- コラム
- スタッフコラム
2020.01.30
キャットフードのビートパルプについて調べてみました。#調査隊レポート
皆さま、猫たちの毎日の食事であるキャットフードを選ぶときにはどんな基準で選んでいますか?猫の好み、原材料の種類、製造国や栄養バランスなど、色々な基準があると思います。
でも、無視できないのは「安全性」という観点ですよね。tamaでお取り扱いしている商品たちは、いずれも独自の視点とバイヤーたちの厳しい目で安全性についてもチェックをした上で、信頼できるものだけを選んでいます。しかし、インターネットが発達している今、「○○ってあまり良くないらしい」とか「あれはやめたほうがいいよ」など、心配になってしまうような情報が飛び交っていて混乱してしまうことも少なくないですよね。
そこで猫の健康を願うスタッフが皆さまに代わって、さまざまなキャットフードの原材料や製造方法について調べてみるシリーズ。
今回扱うのは「ビートパルプ」「ビートファイバー」という原材料についてです。それでは、調査隊のレポートを猫と一緒にどうぞご覧ください。
ビートパルプ=ビートファイバーとは一体なに?
パルプ、と聞くとついつい紙パルプを想像する方も多いかと思いますが、そうではありません。
ビートパルプとは、日本では甜菜(テンサイ)・サトウダイコンと呼ばれる野菜から取れる繊維質のことです。
お野菜由来の食物繊維、といわれると少々印象が変わりますよね。
もともと、テンサイは砂糖を作ることが可能で、日本国内で生産される砂糖の原材料としては全体の75%を占めています。もうひとつ、砂糖の原材料として有名なものといえばサトウキビですが、サトウキビから作られる国産の砂糖はテンサイから作られる砂糖の1/3ほどです。このように、テンサイは意外にも人間の生活に身近な野菜ということです。
日本国内では北海道を中心とした寒冷地で栽培されています。
ちなみに、サトウダイコンという別名がありますが、いわゆる大根とは全く異なる種類の野菜で、見た目が似ているためにサトウダイコンと呼ばれているそうです。
そんなテンサイから砂糖を作る過程で、絞った汁を取り除いた繊維の部分が牛や馬などの食事やペットフードの繊維源として使用されることがあり、これをビートパルプやビートファイバーと呼んでいます。
ビートパルプは猫たちにとって悪影響を与えるもの?
テンサイ自体は人間用の食材ですので、危険ではないはずですが、副産物であるということからあまり良い印象を持っていない人も多いようです。
そして、”ビートパルプは化学的な薬品を用いて加工されているため、猫たちにとっても悪影響がある”といった都市伝説的な話もあります。
しかしながらキャットフード以上にビートパルプが使用されることが多いのは、家畜用の飼料です。牛などの食事に使用されることが多いようなのですが、これらの牛が化学的な薬品が残っているビートパルプを食べていたとしたら、私たちの食品の安全性の面で考えても不安になってしまいますよね。
ビートパルプを精製する際の工程としては、主に乾燥や圧搾(圧力をかけて絞る)といった工程はありますが、何か有害な化学的な薬品を使用して精製するということはないと思います。
副産物であるビートパルプを使用しているからといって、直接悪いキャットフードだと結びつけるのは少し乱暴な印象を受けます。天ぷらを揚げるときに出る揚げ玉も副産物ですが、危険なものではありませんよね。
-
ビートパルプを加工する段階で使用される、といわれるのは化学的な漂白剤です。しかし、少し調べてみると、牛や馬、犬や猫たちの「飼料」や「原材料」として販売されているビートパルプにはしっかりと植物由来の深い緑色がついています。漂白されている、といわれるようになったのは、もしかするとビートパルプと紙パルプを混同してしまっているからなのかもしれません。(白い紙を作るために、紙パルプの製造には漂白の工程が含まれます)
先述の通り、紙パルプとビートパルプは全くの別物ですので、ご安心ください。
なぜキャットフードにビートパルプを使用するの?
■ビートパルプは優れた繊維質を持っているから
ビートパルプをキャットフードに使用する背景としては、繊維質の供給源として使用するケースが多いようです。同じようにキャットフードの繊維質の供給源としては、セルロース、エンドウマメ繊維、ポテトファイバー、トマトポマスなどがありますが、そんな中でもビートパルプは水溶性食物繊維と不溶性繊維のバランスが良く、お腹で働く有用菌の餌となり、腸内環境を整え良いウンチを作る能力がトップクラスです。そして、その能力は多くのフードメーカーが認めているからこそ、使用され続けている原材料だともいえます。
ただ、メーカーによっては「あえて」使用しないという考えを持っているところもあるようなので、それに関しては各メーカーやブランドの哲学や理念による、といったところでしょうか。
ビートパルプを使用しているから良い/悪いということではなく、チキンやビーフ、サーモンを使用しているフードがそれぞれあるように、猫たちのフードの原材料の選択肢の一つとして、ビートパルプいう原材料もあります。猫たちのフード選びの際には、さまざまな基準でフードを選ばれる方が多いと思いますが、猫たちにとって適切な栄養バランスであるか、アレルギーが出る可能性がある食材が使用されていないかなど、ほかの条件とも照らし合わせながら猫たちに合うフードを探すようにしたいですね。
■ 猫にとっての繊維質について
一般的に、食物繊維はウンチのかさを増したり、腸内細菌のエサとなる働きが知られていますが、本来は肉食動物である猫たちにとって、繊維質は本当に必要な栄養素なの?と疑問に思われる方もいるかもしれません。
野生の猫たちをはじめとした、野生の肉食動物の多くは草食動物たちの羽や被毛など、消化できないはずのものも肉と一緒に食べているといわれています。これらの被毛などが不溶性食物繊維と同じようにウンチの形を整える役割を果たしているのでは、とも言われています。今、私たち人間と暮らしている猫たちは、動物たちを羽や皮ごと食べたりすることは難しいですよね。そこで繊維質も一定量摂取することが必要になっているわけです。
ビートパルプは、ウンチのかさを増やす不溶性食物繊維と、腸内細菌のエサとして働く水溶性食物繊維の両方の特徴をバランスよく持っているといわれています。そのため、胃腸が弱く下痢を起こしやすい猫や消化器系の猫向けの療法食にも使用されることがあります。
おわりに
副産物、というイメージや漂白されているといったイメージを持たれがちなビートパルプ。調べてみると、猫たちの健康にもきちんと役立つ野菜由来の原材料であることが分かりました。総合栄養食タイプのキャットフードだけではなく、療法食などにも使用される原材料です。
様々な情報を手軽に見ることが出来るからこそ、その情報に惑わされないようにフード選びをしていくことが大切ですね。
ウンチの状態がなかなか安定しない猫たちにとって、ビートパルプは効果的に働いてくれることがある原材料です。「うちの子はお腹が弱いから、ビートパルプが入っているものも使ってみようかな」といった具合に、猫たちの体調に合わせたフード選びの際に活用してみてくださいね。