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2023.09.14

猫が食べてはいけないものを深掘り。チョコ、ねぎ、アボカド...理由や症状は?

猫が食べてはいけないものを深掘り。チョコ、ねぎ、アボカド...理由や症状は?

私たち人間と、猫にはさまざまな違いがあります。
人間と猫の違いの中には「食べてはいけないもの」も含まれます。私たち人間にとっては何でもない食材が、猫にとっては毒になるというケースがあるのです。

今回は、ネット上でもよく見かける「猫が絶対に食べてはいけないもの」にスポットを当てます。
中でもチョコレート、ねぎ、アボカドなどについてまとめてみました。

なぜこれらの食品が猫にとって危険なのか、どのような症状が現れる可能性があるのか、その理由と症状について整理していきましょう。
猫の健康と安全を守るために、正しい知識を付けることは大切です。猫との暮らしの中でぜひご活用ください。

代表的な猫が食べてはいけないものリスト

食品名与えてはいけない理由
チョコレート中枢神経に作用、興奮、嘔吐など
玉ネギ、ニンニク類食欲低下、下痢、嘔吐、溶血性貧血
ブドウ、レーズン腎臓への負担が大きい
キシリトール入りの菓子類低血糖症リスク
アボカド中毒症状を起こす可能性

猫がチョコレートを避けるべき理由は、カカオのテオブロミンが理由

猫がチョコレートを食べてはいけない、と言われる最大の理由はチョコレートの原材料であるカカオに含まれる「テオブロミン」という成分です。
テオブロミンは、カカオの香り成分の1つで、興奮剤のような働きをする性質があり、猫の心臓や中枢神経に作用します。
テオブロミンを一定量以上摂取した猫は、下痢や嘔吐、血圧上昇、痙攣などが起こり、中には不整脈による心不全を引き起こし、死に至るケースもあります。

猫は人間よりもずっとテオブロミンを分解する能力が低く、テオブロミンの毒性が体内にとどまりやすいため、注意が必要な成分となっています。

■ 猫のチョコレートの危険ライン

猫の体重1㎏あたり80~100mg程度のテオブロミンで体調に変化が、体重1kgあたり250~500mgほどで危険な状態になると言われています。
一般的なミルクチョコレート50gに含まれるテオブロミンの量は、だいたい80~120mgですので、体重4kgの猫であれば板チョコを10枚食べると致死量に届く可能性があります。とはいえ、どれくらいの量で体調に影響が出るかは個体差がありますので、わずかな量でも与えるべきではないと思います。
甘く独特の香りを持っているチョコレートを、猫が食べたがることはほとんどないと思います。とはいえカカオ含有量の高いビターチョコなどは、決して口にさせないようにする必要があります。

ねぎ類に含まれる成分が猫の貧血を引き起こす

玉ねぎや長ネギ、ニラなどのネギ類に含まれる「アリルプロピルジスルフィド」という成分には、猫の赤血球を破壊する性質があります。全身に酸素などを運ぶ赤血球がどんどん壊されていくことで、貧血の症状が出るほか、血尿、下痢、嘔吐、黄疸などを引き起こします。
ねぎやニンニクを直接猫が口にしなければいいのかというと、そうではないので要注意。
煮込んで具を取り除いたスープでも、有害成分が溶け出しているため、そのまま食べた場合と同じように貧血症状が出てしまうため、注意が必要です。

ねぎやニンニクなどは、かつおのたたきなどの薬味として乗っていることが多いので、お魚好きな猫が誤って食べてしまう可能性があります。目を離さないようにしてください。

人間でもネギ類を大量に食べ続けると、赤血球が壊れていずれは血尿などに至ることがあります。ただし、適量であれば血栓の予防など「血液サラサラ効果」とされています。

■ 猫のネギの危険ライン

猫がねぎやニンニクに由来する成分が原因でさまざまな症状が出る量の目安は、個体差がありますが、一般的に体重1kgあたり5gの摂取を超えると危険と言われています。個体差があるということは、中にはこれよりずっと少ない量でも体調を崩す猫もいる、ということです。すぐに重篤な症状が出ることはないかもしれませんが、口にすることがないように家族が注意することは怠らずにいたいですね。

ブドウ、レーズンは猫の腎臓に大きな負担

猫にブドウを与えてはいけない、ということをご存じの方は多いと思いますが、実はまだどんな成分がどのように働いて猫の体調に影響しているのかは、はっきりとしていない部分が多いです。

ただ、症状としては急性腎不全に陥るなど非常に危険なことが分かっています。食べてすぐに症状が出るわけではなく、数日ほど経ってガクッと腎臓の機能が低下するとされています。そのため、家族はなぜ猫が体調を崩したのか分かりにくく、注意が必要です。

急性腎不全はすぐに治療を始めれば回復する可能性がありますが、ブドウに含まれる成分によって腎臓が受けたダメージそのものは回復しません。猫は高齢になると慢性腎臓病になりやすい傾向にありますので、猫にはブドウを食べさせること自体が大きなリスクになります。

人間でも、慢性腎臓病の人や高齢者ではブドウやレーズンの量の制限が必要になることが多いようです。

■ 猫のブドウの危険ライン

中毒症状を引き起こす摂取量の目安は体重1kgに対し10~32gと言われています。
ただし、ブドウの毒性については現在も分かっていないことが多いため、種類によってはより少ない量で猫の体にダメージを与えてしまう可能性も否定できません。腎臓に不安がある猫はとくに猫にはなるべくブドウを与えないことが大切です。

キシリトールで低血糖に!?

人間用のガムや歯磨き粉などによく使用されているキシリトールは、人工的に作られた甘味料と呼ばれるものです。私たちにはなじみ深いキシリトールですが、猫にとっては非常に危険な成分。キシリトールを誤って摂取してしまうと、大人の猫でも低血糖症をおこして意識を失い、昏睡状態になることがあります。

通常、猫の体内では体内に取り込まれた糖の量を調整する、インシュリンというホルモンが分泌されています。食事を食べて糖の量が高くなるとその糖の量に応じたインシュリンが分泌され、血糖値を下げています。
しかし、糖とよく似た性質を持っていながら糖ではない人工甘味料のキシリトールは、猫の体内でインシュリンを砂糖の6倍も分泌させます。余分に大量に出されたインシュリンは、一気に血糖値を下げて、低血糖を引き起こしてしまうのです。

また、キシリトールは肝機能障害を引き起こす原因にもなります。
人間では一度に摂取する量が微量のため、猫のように体調を崩す原因にはなりにくくなっています。

 

■ 猫のキシリトールの危険ライン

猫の体重が1kgに対して0.1gのキシリトール摂取で重篤な症状を起こすことがあります。猫自身がキシリトールガムなどに興味を持つとは考えにくいですが、人間用の歯磨き粉にもキシリトールが含まれていますので、誤って人間用の歯磨き粉などを使用することは絶対にやめてくださいね。

アボカドにはけいれんを起こす成分が

猫にアボカドを与えてしまうと重い中毒症状を引き起こす可能性があります。
猫に有害な成分は、アボカドに含まれるペルシンという成分です。実はこの成分、人間にとっては全くの無害。しかし猫にとっては猛毒で、人間がアボカドを食べた後の呼気にすら、猫にとっての毒素が含まれているほどです。
また、アボカドは観葉植物としても愛好家が多くいますが、その葉を猫がかじってしまい体調を崩してしまったケースもあるようです。

魚やハム、チーズなどの猫が興味を持ちやすい食材と一緒に食べる機会も多い食材ですが、家族が食べることもなるべく避けた方が良いかもしれません。
ペルシンは猫以外の動物にも有毒で、犬、鳥、牛、モルモットに発症が認められています。

 

■ 猫のアボカドの危険ライン

これまでご紹介してきた食材と比べて、アボカドの中毒は重篤化するという訳ではないようです。ただし、体調を崩してしまったことが引き金となり、持病がある猫などでは場合によっては死に至るケースもあるようですので、避けた方が無難な食材ではあります。

おわりに

今回は猫に与えてはいけない食材についてまとめてご紹介いたしました。「食べさせちゃダメ」ということは分かっていても、それがなぜなのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。どれくらいの量で猫の体調に影響するのかを知っておけば、注意もしやすいですし意識も変わるはず。猫たちとの暮らしの中でお役立ていただければ嬉しいです。