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2021.03.04

もうすぐ世界腎臓デー!猫の腎臓ケアに役立つ情報 リンについてご紹介

もうすぐ世界腎臓デー!猫の腎臓ケアに役立つ情報 リンについてご紹介

猫に多いといわれている腎臓病ですが、腎臓病について調べていると「リン」という栄養素が関係していることが紹介されることが多いです。
「腎臓病の猫にはリンの制限が必要」や「リンは与えすぎてはいけない」という意見を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。でも、なぜ腎臓の健康維持にはリンのコントロールがポイントになるのでしょうか?
今回は改めて猫の腎臓の健康とリンの関係についてご紹介します。

リンについての基礎知識

■リンの猫の体の中での役割について

猫の腎臓病について調べていると、なんだか厄介者のように感じてしまうリンですが、リンも猫にとって必須の栄養素のひとつです。腎臓病が気になるからといって、リンを一切とらないというのは現実的ではありません。

リンは、猫の体の中でエネルギーの代謝に関係している栄養で、主に脂肪酸やアミノ酸をエネルギーとして使用する際に必要となる物質(ATP)の材料となっています。健康的な猫でリンが不足してしまうと、猫が体内でエネルギーを合成するのが難しくなり、体力が低下することがあります。

また、細胞膜の構成成分であるリン脂質にもリンが含まれています。細胞を保護し、維持するためにも、リンは必要な栄養なのです。
そのほかでは、カルシウムと結合し、骨や歯を強化する役割を持っています。

■リンが含まれている食材にはどんなものがあるの?

リンは高タンパクの食べ物に、より多く含まれる傾向にあります。肉食獣である猫は、より多くのタンパク質を必要としますが、タンパク質を多く摂取すると自然とリンも多く取ることになってしまいます。

身近な食材では高タンパクの肉や卵、魚のほか、乳製品などにもリンが多く含まれています。納豆や大豆などの植物性タンパク質の豆類もリンが豊富です。

リンと腎臓病の関係

リンと腎臓病にはどのような関係があり、腎臓病の猫はリンの制限が必要になるのでしょうか?

 

■腎臓病の猫がリンの制限が必要になる理由

食事から取り込まれたリンは、猫の体の中で必要となる量を残して不要な分はオシッコとして排出されます。この時、加齢や腎臓病などによって猫の腎臓の機能が低下していると、リンを上手くオシッコとして排出できなくなってしまいます。すると体内には役目を失ったリンがどんどんと蓄積されていくことになります。

猫や私たち人間の体には、体内の環境を一定に保とうとする機能があり、その働きをする物質の中にはパラソルモンというホルモンがあります。パラソルモンはリンとカルシウムをコントロールする働きがあり、体内で増えすぎてしまったリンの調整を行おうと命令を出すようになります。

パラソルモンはリンの血中濃度を下げるよう腎臓に働きかける信号を出すだけではなく、同時に骨を溶かしてカルシウムを血液中に増やすという作用を持っています。
しかし、腎臓は機能が低下している猫の体では、パラソルモンがいくら働いても、体内のリンを排出することができません。そのためパラソルモンは信号を出し続けることになって、骨からカルシウムだけがどんどん取り出され、骨が弱くなってしまったり、腎臓にカルシウムの結晶が作られるほか、腎臓の組織にダメージだけが積み重なって腎不全に繋がってしまいます。

これらのことから、腎臓の機能が低下している猫はリンのコントロールが必要になるのです。機能が落ち始めている腎臓を少しでも労わるための工夫として、リンの制限が必要になります。

 

■猫の腎臓を労わる食事とは?

猫の腎臓に負担となることがあるリンですが、最初にお伝えした通りリン自体は猫に必須の栄養素でもあり、タンパク質を摂取すると同時に摂取することになることが多く、リンを全く摂取しないというのは現実的ではありません。

ですから、猫の腎臓の働きに合わせて、過剰になりすぎないように、なるべくリンの低い食事を選ぶことがポイントになります。
高タンパクのフードは、ほかのフードと比べてリンの数値も高い可能性があります。高齢になったり、腎臓の数値が気になるなどの指摘を動物病院で受けた猫は、それまで高タンパクのキャットフードを食べてきたようであれば、ある程度までタンパクとリンを抑えたフードを選ぶようにしましょう。
猫の体調に合わせて適度なタンパク量と低リンの食事を選ぶことを選択肢に入れることも必要になるかもしれません。

腎臓の健康を意識した低リンのキャットフードはこちら

*1  tama ボナペティ ラム&フィッシュ

*2  ナウフレッシュ グレインフリー フィッシュアダルトキャット

おわりに

猫に多いといわれている腎臓病ですが、その進行を遅らせるためにはリンを制限することが効果的です。リンの特長を知って、適切にフード選びをしていくことが腎臓が気になる猫の健康管理ではとても大切です。
肉食獣である猫にとって、非常に重要な栄養のタンパク質と密接にかかわっているリン。上手くリンの摂取量をコントロールすることができれば、腎臓の数値が気になるようになったり、高齢の猫であってもそれまでと変わらず過ごすことが出来るともいわれています。ですから、猫の腎臓の健康維持の鍵となるリンについて正しく知り、食事選びにも役立てていきたいですね。

猫に腎臓病が多いワケについてはこちら!

*1  猫で腎臓病が多発する原因を解明?!AIMタンパクとは?