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2024.12.05
サインはあるの?高齢猫の認知症を防ぐための食事とケアについて考えてみた
猫たちも、人間と同様に高齢になると認知機能が低下してしまい、いわゆる「認知症」になってしまうことがあります。そのことに気が付くきっかけはさまざまですが、「最近、うちの猫の様子がおかしい…」と、長く一緒に過ごしてきた猫の変化に戸惑う方も少なくありません。
今回は、高齢猫にたびたび見られる認知機能が低下し始めたときの初期症状やサインや猫の認知機能の健康維持を意識した食事管理についてご紹介します。
猫の寿命が長くなればなるほど高くなっていく認知機能の低下のリスク。ずっと元気でいてもらうために、知っておきたい情報をまとめてみました。
高齢猫の認知症とは?初期症状と見逃してはいけないサイン
猫の認知機能が低下し始めると、行動にさまざまな変化がみられるようになってきます。
程度にはもちろん違いがあると思いますし、暮らしている環境によって現れ方にも差がありますので、一つの指標としてチェックしてみてください。
・季節に関係なく明け方、夜中に大声で夜鳴きをするようになる
・いつもと違う場所でトイレするようになる
・落ち着きがなくなり、同じところをうろうろする
・家族や同居猫に怯え、攻撃的になる
・刺激に対して鈍くなる、または過敏になる
・昼夜問わず、1日中寝てばかりいる
・食欲が異常に旺盛になる
認知機能が低下した猫との暮らしに多いお悩みに、「夜鳴きがひどく、ご近所に迷惑になるのではと心配になる」というものがあります。
それまでできていたことができなくなったり、理解できないことが増えて、猫自身も不安や心細い気持ちになり、それがストレスとして蓄積して夜鳴きの理由になっている可能性も。
そのため、猫を安心させ、リラックスして過ごすことができるような環境づくりをすることも大切です。
それでも夜鳴きが続き、改善されない場合は体に痛みが発生しているなど、ほかの病気の症状である可能性もあるため、動物病院で相談するようにしてください。
それから、猫の認知機能が低下し始めたことで、それまでトイレを失敗したことがなかったという子が、何度も粗相をするようになり、心配して病院に連れていくことで認知機能の低下の可能性を指摘されたということも。
もともと猫はキレイ好きな生き物で、トイレの場所を誤ることはあまりないのですが、排泄がコントロールできなくなったり、我慢している感覚が鈍くなってしまったりして、失敗しやすくなってしまうようです。
お漏らしがひどいときには、猫にも使えるタイプのペット用オムツも登場していますので、活用してみてくださいね。
認知機能の健康維持を意識した食事管理について
猫の認知機能が徐々に衰えていくことは、加齢に伴う変化であり仕方がない側面もあります。しかし、そんな中でもできることの一つが、食事での認知機能のサポート。
猫たちの認知機能に良い働きをすることが分かっている栄養として、オメガ-3脂肪酸の一種であるDHAやMCTオイルなどがあります。
DHAは正式名称「ドコサヘキサエン酸」といい、体内で合成できない不必須脂肪酸のひとつです。
不飽和脂肪酸(不飽和脂肪)は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、DHAは多価不飽和脂肪酸の中のn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に属します。DHAには体内の免疫反応の調整、脂肪燃焼の促進、血管壁の収縮、血小板の凝集に関わる等のさまざまな働きのほか、脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きがあり、認知機能、行動能力の維持に非常に重要な役割を担っていると考えられています。
また、MCTオイルは、脳のエネルギー源として使用されることが分かっています。
通常、脳は糖をエネルギー源として使用しているのですが、認知機能が衰えた脳では上手く糖をエネルギーとして使えなくなっていることが分かりました。
しかし、MCTオイルは体内で代謝され、第二の脳のエネルギー源とも呼ばれる「ケトン体」になります。
人間の脳の場合ですが、脳が使うエネルギー源の割合を調べた調査によると、平常時にはブドウ糖が100%を占め、絶食時にはケトン体が約60%以上を占めていたのです! ケトン体は、脳にとってブドウ糖に替わるエネルギー源になっていることがわかります。
このことから、老化の進行や特定の疾病により、糖をエネルギー源として使用する能力が衰えはじめた脳機能低下の抑制に、ケトン体が有効なのではないかという研究が進められています。
認知機能の低下に効果的なケア方法
食事以外の面でも、認知機能が衰え始めた猫のためにできる取り組みには以下のようなものがあります、
・なるべく昼間に起こすようにする
・猫の暮らしにお楽しみの時間をつくる
・定期的にちょっとした運動を取り入れた遊びをさせる
とくに、夜鳴きをするようになった猫は、体内時計が人間のサイクルとズレてしまっている可能性があります。
猫は本来、家族の生活時間帯に合わせて上手に体内のリズムを変えることができる生き物です。高齢になると、猫はどうしても寝ていることが多くなりますが、夜中に騒いでしまうようであれば、日中は家族が色々声をかけたり、遊びに誘ったりしてなるべく起きている時間を長くしてあげるのも効果的。
夜にぐっすり眠ってくれるかもしれません。
夜中に落ち着きがなくなったり、興奮をコントロールできなくなったようであれば、動物病院で神経系を落ち着かせる薬をもらうこともできますので、困りごとがある時には相談してみるのも一つの手です。
おわりに
高齢猫の認知症は、飼い主にとって大きな心配事ですが、適切なケアと食事管理でその進行を遅らせることが可能です。初期症状を見逃さず、早期に対策を講じることで、猫の生活の質を維持することができます。ストレスを軽減するための環境づくりや、DHAやMCTオイルを含む食事の導入は、認知機能の健康維持に役立ちます。日常のケアを通じて、猫が安心して過ごせるようサポートしてあげましょう。何か気になる症状があれば、早めに獣医師に相談することをお勧めします。