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2023.10.26
猫の結石・結晶に。知っておきたい対策と「メチオニン」の取り入れ方
特定の季節になると多くなる猫の健康に関係するトラブルがあります。そのひとつが、ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石などの「下部尿路結石」です。
一度なってしまうと、定期的にぶり返す子も多いトラブルなので、再発防止や予防につながる対策を取り入れたいと思っている方は多いはず。
そこで、猫の結石について基本の情報を踏まえたうえで、効果的とされる対策をまとめてみました。
また、「メチオニン」という成分は、適切に取り入れることで猫の尿pHのコントロールに役立ちます。
今回ご紹介した対策を猫のおしっこトラブルの対策として上手く活用していただけると幸いです。
猫の下部尿路結石・結晶とは
猫の下部尿路結石は、猫の尿路系統で尿などに含まれる成分が固まり、石が形成されることでさまざまな症状を引き起こす病気です。
通常、これらの小さめのものを「結晶」、結晶が固まって体調に影響するほどの大きさになっているものを「結石」と呼ぶことが多いようです。これらは、尿道などに入り込んで尿の排出を阻害したり、食欲が減退するほか、血尿が出るようになるなどの症状が出るようになります。
結石を構成する成分によって大きく分けて2種類に分類され、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の2つが代表的なものです。
以前はストルバイト結石がほとんどを占めていたそうですが、最近ではシュウ酸カルシウム結石と診断される猫も増えつつあるそうです。同じ結石と言っても発生したり、大きくなる条件には違いがあります。
いずれも、猫では比較的寒い時期に起こりやすい傾向にあるようです。
代表的な猫の尿路結石の種類まとめ
■ストルバイト結石
尿石を構成する成分:ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)
尿石のできる場所:膀胱など
特長:尿がアルカリ性の状態が続くとできやすい
この結石ができやすくなる原因としては、尿中のマグネシウムやアンモニウム・リンといった成分の濃度が上がること、水分摂取量の減少などで、膀胱にできやすい傾向があります。
オスの猫では尿道につまって尿が出にくくなってしまうこと(尿道閉塞)があります。肥満の猫はストルバイト結石による尿石ができやすい傾向にあるようです。
■シュウ酸カルシウム結石
尿石の成分:シュウ酸カルシウム
尿石のできる場所:膀胱、腎臓、尿管、尿道など
特徴:中性~酸性でできやすい
尿の酸性化、ナトリウムの過剰摂取、ビタミンB6欠乏などが考えられています。膀胱のほかに腎臓、尿管、尿道にも結晶や結石が見られます。
こちらも腎臓や尿管などを詰まらせてしまうことがあり、注意が必要です。
ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石は、どちらも尿に含まれる成分が結石になるのですが「尿pHがアルカリ性の状態が続くとでできやすいストルバイト」、「尿pHが酸性の状態が続くとできやすいシュウ酸カルシウム」という違いがあります。
これらのトラブルに対しては、尿pHをある程度コントロールすることで対策が可能です。また、ストルバイト結石に関してはすでに膀胱の中にできてしまった結石を溶かして小さくする目的で、尿pHを変化させる成分を摂取させることがあります。
しかし、2種類の結石はできやすい尿pHが真逆のため、現在できている結石がどのようなものなのか、動物病院で診察してもらう必要があります。
猫の結石・結晶の基本の対策
猫の下部尿路結石対策としてまず意識したいのが、飲水量を一定以上維持すること。おしっこの回数を減らさないことが膀胱の中に尿が長時間留まることを防ぐことにつながります。
また、猫が安心してトイレができているかをチェックすること、さらにストレス解消のための遊びを取り入れることも合わせてとり入れたい対策となってきます。
■水分補給を意識する
水を飲む以外でも、ウェットフードを食べさせる、スープをドライフードにトッピングするなどの方法で食事から自然な形で水分を摂取させる方法がオススメです。
嗜好性の高いゴートミルクやスープ、ピューレタイプのオヤツを与えて楽しみながら水分を摂取させる方法も良いですね。
膀胱炎とストルバイト結石には深い関係があるといわれています。膀胱炎になった猫は雑菌の繁殖により尿のpHがアルカリ性に傾いた時間が長くなり、より尿に含まれる成分がストルバイト結石になりやすくなります。
■トイレの環境、回数を確認
寒くなってくると、猫も暖かい場所にとどまろうとします。猫のトイレが暖房がきいていない場所にあったりすると、トイレに行かなくなることも。寒い時期、おしっこトラブルが心配な時期は猫のトイレを暖かい場所に移動させたり、新しく増やすなどの工夫も効果的です。
もちろん、こまめに掃除を行い衛生的な状態を維持するほか、猫が安心してトイレができるように人通りがあまり多くない場所に設置することもオススメだそうです。
■ストレスが過剰になっていないか
それから、対策で意識したいことが猫のストレスです。
とくに若い猫にストルバイト結石が多いのは、猫が強いストレスを感じると膀胱炎を起こす、という考え方もされるようになってきているそうです。先述の通り膀胱炎とストルバイト結石には相関関係があることが分かっています。
たとえば、引っ越しや新しい家族が増えた時などは猫が強いストレスを感じやすくなります。また、家に知らない人が来た時や、地震や台風などの災害もストレスになります。
そのほかにも、気温の変化や猫が安心して過ごせる場所がなかったり、ストレス解消になる遊びが十分でない場合などにも注意が必要です。
猫のおしっこトラブルを予防するためにも、ストレスを溜め込ませず、定期的なストレス解消につながる適度な運動(遊び)を取り入れるようにしたいですね。
猫の尿pHに影響する「メチオニン」
猫に使うことができるサプリメントの中には、猫の尿pH値を変化させるものがあります。こういったサプリメントは適切に使うことができれば、猫の下部尿路結石対策の心強い味方になってくれます。
■シュウ酸カルシウム結石、酸性尿の猫には使えません
ストルバイトとシュウ酸カルシウムは、どちらも尿に含まれる成分が結石になるのですが「尿pHがアルカリ性の状態が続くとでできやすいストルバイト」、「尿pHが酸性の状態が続くとできやすいシュウ酸カルシウム」という違いがあります。
メチオニンは、アルカリ性の尿のpHを中性~酸性にする働きを持っているものなので、尿が酸性の状態でできやすくなるシュウ酸カルシウムには効果がありません。
むしろ、尿をアルカリ性から酸性に傾ける働きがあるメチオニンを含むサプリメントを、もともと尿pHが酸性寄りの猫に与えても逆効果。シュウ酸カルシウム結石がよりできやすい状態になってしまいかねません。
ですから、メチオニンを使用する際には、獣医師による検査で、ストルバイトなのかシュウ酸カルシウムなのか、判断してもらったうえで、現在の尿pHを確認しながら与えるようにしてください。
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■メチオニンを取り入れる前の注意点
メチオニンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種です。
猫にとって食事から一定量を取り入れる必要がある必須アミノ酸のひとつであり、総合栄養食には必ず含まれるアミノ酸でもあります。
メチオニンは猫の体内で分解・ほかの成分などに再合成され、酸性の物質である硫黄と酸素の化合物になってから、尿から排出されます。この時、尿のpHを酸性に傾ける働きを持ちます。
メチオニンのこの働きに着目して、ストルバイト結石につながりやすい"アルカリ尿"の状態が続くことを防ぐために、DLメチオニンを与えることがあります。
しかし、メチオニンを与える前には注意が必要な点もあります。
おわりに
猫の下部尿路結石は、特に寒い季節に増える健康トラブルです。主な結石の種類はストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石で、それぞれ尿pHによって影響を受けます。予防策として、飲水量を確保し、ストレスの軽減、適切なトイレ環境の提供が重要です。
尿pHを調整するためには、メチオニンを含むサプリメントが役立つ場合がありますが、獣医師の指導のもとで使用する必要があります。
今回ご紹介した対策を適切に組み合わせて、ストルバイトやシュウ酸カルシウム結石の予防に取り組んでみてはいかがでしょうか。