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2023.06.29
かゆみ、皮膚の赤み、脱毛...猫の皮膚炎について調べてみました。
猫がかゆがっていたり、脱毛が見られたりすると、心配になってしまうと思います。皮膚炎と呼ばれることが多いこれらの皮膚トラブルですが、ひとことで「猫の皮膚炎」といっても、症状や原因はさまざま。
この記事では、代表的な皮膚トラブルである猫の皮膚炎について、ご紹介いたします。
猫の皮膚炎ってどんなもの?
猫の皮膚炎とは、その名の通り皮膚に炎症が起こり、さまざまな症状が見られる状態を指します。(病気の名前ではありません)
だから「食物アレルギーによって皮膚炎が起きている」とか「寄生虫によって皮膚炎が起きている」という表現の方が正しいといえます。
猫の皮膚炎は特定の部分だけに見られるものではなく、皮膚全般に見られるということもあり、症状は多岐に渡ります。ここでは、おもな症状についてピックアップして見ていくことにしましょう。
基本的には、症状の治療は動物病院で行います。
・皮膚の赤み、かゆみ
・脱毛
・フケが増える、皮膚がべたつく
・皮膚にかさぶたができている
動物病院で調べてもらった結果、単なる皮膚炎ではなく、ほかの病気が原因で皮膚に症状が出ていた…というケースもありますので、おかしいと感じたときはまず動物病院で相談することが大切。
家庭でできる対策としては、治療というよりは、皮膚の健康をなるべく維持してこれらのトラブルが起こりにくい環境づくり、ということを意識することだと思います。
■猫の皮膚トラブルと食事の関係は?
猫の皮膚トラブルと食事には関係があるということをご存じの方も多いと思います。
栄養バランスの乱れは皮膚だけに限らず体調全般に大きく影響します。やはり食事は適量をバランスよく、が基本となります。栄養バランスが乱れてしまうことで、皮脂などの分泌バランスが崩れたり、皮膚細胞の入れ替わりのサイクルの乱れを招き、皮膚のバリア機能が低下し、わずかな刺激にも反応してしまい、かゆみを伴う炎症を起こすようになり、慢性的な皮膚トラブルにつながることも。
それから、食物アレルギーによって皮膚炎が引き起こされることもあります。特定のタンパク質を異物と判断して過剰に免疫機能が働いてしまうことで起こるアレルギー反応は、原因となるタンパク質を食事から排除することで防ぐことができます。食物アレルギーが原因であることが分かっている場合は、アレルギー反応の原因となっている食品をある程度絞り込むことで食事選びをスムーズにすることが可能です。
その他にも、皮膚トラブルが続くようであれば、皮膚に役立つ栄養を含む食事を取り入れることも一つの対策になってきます。
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tamaの獣医さん 菱沼獣医師
全身が被毛に覆われている猫は、小さな皮膚トラブルを見つけにくいということがあります。毎日のコミュニケーションやブラッシングで、ひどくなる前に発見できればベスト。
また、同じ場所をよく舐める行動はかゆみではなく、痛みが原因ということもあります。気になる症状や行動がある時は、動物病院で相談してください。
猫の皮膚炎を原因別にみてみよう
とくに梅雨~夏の間は湿度・気温ともに高い状態が続き、長毛猫などでは皮膚が蒸れやすくなります。このことが皮膚炎の原因となるケースもあるようですので、注意が必要になります。
この期間は猫の皮膚や被毛の状態を意識的にチェックして、体調管理を行っていくことが大切です。
■ブラッシングは十分?皮膚や被毛のケアは大切です。
まず、猫の皮膚炎に代表される皮膚トラブルは、少しでも早く気が付いて治療を始めることが大切。その気付きのきっかけとなるのが、ブラッシングです。
定期的なブラッシングで抜け毛や老廃物を取り除き、皮膚を清潔に保つことにつながりますが、それだけではありません。猫の皮膚や被毛の状態をチェックすることにもなります。
猫は自分でグルーミングを行い、体を清潔に保つ習性がありますが、換毛期などではそれでも間に合わないほどの毛が抜けます。抜け毛をそのままにしておくと湿気がこもったり雑菌が繁殖したりして、皮膚トラブルの原因に。
こまめにブラッシングを行うことで抜け毛を取り除くだけではなく、皮膚や被毛のトラブルに早く気が付くことができるようになります。
■食事内容を見直そう
猫の食事の栄養バランスが乱れていないかを確認することも大切です。
猫たちにとって必要な栄養素をバランスよく含む総合栄養食を与えることで、栄養バランスが大きく崩れることはありませんが、オヤツや副食を多く与えることで特定の栄養が過剰になったり、不足してしまう可能性はあります。
オヤツなどを与えすぎていた場合は量を減らし、必要な栄養を含む総合栄養食をしっかり食べられるように調整することも必要かもしれません。
それから、食事に含まれる特定の食品やタンパク質が原因で起こる食物アレルギーの可能性もあります。長引くかゆみや脱毛などが気になる時は、アレルギーを引き起こしている可能性があるタンパク質をある程度絞り込む、血液検査などを受けることも可能です。
■ストレスを感じさせていないか
猫たちにとってストレスは体調を崩す大きな原因の一つです。
引っ越しのほか、新しく猫やほかの動物を家族として迎えた、周囲の騒音、急な寒さや暑さなどに猫が強いストレスを感じ、脱毛や皮膚のトラブルが起こるケースもあるようです。
脱毛してしまうほか、ストレスを落ち着かせようと過剰なグルーミングを行い、その部分が炎症を起こしたり、毛が抜けてしまう…なんてことも。
猫にストレスを感じさせないことができれば理想的ですが、それが難しいようであれば、猫と一緒に遊んでストレスを解消させるほか、リラックスできる場所を提供し、猫の精神的な健康をサポートしてあげてください。
猫たちにとってリラックス効果があるといわれるものにマタタビやキャットニップを適量使って落ち着かせることも効果的です。
■細菌、真菌(カビ)、寄生虫が原因になっていることも!
細菌や真菌(カビ)が原因となって感染皮膚病を発症するケースもあります。
外部からの感染もあれば、なんらかの原因で常在菌が異常繁殖することが原因になっていることも。実は細菌やカビなどが原因となっている場合では、健康的な皮膚や被毛の状態であれば、バリア機能によって過剰に細菌やカビが繁殖してしまうことは防ぐことができます。しかし、免疫系の働きが低下していたり、皮膚のバリア機能が上手く働いていない状態(体力がない子猫や病気の療養中の猫など)では、細菌やカビから体を上手く守ることができなくなることがあります。
それから、ノミ、ダニなどの寄生虫に刺された場所を引っかくことで皮膚病を発症することや、ノミの唾液によるアレルギーを起こすこともあります。一般的には家の中で暮らす猫はこれらの寄生虫と接触する機会は少ないといわれていますが、同居する家族やほかの動物(犬など)から移されてしまうこともあります。
中には、疥癬(かいせん)、シラミなど皮膚に寄生する寄生虫も多く存在し、強いかゆみを起こすことが多いだけではなく、人間にも移る可能性があるので、速やかな治療が必要です。また、細菌などと同様に免疫機能が低下したことで悪さをしだすニキビダニなどもいます。
寄生虫を落とすための薬やシャンプーでの治療が必要になる場合がありますが、必ず動物病院での指示に従って行ってくださいね。
猫の皮膚炎対策をステップアップ
■皮膚の健康維持に役立つ栄養素
猫の皮膚や被毛に関係しているといわれています。
・アミノ酸
・脂質
・ビタミン類
・ミネラル類
細胞の基本的な材料となるアミノ酸、被毛にツヤを出し皮膚のバリア機能の維持に必要な脂質、被毛を維持するのに必要な亜鉛などの栄養がとくに重要。
総合栄養食を食べていれば、不足することはあまりないのですが、食が細い猫や体調を崩している猫、高齢猫は十分な食事の量を食べられているか、確認してみてください。
また、オヤツや間食などが多くなり、主食となるキャットフードを食べなくなっている場合も栄養バランスが崩れていることも。
手作り食などでは、栄養バランスの調整が難しいことも多いので、亜鉛などが不足しやすい傾向にあります。必要であれば、サプリメントなどを活用して栄養バランスを整えてみてくださいね。
■猫にシャンプーは必要?
猫は基本的に非常にきれい好きな生き物です。
猫自身で体をグルーミングすることができるので、健康体であれば、基本的にはシャンプーは必要ないといわれています。
室内で暮らしている猫の場合は大きく汚れるようなこともないはずです。
ただし、体質的な理由で皮脂が過剰に出てしまい、ニオイやべたつきが発生したり、皮膚に繁殖してしまった雑菌などが原因で皮膚トラブルを起こしている場合は、治療の一環としてシャンプーを行うことがあります。
この時、使用するシャンプーは動物病院などで処方される薬用シャンプーとなり、一般的なシャンプーとは異なりますので指導された方法でシャンプーをする必要があります。
おわりに
今回は、猫の皮膚トラブルを防ぐためにできる取り組みについてご紹介いたしました。本来猫はキレイ好きな生き物ですが、猫の個性もさまざまです。毛づくろいが苦手な子、体質的に皮脂が出やすい子もいます。
猫にそれぞれ個性があるように、猫によって効果的な対策もさまざまですので、今回ご紹介したポイントを踏まえながらケアしてあげてくださいね。