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2024.08.01

キャットフードに使用される「ミール」、危険って本当?どんなものか知ってる?

キャットフードに使用される「ミール」、危険って本当?どんなものか知ってる?

キャットフードについて調べていると「ミールは危険」「ミールを使用しているフードは質が悪い」なんて情報を目にすることがあります。
インターネット上にあふれる不確かな情報。ミールは本当に猫の健康にとって危険なものなのか改めて調べてみました。
猫たちの健康維持のためには、情報を正しく知ることが大切。なんとなく聞いたことがあるけれど、どんなものなのかは分かりにくい「ミール」について改めてご紹介いたします。

キャットフードに使用されているミートミールって何?

ミートミールとは、AAFCO(ペットフードの栄養基準、ラベル表示などのガイドラインを設定している協会)によって、定義されています。

簡単に言うと、ミールとは、肉から油脂を抽出した残渣を指します。
ミートミールは動物の肉や組織から脂肪分を取り除く処理を行ってから、乾燥処理を行い粉末にしたものです。
この脂肪分を取り除く処理はレンダリングと呼ばれるのですが、実はこの処理は人間用のラードや牛脂に加工するために脂を集めるために行われています。このことから、ミールは人間用の食品加工の際に出る「副産物」という印象を持つ方も少なくありません。

また、生肉などと比較するとドライフードの粒が作りやすく、保証分析値のうちタンパク質だけを上げることができたりと使い勝手がよく、とても安価で入手できる原材料であることも特徴です。

ミートミールには種類がある?

ミートミールに対して悪い印象を持つ人が多いのですが、その背景にはミートミール=人間用の食事の不要な部分、質が悪い部分というイメージがあるように思います。
実際のところ、ミートミールは質が悪い原材料と言えるのでしょうか?


現在、ミートミールと呼ばれているものは、AAFCOの定義では3種類に分類されます。
ここでは、ミートミールについて詳しくご説明します。

 

■ミートミール(肉粉)

AAFCOでは、ミートミールは、動物の血液や毛、ひづめ、角、胃などの内容物、糞などの排せつ物を取り除いた組織から脂肪分を取り除いて(レンダリング)できる原材料と定義されています。
脂肪分が取り除かれているため、高タンパクで低脂肪です。高温で処理をすることで菌やウイルスは死滅します。
この「ミートミール」では、人間も食べるような可食部が元の原材料となっています。
そのため、いわゆる質の悪い動物の毛や蹄、爪、糞、くちばしなどは含まれていません。

【ミートミールに含まれないもの】
血液、毛、ひづめ、角、皮、糞、胃、第一胃

■ミート&ボーンミール(肉と骨粉)

このミート&ボーンミールは、肉に骨を加えてレンダリングしたもの。
一部では毛や胃、糞まで入っているという情報もありますが、AAFCOで定められている定義では含まれていないものを指します。

【ミート&ボーンミールに含まれないもの】
毛、角、ひづめ、歯、胃、糞

■ミートバイプロダクツミール(肉副産物)

ミートバイプロダクツミールは、肉以外の部分をレンダリングしたものです。
もっとも肉以外のものが含まれる割合が多くなっています。


【ミートバイプロダクツミールに含まれないもの】
毛、角、歯、ひづめ、糞

結局、ミートミールって危険なの?

ここまでご紹介した通り、ミートミール自体はもともと人間用の食材がもとになっています。
これだけだと、危険なものという印象を持つ人は多くはないと思います。

さて、ミートミールで問題視されていたのは、いわゆる4Dミート(Dead 死骸となった動物、Diseased 病気の動物、Dying 瀕死の動物、Disabled 障害のある動物)の使用です。
こういった原材料を使用して安価に作ったミールを使用してペットフードが製造されているという話があったのです。

AAFCOの定義の中にはこの説明はないため、絶対に使われていないというわけではありません。
しかし、プレミアムキャットフードでは、ミートミールが使用されているフードであっても、こういった原材料が使われることはまずありません。
動物の種類に曖昧な点はありますが、非常に使いやすくタンパク質豊富な原材料であり、衛生の観点では心配はありません。

メーカーによっては、4Dミートと区別するために「新鮮な」という文言をいれたり、動物種や使用部位を明確に記載したりしている場合があります。

なぜミートミールを使用するの?

「副産物だから」「安いから」と品質が悪いものだ、と断定的な紹介をしている情報も多いのですが、ミールには価格以外のメリットがあります。

それはキャットフードの品質を安定させられることです。
ミールは脂質や水分が取り除かれているので、ミールに加工されたあとは傷みが進みにくく、重量も軽くなり、その分輸送コストを抑えることができます。
またミールに加工することで脂質と水分がなくなるので、フードのレシピが作りやすく、全重量に対してタンパク質含有率を高めることもできたり、栄養成分値にもばらつきが出にくくなります。

逆に、生肉を多く使ったフードほど水分や脂質などのバランスや粒を固めることが難しく、成分値や粒形状にもばらつきが出やすくなってしまうことがあります。

こういった問題を解決するひとつの方法として、肉と合わせてミールを使用してタンパク質量を増やしたり、品質を安定させているキャットフードもあるのです。

ただし、ミールを使用することにはデメリットも存在します。例えば、高温で処理されるため、肉類に含まれるタンパク質やアミノ酸が変質してしまっている可能性が高いこと。これにより、肉類が本来持っている栄養素が損なわれている可能性があります。
それから、油脂が含まれないためミールは酸化がほとんど進まないという特長があるため、保存や輸送の段階での扱いは、衛生管理に配慮し、冷蔵保存などが行われる生肉などと比較するとどうしても悪くなります。(荷台を覆う幌が付いていないトラックで運ばれることもあるそうです)
そして、やはり嗜好性に関しては生肉には敵わないこと。これらの点もまた、ミールを使用する上でのデメリットと言えると思います。

おわりに

チキンミールに代表される〇〇ミールは、悪い面ばかりが紹介されがちですが、栄養バランスや安定した製造を目指すなどの目的があって使用されているというケースもあります。
なるべくミールを使用しないで品質を安定させたり、栄養バランスを整えることが出来るようにフードの作り手はさまざまな工夫を行っています。キャットフードに使用される原材料の中には、ミールのように悪者にされてしまうものもあるのですが、よくよく調べてみるとちゃんと理由や目的があって使っているというケースもあります。
しかしながら、生肉を使用しているフードの方がメリットが大きいこともまた事実。生肉を食べて生きてきた猫たちのことを考えると、生肉を使用している方が嗜好性がより高くなるのも納得です。
どんなキャットフードを与えるか、しっかりとチェックしていくことが大切ですね。