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2023.06.22
みんなはどうする?備えてる?猫と一緒に防災グッズを考えよう
もしも、近くで自然災害や緊急事態が起こったとき、私たちは一緒に暮らす猫たちのためにどのように対応すればいいのか、考えたことはありますか?
家族の一員である猫の命と安全を守るためには、緊急時にはどのようなことに備えておく必要があるのでしょうか?
災害時には、自分自身も、周囲や行政も状況が混乱することが予想されます。普段とは違う環境を想定しながら、「猫と一緒に避難する時の防災グッズ」というテーマで、猫と共に災害時に備えるときの重要なポイントを調べてみました。
まずは、非常時の避難先を把握しよう。
災害が実際に起こる前にできることとして、まずしっかり把握しておきたいのは「避難先」の情報を集めておくことです。
地域の避難所や宿泊施設が猫と一緒に利用できるか調べましょう。
残念ながら、日本国内では猫と一緒に避難することができる公共の避難所は決して多くはありません。探す際には少しエリアを広げて、隣接する自治体くらいまでは調べてみることが推奨されています。
とはいえ、周囲に猫と一緒に避難が可能な施設がなかったり、交通機関が使えなかったりといった理由で自宅で待機、退避をせざるを得ないというケースも少なからずあると思います。
また、親族や友人、知人の家などが猫と一緒に避難できる場所となる可能性もあります。お互いに連絡先を共有し、緊急時には助け合うことができるようにしておくと安心です。
場合によっては、家族が車を持っているようであれば車の中で家族と一緒に避難させることも選択肢になります。車の中であれば、家族と一緒で猫にとってのプライベートもある程度確保されますので、ストレスも抑えることができるかもしれません。
猫と一緒に利用できそうな避難先があるようであればその候補を把握し、その情報を常に最新の状態に保つことが重要です。
災害が迫った際には、迅速かつ安全に行動することが求められます。いざ、という時のためにこれらの情報をある程度まとめておき、手元に用意しておくと役立ちます。
★自宅での待機について
また、地域や自治体によって、まずはガイドラインで自宅待機が定められているケースもあります。その場合は、各自治体の定めたガイドラインに従い、室内の安全な場所に退避しましょう。
自宅退避といっても状況が変わったり、建物の倒壊リスクが出た場合などは避難先への移動が必要になることもありますので、自宅だからと言って何も備えないというのはリスクがあります。いざという時のために持ち出せる防災グッズは用意しておいた方が良いと思います。
自宅待機を行う場合は最新の情報が集まりにくくなるという点もありますので、ラジオなどを用意しておき、適宜情報収集ができるようにしてください。
防災グッズを用意するにあたって
私たちの家族である猫の安全を守るために、緊急時までに備えておきたいのが防災グッズ。どのような事態を想定して災害時の備えをしておくべきなのでしょうか。
まず、緊急時の備えとして知っておきたいポイントは「普段と違う環境に身を置くことになる」ということです。
猫にとって、慣れない環境というのは非常に強いストレスとなります。家族と一緒に避難できるのか、猫だけを預けることになるのか、状況によってさまざまなことが想定されます。事前に避難先がある程度分かっていれば、それに合わせて防災グッズの選択も絞ることができます。
緊急避難時の猫のトイレ問題について考えよう
災害時の避難では、持っていくことができるものは限られます。
その中で、猫のトイレ用品を持ち出すべきか否かについては、悩む方も多いのではないでしょうか。
先ほどもお伝えした通り、避難場所や避難先の状況によって持ち出す必要があるものは変わってくるはずです。車内避難や知人宅への避難であれば、猫が普段使っているトイレに近い環境を作ってあげることで安心できるかもしれません。
また、公共の避難所で、猫も一緒に利用できるところであれば、猫や犬などのペット用のトイレスペースを設けていることもありますが、全ての避難所でそういった場所があるという保証はありません。事前にどのような状況になるのか、情報収集をしておくことができれば安心ですね。
また、災害時には移動が必要な場合もあります。その際、猫が長時間のトイレを我慢することになれば、ストレスや体調不良につながることもあります。その際、持ち出したトイレ用品があれば、役立つ場面も多くあるはずです。
ただ、猫のトイレ用品は大きくかさばることも多いですよね。他の必需品や緊急時の備えの都合上、普段使っているものをそのまま持ち出すというのは現実的ではないかもしれません。その場合は、コンパクトな持ち出し用のものを買っておく、というのも一つの手。折り畳みができるものや、猫砂を燃えるごみとして捨てることができるものもありますので、調べておくのも良いかもしれません。それから、排泄物を捨てるたり一時的に持っておくためのニオイが漏れにくい袋なども多めに用意しておくと、なにかと役立ちます。
総合的に判断すると、災害避難時に猫のトイレ用品をそのまま持ち出すことは、現実的ではないことも多いです。避難先や避難所の状況、避難期間などを考慮したうえで、トイレの砂やトイレそのものなど、必要に応じて準備をしておくのが良いと思います。
猫の食料、飲み水について
災害時には人間用の食事は、自治体などである程度備蓄があり、避難所で配られることもあるのですが、猫の食事となると事情は変わってきます。基本的に、猫の食事や飲み水に関しては公的なサポートがあることはありません。
猫の安全と健康を守るために、食料と飲み水は家族が責任を持って備えておく必要があります。
非常食として用意するのであれば、やはり猫が食べ慣れたキャットフードをある程度の期間分準備しておくことが必要です。災害時には通常の食品の入手が難しくなる可能性があるため、数日分以上の食料を用意し、保存期限に注意しながら定期的に入れ替えしましょう。
また、猫の食器として使える軽量で割れにくい容器も必要です。
プラスチックや軽い金属製の容器なら、丈夫で緊急時に持ち運びが容易です。
食器は清潔に保つためにも予備のものを用意しておくと便利です。
さらに、水の備蓄も重要です。
食事と同様、水に関しても猫のために配られることはほとんどありませんので、非常用の飲料水を持ち運び、猫が十分な水を確保できるようにしてあげられればベスト。猫自体の飲水量は人間よりも少ないので、大量に持ち出す必要はありません。
食事にしても、水にしても備蓄品は定期的に入れ替えを行い、災害時にも猫の安全と幸福を守るために万全の準備を行いましょう。
猫のための防災グッズリストの例を見てみよう
【必ず準備しよう】
・ペットフード、水(5日分程度)
・キャリーバッグや持ち運べるケージ
・毛布、ブランケット類(防寒具、ケージの目隠しなどに使う)
・予備の首輪(伸びないもの)
・携帯用トイレ、それに準ずるもの(簡易トイレ、トイレシートなど)
・持ち運びしやすい食器類
・(必要な場合は)療法食、薬
【あると便利】
・動物病院の診察券、ワクチンの接種状況などが分かるもの
・トイレ用品 (使い慣れた猫砂、または使用済猫砂の一部)
・洗濯ネット(猫がパニックになったときに入れておく)
特に重要になるのが、療法食や薬関連です。病気の治療中などで療法食を続ける必要がある子は、きちんと療法食を持ち出し用に分けて保管しておくようにしてください。緊急時は猫のための療法食や医療品は手に入らないことが多いです。
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ちなみに、tamaのスタッフは小分けパックになっているドライフード数日分と、ウェットフードのほかトイレシートや食器類などをまとめてキャリーバッグに入れて保管してあります。緊急時には猫を入れてそのまま持ち出すつもりです。
獣医師からのアドバイス
猫は、びっくりすると狭いところに逃げ込む習性があります。そのため、災害時にはびっくりして押し入れなどに逃げ込んでしまったり、パニックになって外に飛び出してしまう、なんてことも多く起こります。普段から逃げ込む場所を把握しておくこと、また避難用のキャリーバッグを静かなところに置いておき、慣らしておくことは効果的と言えます。パニックに関する部分で言うと、避難中や避難先で猫が脱走してしまった場合は、捕まえることは非常に困難です。キャリーバッグに入れているとしても、ハーネスとリードを付けておくことで脱走のリスクを抑えることができます。普段からハーネスなどを付けている猫は多くはないと思いますので、こちらもある程度慣らしておくことが必要かもしれませんね。
獣医師目線で言うと、必ず備蓄で注意してほしいのが「療法食」「医薬品」に関することです。
支援物資が支給されるようになっても、その中に猫用の療法食・医薬品が含まれている可能性は限りなく低いといえます。継続的に与える必要があるフードや薬、与えなければ体調が悪化することが分かっている薬などがある場合は、「必ず」余裕をもって準備しておきましょう。
ちなみに、薬に関しては同じ薬を複数の会社が販売していたり、1錠当たりの容量が異なることも珍しくありません。薬の名前や容量をメモして避難袋に入れておくと、ほかの動物病院を頼ることになった場合でも引継ぎがスムーズに進むと思いますので、ぜひ備えておいてほしいです。
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tamaの獣医さん 菱沼獣医師
獣医学部を卒業後、動物病院での臨床・栄養指導を経験した後に公的機関で獣医師として勤務。現在はtamaのアドバイザー、商品開発などに携わる。中型犬、小型犬と一緒に暮らしていますが、猫のことも大好きです。
おわりに
今回は、いざという時猫と一緒に避難する時に必要になりそうなものについてまとめてみました。
昨今ではさまざまな自然災害などで避難が必要になる場所も出てきています。猫たちを守ることができるのは家族だけです。緊急時に猫たちをスムーズに安全な場所に連れていけるよう、普段から避難場所やフードの保管などについて把握しておくことはとても大切。
どんな人でも緊急時には慌ててしまうものと心得て、準備をしておきたいものですね。