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2021.08.19

これってどういう意味?キャットフードの保証分析値について調べてみました

これってどういう意味?キャットフードの保証分析値について調べてみました

キャットフードを選ぶときにキャットフードの詳細をチェックするという方もいます。キャットフードにおいては、「詳細」と呼ばれるものは保証分析値や使用される原材料、カロリーなどを指す場合があります。

キャットフードの詳細な情報を知るうえでとても大切な保証分析値とは、一体どんなものなのでしょうか。保証分析値からキャットフードを選ぶときにはどのような視点でチェックをしていくのが良いのでしょうか。チェックするときに注意したいポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

今回は、キャットフードの保証分析値について少し深掘りして調べてみました。

キャットフードの保証分析値とは?

キャットフードの詳細やパッケージのココの部分についてのお話です。

キャットフードの詳細やパッケージのココの部分についてのお話です。


キャットフードの詳細な情報を表す保証分析値はどのようなものを表しているものなのでしょうか。

簡単に言うと、キャットフードにはどんな栄養がどれくらい含まれているかを保証することを表すもので、ペットフード安全法によって、タンパク質、脂質、粗繊維、灰分、水分の表示は義務付けられているほか、必要に応じてさまざまな成分が表記されています。このキャットフードには最低限でもこのくらいは含まれている、ということを保証するものでもあります。
人間用の食品などについているものは「成分分析値」と呼ばれ、その食品に含まれる成分の量を保証するものではない、ということが大きな違いです。

表示が義務付けられていない栄養素については、表示するかどうかはメーカーによって異なるため、知りたい栄養素の保証分析値がどれくらい細かく記載されているかというのも、キャットフード選びの際のひとつの基準としている、という方もいます。

 

栄養素によって、保証分析値での表記方法には違いがあります。タンパク質や脂肪の場合では「〇%以上」と表記されますが、灰分、粗繊維、水分では「〇%以下」と表記されます

猫にとってエネルギー源でもあり、体の細胞などを作るためにも重要な役割を果たすタンパク質や脂肪は、最低でもこれくらいは含まれているという値を表しています。これらの栄養素には、総合栄養食としての基準において上限が設けられていないので、このような書き方になっています。

一方で「〇%以下」と表される栄養素は、栄養基準において上限値が指定されている場合などに使用されるほか、多すぎることでカロリーなどに影響するためこのような表記が慣例となっています。

保証分析値の代表的な項目について

次に、キャットフードの保証分析値で注目したい項目の見方と、ポイントをまとめてご紹介します。
また、各栄養素の栄養基準については日本ではより多くのフードで採用されているAAFCO基準を参照しています。

■タンパク質

猫にとって最も大切な栄養素のひとつがタンパク質です。タンパク質は体を構成する細胞などの基本的な材料となるほか、生命維持や活動に必要なエネルギーを作り出すためなど、さまざまな用途に使用されています。
主に肉や魚などのほか、豆類などを供給源とすることが多いですが、高温で乾燥処理して水分をなくしたミートミールを使用することでもフード全体に対するタンパク質の量を増やすことも可能です。

AAFCOでは、タンパク質の栄養基準は成長期の猫では30.0%以上、成猫では26.0%以上と定められています。

きちんと総合栄養食の基準を満たしているキャットフードを与えている限りは、タンパク質が不足することはまずありません。プレミアムキャットフードではタンパク質はだいたい30%以上のものが多いようです。

 

■脂質

脂質はタンパク質と同様に猫にとって非常に大切な栄養素のひとつです。主にエネルギー源として使用されるほか、体温の維持、ホルモンをつくったりするために必要となります。
また、脂肪に含まれる成分の中にはそれ自体が健康維持に役立つものもあり、代表的なものにオメガ3脂肪酸などがあります。
キャットフードでは、肉や魚に含まれる脂肪分のほか、オメガ3などの供給源としてフィッシュオイルやフラックスシードオイル、オメガ6脂肪酸の供給源としてボラージオイルなどのオイルが使用されることもあります。


AAFCOでは、脂肪の栄養基準は成長期の猫では1.0%以上、成猫では0.6%以上(いずれも乾物計算)と定められています。

総合栄養食の基準を満たしているものであれば、こちらもまず不足することはありません。プレミアムキャットフードでは、成猫用のフードであれば脂肪は10%以下のものはあまり見かけません。当然、体重管理用の療法食では脂肪がやや低くなる傾向はあります。

脂肪分が多いキャットフードを与えると肥満になりやすくなるほか、ウンチがゆるくなりやすくなります。便秘気味の猫はあえて高脂肪の食事を与えることで便秘になりにくくなることもあります。

 

■粗繊維


粗繊維は、キャットフードに含まれる繊維質の量を表しています。いわゆる食物繊維のことなのですが、水溶性食物繊維はここに含まれず、不溶性食物繊維のみが粗繊維に含まれます。
その理由は現在の保証分析値の算出方法では水溶性食物繊維を正確に計測することができないため、粗繊維には含まれていません。「粗」

繊維質はおもにウンチを固めるなど消化器系の調子を整える役割があるほか、繊維質が多いフードはカロリーが低めになります。

AAFCOの栄養基準では、粗繊維の基準は明記されていませんが、最近のキャットフードでは原材料となる野菜やフルーツなどの食材に繊維質が含まれるほか、猫のお腹の健康維持やカロリーを抑えるために5%程度含まれていることが多いです。
野生の猫たちは捉えた獲物を丸ごと食べていましたが、その際に食べた被毛などが不溶性食物繊維としての役割を果たしていたと考えられています。

 

■水分


水分はその名の通りキャットフードに含まれる水分のことです。
当然、ドライフードなのか、ウェットフードなのかで含有量は大きく異なります。

水分量については、ペットフード公正取引協議会によって明確な基準が設けられていて、水分量が10%以下のフードをドライフード、水分量が25~35%程度のフードをセミモイストフード、水分量が75%以上のフードをウェットフードとして定義しています。

ドライフードでは、保存性を高めるために水分を減らして製造しているので、水分量が多くなるということはまずないのですが、水分量がより多いフードはカビや傷みが進みやすい傾向にあります。

 

■灰分

灰分は、保証分析値においてはミネラル類の量を表すことが多いです。
灰分という呼び方は、食品を燃焼させて残ったものの量を計測する方法がとられることからつけられた呼び名です。

灰分に含まれるミネラルの量は他の栄養と比較すると多くはありませんが、骨や歯を形成するカルシウムやマグネシウム、赤血球の基本的な材料となる鉄分、体内の水分量を調整するナトリウムやカリウムなどがあり、健康維持には大切ない栄養素です。

AAFCOの栄養基準では以下の基準が設定されています。

 

炭水化物は保証分析値に含まれないの?

キャットフードの保証分析値を見ていると、「炭水化物」の項目がないことに気が付いた方も多いと思います。
炭水化物は、AAFCOなどの総合栄養食の栄養基準では炭水化物に上限や下限も設定されていないため、キャットフードにどれくらい炭水化物が含まれているかを表示する義務もなく、ほとんどのキャットフードでは保証分析値に炭水化物の項目がありません。

ちなみに、100%から他の保証分析値の%を引くことで大まかな炭水化物の量を知ることはできます。

たとえば、タンパク質 30%以上、脂質 10%以上、粗繊維 7%以下、灰分 5%以下、水分 10%以下のキャットフードの場合、100-(30+10+7+5+10)=約38%となります。

おわりに

今回はキャットフードの保証分析値についてご紹介しました。
一見すると分かりにくい保証分析値ですが、全体に対してその栄養がどれくらい含まれているのかを表している数値です。キャットフードが猫に必要な栄養をしっかり含んでいるかどうかはもちろん、とくに意識したいポイントがある場合にはそれぞれのお悩みに合わせた成分がどれくらい含まれているのかなども、チェックすることができます。
ただ、保証分析値で表示が義務付けられている成分には限りがあることから、メーカーによって表示されている成分にバラつきがあるのが現実です。tamaの商品詳細ページでは、なるべく詳細で分かりやすいようにメーカーに確認をとり、表記を統一して少しでも分かりやすいように工夫しています。
保証分析値を見て、分からないことがある場合などは、tamaのコンサルティングサービスでご相談していただくこともできます。少しでも皆さまと猫たちの食事選びのお役に立てれば幸いです。

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