意なので、人間ほど、炭水化物はエネルギー源として重要な栄養ではありません。
そのため、穀類そのものを除いたフードであっても猫にとって必須の栄養素はすべて摂取できますので、栄養面で穀物を抜いたとしても穀物入りのものと比較して劣ることはありません。
■グルテンフリーについて
グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦などのタンパク質の一部(グルテニンとグリアジン)が水と結びついてこねられてできる網目状の成分のことで、グルテンが一切含まれていないフードがグルテンフリーのキャットフードです。この独自の構造のために、グルテンはうどんのコシやパンをふっくらと膨らませるために必要不可欠の存在となっています。
グルテン自体は猫にとって特別な毒性を持っているものではありませんし、避けるべき食材というわけではないのですが、食物アレルギーの問題を考えたとき、タンパク質である以上アレルギーを引き起こす原因=アレルゲンになる可能性があるほか、アレルギーでなくても体調に影響する可能性があります。
すべてのタンパク質は同じようにアレルゲンとなる可能性があるのですが、グレインフリーの項目でもご紹介した通り、健康的な猫にとって穀物は「必要不可欠」なものではありませんし、ほかの食材で十分に栄養を補うことができますので、"わざわざ穀物・グルテンを含む食事を与える必要がない"という考え方をするメーカーが多いようです。
■ミートミールフリーについて
チキンミールに代表される〇〇ミールとは、家畜を食肉に加工する際に出る、主に可食部の肉を取り除いた残りを集め、さらに脂肪分を取り除いてから乾燥させたものになります。チキンミール以外にも乾燥チキンやディハイドレートチキンという名前で表示されることもあります。
ミートミールフリーと表記されているキャットフードでは、こういったミートミールを一切使用していないフードということになります。
ミールを使用せず、タンパク源としてフレッシュな生肉やジャーキーなどを使用しているフードは、嗜好性も高い傾向にあります。ただし、ミールを使用せずに作ったフードはどうしても原材料費が高く、価格も効果になりやすいです。
一方、ミートミールは価格が安く安定していますので、手に取りやすい価格のフードを作るために広く使用されています。
また、ミートミールは生肉と比較して品質や栄養バランスが安定しており、一定の栄養価を守る必要がある療法食などでは「あえて」ミールを使用するケースもあります。
ちなみに、キャットフードの栄養基準を作っているAAFCO、FEDIAFの2つの機関ではミールの呼び方のルールが異なっています。
AAFCOでは、「鶏肉=チキン」は「チキン」、「チキンミール」は「チキンミール」、など原材料の表記に細かい表記義務が定められています。
一方、FEDIAFでは原材料に「チキンミール」を「乾燥チキン」や「ディハイドレートチキン」「チキンプロテイン濃縮物」と表記することが許されています。
※よく勘違いされることなのですが、チキンの場合内臓や頭、脚などが含まれたものはチキンバイプロダクツミールであり、チキンミールとは表記できません。
■グレインフリー、グルテンフリー、ミートミールフリーなら良いフード?
グレインフリー、グルテンフリー、ミートミールフリーといったキーワードは、そのキャットフードがどのような考えに基づいて作られているのかを示す一つのアイコンです。
「良いフード」「質が悪い」とこれらの情報だけで判断することは難しいです。猫の健康維持のためのフード選びを行って行くためには、これらだけではなく、お悩みも踏まえてもう少し情報が欲しいところ。
猫の体質によっては、あえて穀類を使用しているフードが合っている子もいます。
この辺りは、フードを与えてみて猫の体調にどんな変化がみられるか、ウンチの状態はどうか、食いつきがどうか、家族ならではのチェックポイントで見ていくことが最も重要といえるのかもしれません。
Q3.これって猫の食物アレルギーの症状?猫のアレルギーってどんなもの?
A:猫の食物アレルギーでは、皮膚などのかゆみ、脱毛、下痢や軟便が比較的よくみられるケースです。
まず、猫の食物アレルギーでは、人間のような命に係わるほどの強いアレルギー反応がみられることはほとんどありません。
猫がかゆがっていたり、同じような場所を繰り返し舐めるなどの行動を見せると、アレルギーを疑ってしまう方は多いと思います。
ですが、人間のアレルギーとは違い、複数の食材を組み合わせて作るキャットフードを主食としている猫の場合、アレルギーの元となる食材を特定することはとても難しく、非常に根気のいる作業になります。
どうしても、直前に食べたものをアレルギーに結びつけてしまいやすいのですが、猫の食物アレルギーと疑わしい症状はアレルギー以外でも起こるもので、パッと見ただけでは原因を食物アレルギーだと判断することは難しいです。
猫のかゆみ、皮膚のトラブル、脱毛、下痢や軟便などが見られたら、まずは動物病院で相談をして、適切な方法で原因を探ってから、食事や生活を改善していくことをオススメします。
★獣医師による猫の食物アレルギーについての解説
猫の食物アレルギーとは?症状や対策など獣医師さんに聞いてみました。【#獣医師コラム】
Q4.キャットフードの総合栄養食、間食・おやつ、療法食それぞれの違いって?
A:栄養バランスや目的によって名称が異なります。
■総合栄養食とは
猫が健康的に生活していくために必要とする栄養成分は、たくさんあります。世界にはそれらの猫の栄養学を研究し、栄養基準を定めている機関として、全米飼料検査官協会(AAFCO)や、欧州ペットフード工業会連合(FEDIAF)などの栄養基準局があります。
これらの機関が定めている栄養基準をクリアしたものが、総合栄養食と呼ばれていて、猫が1日に必要としている栄養をすべて含んでいることが特徴です。手軽に猫にとって必要な栄養を取り入れることができることから、主食として与える方が多いフードの一つです。
■間食・おやつとは
間食・おやつと表記されていたり、猫用スナックなどのように表記されているものもあります。これらにはその名の通り、猫にオヤツとして食べさせるものとして作られているものが含まれます。
手軽に与えられる一口タイプのスナックやビッツ、チーズ、ピューレタイプのオヤツなどが含まれます。
■療法食とは
療法食と呼ばれるキャットフードは、特定の病気などの治療に役立てるために作られているということが最大の特長です。
特に猫の腎臓病や食物アレルギー、消化器系の病気、ストルバイト結石など普段の食事から特定の栄養などに制限が必要な病気に使われます。
ただし療法食は総合栄養食のような明確な栄養基準はなく、中には意図的に猫にとって本来必須の栄養の一部を制限しているものもあり、健康な猫に与えると栄養が不足してしまったり、逆に過剰になってしまうことでかえって体調を崩してしまう場合もあるので、療法食を与えるか、そして継続して与えるかどうかの判断は獣医師が行うことが基本です。
また、基本は動物病院で指定されたフードを与えることですが、猫がどうしても食べてくれないなどの場合には、よく成分や原材料をチェックして動物病院に療法食の切り替えを相談してみるのも一つの方法です。
★キャットフードの種類についてもっと深く知る
総合栄養食、間食、療法食とは?キャットフードの表記の違いを改めて調べてみよう
おわりに
今回は、キャットフード選びを始める時に多く聞かれる質問について、ご紹介いたしました。
猫と一緒に暮らすようになって長い、という方でも「そういえばこれってなんだっけ?」「何が違うんだっけ」と思うこともあるかもしれません。そんな時に参考にしていただけると嬉しいです。
キャットフード選びをするうえで分からないことや困ったことがある場合には、コンサルティングサービスもぜひご活用ください。