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2023.12.07
栄養バランス、調理のポイント...猫の手作りごはんの考え方
猫が私たち家族の食事を食べたがる瞬間ってあるあるですよね。「ダメだよ」と注意しつつも、猫にも手料理を食べさせることができたら…なんてことを考えた方も少なくないのでは。
中には猫のために手作り食を実践している、という方もいますよね。猫の手作り食に挑戦する時にはどんなことに注意が必要なのでしょうか。
今回は、手作り食に挑戦する際のポイントや、手作り食を与える時の考え方についてご紹介いたします。
猫にとっての手作り食とは
現在、猫の主食として使われることが多いのは、総合栄養食の基準を満たしたドライフードです。
総合栄養食とは、猫にとって必須の栄養素をすべて含んでいて、そのフードと水だけでも十分健康に過ごすことができるように作られたもの。
つまり、豊富な栄養をバランスよく含んでいる食事ということになります。
メリットとしては、栄養に偏りが出にくいので健康維持をしやすくなります。
一方で、手作り食最大の魅力は「猫が好きな材料を選んで食事を作ることが出来る」ということだと思います。大好物が使われている食事なら、好き嫌いが激しい猫でも喜んで食べてくれることも多いはずです。
それから、使用する材料次第で低脂肪にしたり、低タンパクにするなどの調整も可能です。食物アレルギーがあることが分かっている場合は、アレルゲンとなる食材を避けて食事を作ることができるのもメリットになります。
病気と闘う猫たちや高齢の猫にとっては、美味しい食事はそれだけでも生きる元気の源になります。
また、誕生日や記念日、イベントの時だけのスペシャルメニューとして、思い切り美味しいものを楽しんでもらう機会があるのは猫にとっても刺激になりますし、素敵なコミュニケーションになるはずです。
手作り食は、猫がワクワクするような特別ごはんの1種と言えると思います。
普段の食事にちょこっとプラスからがオススメ
手作り食、というと手の込んだレシピや見た目が華やかなものをイメージする方もいるかもしれません。でも、猫にとっては、それはあまり重要ではありません。
それどころか、ささみをさっと茹でてほぐしただけのものでも、調理中から猫がソワソワしたり、「早く食べたい!」と鳴きはじめるようならワクワクを感じてくれているということ。このワクワクこそが、手作り食の醍醐味です。
同じように、レトルトパウチやウェットフードを電子レンジで少し温めることで香りを立たせるのも、猫にとっては特別なごはん。「なんだかいつもと違うぞ」とワクワクし、美味しそうに食べてくれて、満足そうに口元をペロペロしている様子が見られたら、大成功と言って良いでしょう。
もちろん、食材選びからこだわって食事を作ることも良いと思います。
ただ、丹精込めて作ったとしても、猫はニオイをクンクンしたきりそっぽを向いてしまった…。なんてこともあるあるです。
食べ慣れないものに警戒しているのかもしれません。
ですから、食べてくれなくても、落ち込んだりせず、「また今度」と気楽に構えるくらいがきっと楽しんで続けるためのコツです。
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味付けは必要?調理をするときのポイント
結論から言うと、猫の手作り食では、人の料理のような味付けは必要ありません。これには理由があります。
猫は味を感じる細胞である「味蕾」を人間よりもずっと少ない数しか持っていません。どれくらい少ないかというと、資料によっては猫の味蕾の数は1,000以下、500個程度ともいわれているそうです。
人間の味蕾の数は約10,000個以上ですから、猫の味を感じる能力は人間の1/20ということになります。
だから、味付けにこだわっても猫にはあまり伝わらない可能性があるのです。
中でも、猫は甘みを感じることができないといわれています。これは、猫の食性に深い関係があります。純粋な肉食獣とも呼ばれる猫は、主食となる肉類には「甘み」のもととなる成分が含まれていないため、甘みを感じる必要がなかったものと考えられています。
味が分からないのに、なぜ好き嫌いをするのかというと別の判断基準で「好き/嫌い」を判断しているからです。
主に、嗅覚と食感、喉越しなどを強く感じて好みの判断をしている可能性が高いと考えられています。
また、人間ほどの敏感さではないものの、猫は食べ物に含まれるアミノ酸を「味」として感じることはできているようですので、この微妙な違いが好みとして出ている可能性はあります。
持病がある猫に手作り食はあり?
一般的に、持病がある猫は食事療法食を食べさせることが基本になることが多いです。
しかし、中には療法食をどうしても食べてくれなかったリ、食欲が落ち込んでしまっていたりして「とにかく何か食べさせたい」という時には、猫が好きな食材を使った手作り食が効果を発揮することも少なくありません。
とはいえ、動物病院で療法食を与えるように指導されているのであれば、療法食を基本の食事として与えることが大前提です。
どうしても療法食を食べないなど、継続して手作り食を与えたいという場合は、獣医さんと相談したうえで判断するようにしてください。
また、特定の栄養を制限する必要がある持病を持っている猫では、使う食材などに注意が必要になります。
たとえば、慢性腎臓病の猫ではリン、ナトリウムなどのほか、重度の腎臓病の猫ではタンパク質の制限も必要になることがあります。
おわりに
手作り食では、総合栄養食のような、必要な栄養素をすべて含む食事を手作り食で作り続けるのは難しい面もあります。
初めての猫の手作り食は、大らかな気持ちで特別な食事として楽しんでもらう目的で与えるのがオススメです。
猫たちの食事に変化をもたらし、ワクワクする気持ちをサポートするサプライズとして取り入れてみてはいかがでしょうか。