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2024.10.24

猫にとって、なぜ必要?必須ビタミンってどんなもの?[#調査隊レポート]

猫にとって、なぜ必要?必須ビタミンってどんなもの?[#調査隊レポート]

食事はバランスよく、とよく言われます。子供のころからさまざまな食べ物を好き嫌いなくバランスを意識して食べるようにいわれた、という方も多いのでは。
でも、猫は?猫は純粋な肉食獣といわれるように、主食はほとんどが肉。キャットフードに使用される原材料を見ても、プレミアム品質になればなるほど肉の比率が多くなっていくもの。

ここでふと、不思議に思いました。
猫って、野菜やフルーツに含まれるビタミンって摂らなくても大丈夫なのかな?と。
ということで、今回は猫の健康維持とビタミンの関係について改めて調査してみました。

猫のような肉食獣には、ビタミンが必要なの?


猫が食事から摂取する必要がある栄養のうち、タンパク質や脂質、炭水化物などのカロリー源となるエネルギー産生栄養素に比べ微量でありながら、健康的な機能を維持するため必要な栄養のなかに、ビタミンと呼ばれるグループがあります。

ビタミン最大の特長は、体内ではほとんど合成することができないこと。さまざまな食材から摂取する必要があるのは、人間も猫も同じです。
でも、なんとなくビタミンと聞くと…野菜やフルーツに豊富なイメージがありませんか?
お肉ばかり食べていると、「野菜も食べないと栄養が採れないよ」なんて叱られたことがある方もいるのでは。
肉食動物である猫たちは、どのようにしてビタミンを摂取していたのでしょうか?

その答えは、ずばり「内臓」にありました。
動物の心臓や肝臓には猫たちが食事から摂取する必要があるビタミン類やミネラル類が豊富に含まれています。そのため、こういった内臓をしっかり食べることが野生の動物にとって必要不可欠なこと。
それから、動物の生肉に含まれる血液や骨髄なども重要な栄養源。全身に栄養を届ける血液にはさまざまな栄養が溶け込んでいますから、それもしっかり摂取することで栄養補給をしていたと考えられているのです。

猫たちは獲物を捕まえると、内臓や血液、骨髄まで残さず食べていたと考えられています。そういった部分から、必要なビタミンを摂取していたんですね。
しかし、現代の私たちが手に入れることができる肉類は、内臓や血液などとは完全に分けられた「精肉」の状態になっています。だから、お肉だけを食べているとビタミン類が不足してしまうのです。

猫の体内で活用されるビタミン

肉食動物である猫ですが、生命維持や健康維持のためにビタミンなどの栄養素は必須となっています。

ビタミン類にはさまざまな役割があり、中でも三大栄養素であるタンパク質・脂肪をエネルギーに変える"代謝"は、ビタミン類が不足することでスムーズに行えなくなってしまいます。
つまり、いくらタンパク質や脂質が豊富な肉類などの食事を与えても、十分にビタミン類を摂取できていなければ、エネルギーとして使うことができず、無駄になってしまうのです。いくら体に良いものであっても、それだけを食べていると栄養バランスが崩れて正しく体内で使うことができないというのは、人間も猫も同じですね。

それから、もう一つ重要なのが、細胞を合成する際に使用されるという働き。
猫に限らず、すべての生き物は常に新しい細胞を作り、古い細胞と入れ替えて健康的な状態を維持しようとします。
しかしビタミンが不足すると、細胞の再合成が滞ってしまうことも。
体の部位によって細胞が入れ替わるサイクルがそれぞれありますが、ビタミンが不足している影響で、皮膚や被毛の細胞の代謝サイクルが乱れ、トラブルという形で現れることも少なくありません。

猫の必須ビタミンとは

猫たちが健康を維持するために必要な、「必須ビタミン」の中から代表的なものをご紹介します。
それぞれ重要な役割を持っています。

■ビタミンA
ビタミンAは、視力や皮膚・被毛の維持、骨の発達など成長の基礎につながる栄養素です。とくに視力維持に必要な視細胞を合成するために必須となります。
ビタミンAが不足すると被毛のパサつき、皮膚のかゆみなどが出ることもあります。これは皮膚や被毛を保護する皮脂を作る際にビタミンAが必要となるためです。

ちなみに、抗酸化成分でもあるβカロテンは、人間や犬の体内ではビタミンAに変換され、使われるのですが、猫はβカロテンからビタミンAを作るための酵素がありません。そのためビタミンAはビタミンAとして摂取する必要があります。
ビタミンAを豊富に含む食材には、レバーなどがあります。

■ビタミンB群(B1 / B2 / B6 / B12)
ビタミンB群にはB1やB2といったさまざまな種類が存在し、それぞれの働きは微妙には異なりますが、主にタンパク質などからエネルギーや血液を作る際に活躍するほか、神経系の健康維持にも関わるといわれています。
肉や魚、レバーなどのほかバナナやパプリカといった植物性の食材にも多く含まれています。

■ビタミンD
人間が体内で合成できるビタミンDですが、猫はビタミンDを体内で作ることが出来ません。なので、猫はビタミンDを食事から摂取する必要があります。
ビタミンDは骨や歯を育てるほか、血中カルシウム濃度を調整するためにも活用されています。
こちらも基本的には総合栄養食を食べさせている限りは不足することはありませんが、栄養としてはイワシやマグロなどの脂肪分の多い魚およびレバーに多く含まれています。

■ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があるといわれています。そのため、キャットフードの酸化防止のために使用されている側面もあります。
ビタミンEはストレスなどによって猫の体内で増えた活性酸素による細胞のダメージを軽くすることで、猫の細胞の老化を防ぎ健康的な細胞の新陳代謝を維持する働きがあるといわれています。



■ 猫はビタミンCを体内で作ることができる

人間では美容や健康に良いといわれるビタミンCですが、実は猫にとっては必須の栄養素ではありません。なぜなら、猫はブドウ糖をもとにビタミンCを体内で合成できるから、食事から摂取する必要がないのです。

しかし、食欲不振のために材料となるブドウ糖が不足していたり、ビタミンCを合成する肝臓の働きが低下していると合成能力が低下し、不足することもありますので要注意。
高齢の猫で食欲が低下し、肝臓の働きも落ちたためにビタミンC不足になってしまうこともあるようです。

キャットフードの栄養バランス

猫にとってビタミン類は必須栄養素ですが、総合栄養食の基準を満たすキャットフードは、どうしても原材料のみで十分に取り入れることが難しい栄養の一つでもあります。
猫は肉食動物なので、動物の内臓や血液などから取り入れることができればベストなのですが、衛生面や品質管理、そしてコストの観点などから難しいというのが現実。
なので、総合栄養食の基準を満たすキャットフードでは、ビタミン類を添加して調節する必要があるケースも少なくありません。
手作り食でも同様で、猫のための手作り食を作るとどうしてもビタミン類は不足しやすくなります。継続的に手作り食を与える場合は、ビタミンなどを補うサプリメントを取り入れるなどして調節してあげることが大切です。

おわりに

猫は肉食動物ではありますが、健康的に活動するためにはビタミンが必須です。人間のように野菜やフルーツを食べさせる必要はありませんが、猫が好む肉類などばかりを与えていたり、偏食が続くと不足することがあります。
総合栄養食の基準を満たすキャットフードを与えていれば不足することはありませんが、食の好みが偏りやすい子では注意が必要です。
手作り食を考える際には、サプリメントなどでビタミンの補給を意識するようにしてください。