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2023.08.31
くつろぎとのバランスが重要!猫の運動不足を解消するための工夫
猫にとってもまったりとしたくつろぎ時間は大切ですが、そればかりになってしまうと運動不足に陥ることも。とくに暑い夏の期間は猫の運動量も低下しがち。普段以上にまったりしている時間が長くなっているように感じませんか?
運動不足は猫の健康に影響することがあります。今回は、具体的にどのような影響があるのかを踏まえて、猫の健康維持のために適切なバランスを保ちながら運動不足を解消するためのアイデアをご紹介します。
ぜひ猫たちの体調管理に役立ててくださいね。
猫の健康と運動の深い関係
多くの方がご存じの通り、猫も運動量と健康には密接な関係があります。運動量が低下したことが病気につながるリスクを高めることもあります。
■肥満
運動量が低下することで、消費エネルギーが低くなり、肥満につながりやすくなります。
また、運動量が低い状態が長く続くと筋力も落ちていくことになります。筋力が低下することで基礎代謝が低下し、さらに肥満になりやすくなります。人間よりもずっと筋肉質な肉体を持つ猫にとって、運動量を維持することは体の健康的な機能を維持することにもつながるのです。
■運動不足によるストレス
猫にとってストレスは体調を崩す原因にもなる大敵。
運動そのものが猫のストレス発散の重要な手段の一つとなっています。
ストレスがたまった猫は、家族に対して攻撃的になってしまったり、大きな声で鳴き続けるなどの行動を取ることがあります。見去勢のオスの猫では、自分が落ち着ける縄張りをアピールしようとして、強烈なニオイを放つスプレーをするようになることも。
また、グルーミングを延々と続けるようになり、脱毛や皮膚の炎症が見られるようになるほか、食欲不振や便秘とストレスが結びつくことも少なくありません。
猫は、本来狩りをして食べものを手に入れていた動物です。狩りへの欲求と幸福感には深い関係性があると考えられています。
猫は狩りに近い遊びが大好きです。
遊びを取り入れることでエネルギーを消費するだけではなく、本能が刺激されて狩りを成功させた達成感から幸福を感じ、ストレスを解消できるといわれています。
体を動かすだけではなく、「狩りを成功させた」という達成感も猫のストレス発散には重要だということがポイントになっています。
■おしっこトラブル
運動不足で溜まったストレスが影響する猫のトラブルの中には、膀胱炎などのおしっこトラブルも含まれます。
とくに猫の膀胱炎の中でも、原因がはっきりしない「特発性膀胱炎」は、高ストレス状態の猫で起こりやすい傾向があると注目されるようになっています。動物病院での治療の一環として、膀胱炎に悩む猫にストレスケアを意識したサプリメントを与えることも増えているのだとか。
定期的に運動などを通してストレスを溜め込まないことが、おしっこトラブルの予防や対策としても有用であることが、徐々に明らかになってきています。
■その他
適度な運動量をキープすることは、猫の若々しさを維持することにもつながっています。とくに高齢になった猫では、筋力の衰えや体力の低下などに伴い、徐々に運動量が減っていきます。
しかし、シニア猫の運動量が低下するのは「普通のこと」と考えてしまうのはちょっと危険。
高齢になり、運動しなくなってしまった猫は、ある程度の運動量を維持できた猫と比べて体力そのものが低下しやすくなります。
猫にいつまでも若々しく元気で過ごしてもらうためにも、ある程度の運動量はキープした方が安心です。
猫の運動不足を解消するために。
猫にとって非常に重要な運動量。しかし、家族が「運動して!」と願ったとしても、思った通りに動いてくれないのが猫という生き物です。
自由気ままで気まぐれな猫たちが、一定以上の運動量を維持するためには、どんな工夫ができるのでしょうか?
■遊び、運動の機会を増やす
まずはシンプルに、猫と遊んで運動する時間を増やしてみましょう。楽しい遊びなら猫たちだって喜んで参加してくれるはず。
すぐに飽きてしまう、という子でも大丈夫。集中力が続かないなら、1分程度の遊びを小刻みに取り入れて、こまめに運動してくれるように誘導すればOKです。時間の長さは気にせず、とにかく猫と遊んだり、運動する時間を増やすことを意識してみてください。
■部屋のレイアウトを猫が動きやすいように変える
猫の運動量が増えないのは、室内で自由に動けるスペースが小さいことに理由があるのかもしれません。家具の配置や普段猫がくつろいでいるスペースなどを見直して、猫が自由に動けるエリアを広げてみるのも一つの方法です。
ただし、神経質な性格の猫では部屋の模様替えそのものがストレスとなる可能性がありますので、猫の性格を見極めたうえで行うようにしてくださいね。
■キャットタワー、キャットウォークを設置する
部屋のレイアウトを変える際に合わせてオススメなのが、猫の運動量を増やすことを目的としたインテリアを追加すること。代表的なものにキャットタワーが、より大規模なものにキャットウォークがありますね。
これらのインテリアを設置することで、平面だけではなく、上下運動が加わり立体的な動きを猫たちができるようになります。
猫は木に登ったり、軽快に飛び降りたりといった動きが得意。それに、平面の動きよりも立体的な動きの方が、重力がかかる分消費エネルギーも大きくなります。
■階段を使う
階段がある家であれば、オススメなのが階段を使った運動です。猫が階段を上り下りするだけでも立派な運動になります。
もちろん、滑って転んだりしないように、周囲の安全性や足元の状態をチェックしてから遊ぶようにしてください。
猫との遊びに工夫を取り入れよう
■猫の本能を刺激しよう
猫の遊びは基本的に「狩り」を模倣した動きになっています。
純粋な肉食動物である猫たちは、ハンティングによって日々の食事を捕まえていましたが、家庭ではその必要がなくなりました。しかし、その狩猟本能だけは残り続け、遊びという形で本能を発散させているというワケ。
ですから、私たち家族が猫たちに「狩り気分」を楽しんでもらえるような遊びを取り入れてあげることが、遊びに夢中になってもらい、運動量を増やすための工夫としてできることになります。
・釣り竿タイプのおもちゃで獲物の動きを真似してみる
・猫じゃらしタイプで獲物が物陰に隠れたり暴れる様子を真似する
・鳥の羽や動物の皮など、猫が興奮する素材のものを使ってみる
釣り竿や猫じゃらしタイプのおもちゃを使う際、猫の狩りの場面を再現するように物の隙間におもちゃを隠れさせたり、捕まりそうになったら素早く飛び上がるなどの動きを取り入れると、小さな獲物を捕まえることに夢中になってくれます。
野生のネズミの仲間の動きや、猫やネコ科の動物の狩りの映像などをじっくり観察し、猫が喜びそうな動かし方を極めていきましょう。
もう一つの遊びのポイントは、「最終的に猫に勝たせる」ことです。
猫の狩りは獲物を捕まえることが目的です。何度チャレンジしても上手く行かないと、猫たちはストレスをためてしまうかも。
家族が遊びに夢中になりすぎて、猫から逃げ回りすぎると「どうせ無理だもん」と猫がいじけて諦めてしまうかもしれません。ちょうどよいタイミングで猫に負けてあげることを忘れずに。
ちょうどよいタイミングで狩りを成功させた実感を得た猫は、満足してオモチャに執着するのをやめ、水を飲みに行ったり、ご飯を食べに行ったりする素振りを見せます。
猫の時間、くつろぎ場所を尊重しよう
猫が遊びに没頭しやすい「タイミング」があります。
よく言われているのは、食前のタイミング。先ほどもお話した通り、猫にとって遊びは狩りであり、狩りは食事を得るための手段です。
ですから、空腹感が強ければ強いほど猫たちは遊びへの意欲も高まる傾向にあります。
また、猫から遊びに誘ってくる時も意欲が高まっているサイン。運動不足にならないよう、時間が許すようであれば、なるべく遊んであげるのがオススメです。
一方で注意しておきたいのは、猫のくつろぎの空間や時間も尊重してあげることです。猫があまり乗り気でないのに、しつこく遊びに誘ったり、まったりしている時に無理に運動させようとすると、運動嫌いになってしまう可能性も。
食後のタイミングや睡眠中は、あまり乗り気ではないことが多いようです。
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おわりに
今回は猫の運動不足解消のために家族ができる工夫についてご紹介いたしました。猫の運動不足解消のためにできることは一つではありません。また、どれくらい効果があるのかも猫それぞれ。
様々な取り組みを少しずつ実践しながら、うちの子に合う方法を模索してみてくださいね。