- コラム
- スタッフコラム
2024.03.14
猫がグルメな謎とは。食事の気まぐれ、理由はあるの?
猫は基本的に気まぐれな生き物。
気分次第で食事を食べなかったりすることもよくありますが、あまりにもそれが激しいようであれば、心配になってしまいますよね。
「こんな気まぐれな猫に育ってしまったのは、なぜなんだろう…」と考え込んでしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
もしかして、育て方が悪かったの?と不安になってしまっていないでしょうか。
そこで今回は、猫がグルメな理由としていわれている「説」と、猫の食生活について気を付けたい「ポイント」をご紹介します。
そもそも「猫の食事は気まぐれなもの」
猫は獲物を捕らえて食べる、肉食動物としての特長を残した動物です。人間と一緒に暮らすようになっても、ハンターとしての本能を残していて、猫の「気まぐれ・偏食」はそんな野生時代からの本能の一部とも考えられています。
いくら猫が素晴らしいハンターだったとしても、食事にありつくための狩りが毎日、毎回成功していたわけではありません。
狩りが成功したら、その日の食事を食べ、失敗したら食べられない。そんな暮らしが猫本来のライフスタイルだったのです。
また、猫は犬と異なり、一度に大量の食べ物を食べるということができません。基本的には猫は自分で食べたいペースで食べ、お腹いっぱいになったら新鮮な獲物でも残して立ち去ることがあります。
大量にフードが置いてあったとしても、猫はそのフードを「ちょこちょこ」と、その時に食べたい量だけを食べていきます。
この「ちょこちょこ食べ」は、猫が一日に何度も狩りを行ってその都度食事を食べていたころの名残でもあります。
だから、猫がフードを残していたりしても、それは猫の本能による行動の可能性もあるのです。
もっと美味しいものが出て来るかも、と期待している?
さて、猫が「オヤツばかり食べてドライフードを食べない」というようなケースもあります。
この場合は、猫が食べたいものを主張すれば、家族がそれに従ってくれる…と理解してしまっていることが原因かもしれません。
例えば、猫にオヤツを与えすぎてしまい、お腹いっぱいになったのか、主食のドライフードが食べなかった日があるとします。
食事を食べない猫の様子に心配になり、先ほど喜んで食べていたオヤツを出して食べさせたりしていませんか?
こういったことの繰り返しで「我慢すればもっと美味しいものが出て来る」と猫が理解してしまうことにつながります。
子猫の時期は自分の好きな食べ物ばかりを欲しがり、キラキラの瞳で可愛くおねだりをしてきます。
ですから、意識的に主食とオヤツを過剰に与えすぎないように気をつけてあげなくてはなりません。
まだ食事のサイクルが決まっていない時期や、フードを変えた時などは、「これ、好きなやつじゃない」という態度で、猫が食べないそぶりを見せることも多いと思います。
その際に焦っていつものフードを出したり、さらに嗜好性が高いものを出したりご機嫌を取って食べさせようとすると、猫は「そのうちお気に入りのものを出してくれるはず」と期待するようになってしまいます。
私たちもこのような場合は我慢して、15分ほどしても食べないようならいったん下げ、1時間後に再び与えてみてください。
猫もいずれ根負けして、食べるようになります。
猫は「食物バラエティー・メカニズム」を持つ生き物
皆さま、「食物バラエティー・メカニズム」という言葉を聞いたことはありますか?
実はこれ、猫の重要な生存戦略の一つだと考えられているのです。
「食物バラエティー・メカニズム」とは、ひとつの食べ物ばかりに頼っていると、もしそれがなくなった場合、生命の危機に陥ることを避けるため、本能的に多様な種類の獲物を食べるようになっているメカニズムです。
野生の猫の仲間は、自分が暮らしている地域に暮らしているネズミだけではなく、鳥や虫などさまざまな動物をハンティングして食べています。
これは、どれか一種類だけを食べていると、気候変動や災害などで特定の動物を食べることができなくなり、餓死してしまうリスクを防ぐためだと考えられています。
この「食物バラエティー・メカニズム」は、野生の猫にとって重要なサバイバル戦略なのですが、人と一緒に暮らしていると"ある日突然食の好みが変わる"、"前触れなくごはんに飽きてしまう"といった形で見られるようになるのです。
だから、猫がある日突然ごはんを食べなくなってしまった時は、「食物バラエティー・メカニズム」が働いた結果なのかもしれません。
猫の本能に従い、さまざまな食事を食べることは、特定のフードが手に入らなくなってしまった時のための「備え」にもつながりますので、複数のお気に入りのフードを用意しておくのがオススメです。
-
ちなみに、猫がそれまで気に入っていたフードを急に食べなくなってしまうこともあります。これはフードの味に単純に飽きてしまった可能性のほかに、フードの酸化が進んでその香りが嫌で食べなくなっている可能性もあります。
猫は酸化のニオイにとても敏感です。大袋の方がお買い得なケースも多いですが、食の好みがはっきりしている猫の場合は、小さめの袋をあえてこまめに買い、酸化してしまう前に使い切るという方も多いです。
■ 子猫の頃に食べていたものが影響する?
ちなみに、子猫の頃に食べ慣れていたものは、大人になってからも好んで食べる…という説もあります。すべての猫に当てはまるわけではないようですが、中には子猫時代に食べていたものしか食べない!という子もいるとのことで、「三つ子の魂百まで」と言った感じでしょうか。
小さなころから様々な食材や食感のものを食べさせておくと、将来的に何でも食べる猫に育つ可能性があるともいわれています。子猫育てをしている方は、様々なものを食べさせておくと良いかもしれません。(とはいえ、子猫は消化器系が未発達ですので、あれこれ食べさせて下痢や軟便になる可能性もあります)
中には病気の可能性も…
食べない、以外にも何か気になる症状があるようであれば、病気の可能性も考えられます。
猫の食欲不振はさまざまな病気の症状として見られます。
一部の例としては、消化器系のトラブルや感染症、腎臓や免疫系のトラブルのほか、外傷(ケガ)の痛みがストレスになり、食事を食べなくなるということもあります。
食べなくなってしまった以外の症状にどんなものがあるのか、は動物病院での診察でも非常に重要なチェックポイントになりますから、気になることがあれば書き留めておくようにしてください。
例)体が熱くなっている(発熱)、下痢(便秘)、嘔吐、血尿、ふらつく、呼吸の異常など
おわりに
今回は猫が食に関して気まぐれな理由についてご紹介しました。
本来、猫という生き物自体が食事に関して独自の価値観を持っている動物です。私たちと一緒に暮らしているとはいえ、猫はやはり猫。肉食動物としての特長を残しながら生きている動物です。私たち人間にとっては「気まぐれ」に感じることがあるかもしれない、そんな猫の行動ですがその背景にはきちんとした理由が存在しています。
猫たちに寄り添い、もっと猫について知ることができれば、不思議に感じる行動や困りごとも減らしていけるような気がしています。