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2024.09.12
ライフステージに合わせて選ばなきゃダメ?猫の年齢とフード選びの関係を考える
キャットフードを選ぶとき、どんな基準でフードをチェックしていますか?
栄養バランスはどうか、良質な原材料が使われているか、猫が喜んで食べてくれそうか…。猫に合わせて様々なポイントをチェックしながらフード選びをしている方がほとんどだと思います。
キャットフード選びをするときに、「ライフステージ」」をチェックしているという方も多いのではないでしょうか。
今回取り上げるのは、猫のライフステージとキャットフードの関係についてです。
まず、ライフステージとはどんなものなのか、なぜキャットフードが分かれているのかといった基本的な情報から、それぞれのライフステージのキャットフードにはどんな特徴があるのかなどを改めてご紹介いたします。
キャットフードの「ライフステージ」とは
まずは、ライフステージとはどのようなものなのでしょうか?
キャットフードのパッケージの中には「成猫用」「子猫用」「シニア猫用」といったように、猫の年齢が記載されているものがありますよね。これが、いわゆるライフステージです。
「栄養バランス」や「運動量」「基礎代謝」に着目して、成長段階、老化などに合わせる形で年齢を区分した段階を指すことが多いようです。
もともとは、とあるフードメーカーがフードをより魅力的に見せるために使い始めた「セールストーク」だったといわれていますが、今では"それぞれの年齢に合わせた適切な栄養を取り入れたフード"を表すひとつのシンボルとして定着しています。
この「〇〇用」と目立つところに書いているフードは、猫たちの年齢に合わせて適した栄養バランスを意識的に調整していることを、キャットフードの個性にしているフードと言い換えることもできると思います。
ちなみに、AAFCO(米国飼料検査官協会)では、そのフードだけで必須栄養素をカバーできる「総合栄養食」の基準が設けられていますが、栄養基準は成猫用と子猫用+妊娠・授乳期用の2種類しかありません。
つまり、シニア猫用だとか、特定の猫種用の栄養基準は存在しないのです。基本的に、成猫以降の総合栄養食は成猫用の栄養基準に即して作られています。
また、近年ではより詳細に猫のライフステージを分ける考え方も登場してきているようです。例えば、授乳期、成長期、成猫期、中年期、シニア期、ハイシニア期……といった具合に、キャットフードの展開も様々になってきています。
子猫用(成長期)キャットフードの特長
離乳後、自分で食事を食べられるようになる生後50日くらいから、肉体的な成長が止まるくらいまでの時期のことを「成長期」といいます。大型の猫種などでは、1歳を過ぎても成長期が続くことがあるようですが、おおむね1歳前後が目安となっているようです。
「発育期」とも呼ばれるこの時期は、その名の通り子猫の骨や筋肉など、さまざまな臓器がつくられる、猫の成長に欠かせないとても大切な時期です。
それから、多くの猫は、生後6カ月頃に初めての発情期を迎えますが、この時期を過ぎたあたりに去勢・避妊手術を受ける猫が多いのではないでしょうか。
このように、肉体的な成長のために「子猫用」とされているフードは、文字通り骨や内臓などが成長過程であるうえに運動量も多いため、成猫以上に高タンパク・高カロリーな食事の傾向があります。
そのため、成長期を終えても子猫用のフードを続けていると、栄養過多になり肥満になりやすくなることも。
AAFCOの栄養基準では、EPA・DHAは、成猫では必須ではありませんが、子猫の間のみ必須の栄養素となっています。
そのほかにも、特に必須栄養素である「タウリン」や、骨の形成に必要な「カルシウム」や「リン」などのミネラル類などは、成猫用のフードよりも多く含まれていることが多いようです。
消化器系の発達が未熟な子猫に合わせて、粒サイズが小さめだったり、かみ砕きやすい工夫がされていることも子猫用のフードの特長です。
成猫用(維持期)キャットフードの特長
1歳~7歳くらいまでの時期を「維持期」といいます。「成猫期」とも呼ばれるこの時期は、人間でいうと成人期にあたります。2、3歳頃までは活発に過ごしますが、4歳頃から少しずつ活動量が落ち着き始める子が多いようです。
成長期を終えた猫は、健康維持のために適正体重をキープすることが大切です。
室内で暮らす猫の多くが肥満傾向にあるといわれており、特に成長期後半に去勢・避妊手術を受けた猫は、ホルモンバランスの乱れから太りやすい体質になるといわれています。
とはいえ、もちろん猫たちの体質は千差万別。去勢・避妊手術を受けていても少食だったり、太りにくい体質の猫もいますのでそれぞれの猫たちに合った食事量やカロリーを調整して与えるのがいいですね。
このことを踏まえて、体重管理を意識した栄養バランスになっていたり、カロリーや脂質が控えめになっている成猫用フードも多いです。
維持期の猫には、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの基本栄養素のほか、「DHA」や「EPA」、毛玉抑制に効果的な「食物繊維」、皮膚や被毛の健康維持のため「ビオチン」なども重要な栄養素となります。
総合栄養食タイプのキャットフードを与えていれば、栄養素は基本的には不足することはありませんが、オヤツなどを極端に与えすぎると体重増加するだけでなく栄養バランスが崩れることもあるので、その点は要注意。
シニア猫用キャットフードの特長
猫も年を重ねるとシニアになります。キャットフードに活用されるライフステージの考え方では、7歳以降の時期を「シニア期」「高齢期」と呼ぶことが多いようです。
人も猫も長寿化する近年、猫のライフステージで1番長いのがこの高齢期になってきています。猫もお年寄りになってからの時間のほうが長くなっているということですね。
このステージに入ると、寝ている時間が増え活動量も減るため、食欲や食事量も徐々に減少していきます。
また、この頃から徐々に体の機能が低下し始め、白髪が出てきたり、眼病を始めとする病気にかかりやすくなったりするなど、さまざまな「老化現象」が見え始めます。
高齢期は基礎代謝や運動量が落ちるため、成長期や維持期に比べ必要カロリーも減少します。
猫も人間同様、年齢を重ねるとともに体の機能も徐々に低下していくため、高齢期に適した栄養バランスのキャットフードに切り替えることで、体重の増加を緩やかにすることが狙いです。
猫たちはシニア期には腎臓に不調が出ることが多いです。
そのため、腎臓への負担を軽減する目的でリンとカルシウムのバランスを調節したり、アミノ酸スコアの高い良質なタンパク質を取り入れるほか、腎臓の機能をサポートする栄養を取り入れることも大切。
シニア猫向けのフードとしては、体重増加を防ぐ目的でカロリーや脂質を抑えたフードのほか、抗酸化作用の高い「ビタミンC・E」や、「アスタキサンチン」、「ポリフェノール」のほか、関節炎に配慮した「EPA」などの不飽和脂肪酸、「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの栄養素が多く含まれている、腎臓に配慮して「リン」の値を抑えたフードがあります。
■ オールライフステージ対応キャットフードについて
キャットフードの中には「オールライフステージ対応」と記載があるものもあります。これはその名の通り、子猫からシニア猫まで与えることができるフードです。総合絵養食の基準を設けているAAFCOでは、子猫用・成猫用の2つの栄養基準がありますが、両方の栄養基準をクリアしているものが「オールライフステージ対応」と表記されます。
子猫からシニアまで幅広い世代の猫と暮らしている方などにオススメのフードです。
ライフステージにこだわらない、柔軟な選び方
基本的には、ライフステージは、猫の年齢に合わせたキャットフードの目印となっているので、うちの子の年齢と照らし合わせて選んでおけば問題はありません。
ただし、キャットフードの中にはライフステージだけを確認すれば「猫に合っているか」を判断できるわけではありません。猫の体質や好み、運動量は猫一頭一頭異なります。中には持病がある子もいますよね。
ですから、ライフステージは1つの指標として考え、「こういう目的で作られているんだな」というメーカーからのメッセージとしてとらえるのが良いと思います。
例えば、成猫でも運動量が少なく太りやすい体質の子には、シニア用と表記されているフードが適していることもありますし、小食でたくさんの食事を食べることが苦手な子には、子猫用のフードが適しているということもあります。
ライフステージはキャットフードの一つの特長を知る目印としてご活用ください。
おわりに
今回はキャットフード選びにおけるライフステージについてご紹介しました。
近年では獣医学の発展や、猫の健康に対する意識の高まりもあり、猫たちの平均寿命はどんどん長くなってきています。記事の中でもご紹介した通り、猫生でもシニア期が一番長くなるなどの変化が起こっています。
ライフステージはフード選びの一つの指標で、猫の年齢に絶対に合わせるべきものではありません。健康サポートは、サプリメントや副食と組み合わせたり、バランスを調節することでも可能ですので、こだわりすぎず、柔軟に考えられれば良いですね。