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- 猫研究所
2024.09.05
季節の変わり目に要注意、ヘアボールの対策を考えよう
季節の変わり目は何かと体調を崩しやすい時期。人間だと、この時期に風邪をひきやすくなったり、なんとなく疲れが溜まっている気がしたり。「なんとなく、元気が出ないなぁ」と感じる人も多いのでは。
猫にも、季節の変わり目を迎えると増えてくるトラブルがあります。そんなお悩みの代表が「ヘアボールに伴う嘔吐」です。
そういえば、季節の変わり目に吐き戻しが多い気がする…。そんな方のために、スタッフ猫たちが「ヘアボール」についてご紹介いたします。
猫のオエオエの原因?嘔吐につながるヘアボール(毛玉)
猫の嘔吐の原因となる、ヘアボールとはどのようなものなのでしょうか?
猫がグルーミングなどを通して飲み込んでしまった毛が消化器系の中で絡まり塊になってしまったものを「ヘアボール(毛玉)」と言います。通常、ある程度の大きさになる前に嘔吐することで体外に排出されたり、消化管を通ってウンチと一緒に排出されます。
猫が毛玉を吐き出す様子が見られても、スムーズに排出されたり、食欲が落ち込むなどの症状が見られない限りは「正常な反応」とされます。
しかし、便秘気味の猫、体力の低下や体質的などの理由で吐き出すことが難しい場合には消化器官の中でグルーミングをする度に毛玉がどんどん大きくなり、詰まってしまうことがあります。
このヘアボールを排出できないことによるさまざまな病気を「毛球症」と呼びます。
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王子
この前ヘアボールを吐き戻してしまったのだ。毎年季節の変わり目になると抜け毛も吐き戻しも多くなるって家族も言っていたのだ。
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ランラン先生
長毛の猫だと、換毛期の前後は特にヘアボールができやすい傾向にありますね。体調に変化はないですか?
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王子
うむ。元気だし食欲はモリモリなのだ。むしろ吐き戻してスッキリしたかもなのだ。
注意するべきヘアボールとは
カナダの獣医師が行った調査によると、持病がない健康な猫を対象として聞き取り調査を行ったところ、猫が年に2回以上毛玉を吐く割合は短毛種で25%程度、長毛種で50%程度という数字が出たといわれています。
あくまで、これは限られた地域で行われた一つの調査結果ではありますが、だいたい短毛の猫の25%、長毛の猫の約半分は半年に1度以上は毛玉を吐くと考えて良いと思います。
お腹の中で毛玉ができない状態が理想的ですが、毛が長くボリュームのある長毛猫や外での生活が長くブラッシングが苦手な猫などは、どうしても飲み込む毛の量も多くなってしまい、短毛の猫やブラッシングに慣れている猫と比べるとお腹の中に毛玉やヘアボールができやすいといわれています。
そんな中でも、注意が必要なのは消化管を完全に塞いでしまうことで起こる腸閉塞。
体内に入った毛の量が多かったり、上手く吐き戻し(あるいはウンチとして排出)ができない状態が続くほか、ひも状のオモチャを誤飲したりして、お腹の中でヘアボールが大きくなってしまうことがまれにあります。
腸閉塞を起こした猫は、食欲が低下し、ぐったりとしてして命に係わる状態に。緊急手術となるケースが多いようです。
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ゴロー
ボクちんも以前、ひも状のオモチャを誤飲したことがあるであります!ヘアボールと絡まったりしなくてよかったであります!
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ムー
本当よ!もう、心配させるんだから。
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ランラン先生
そうですね、誤飲それ自体でも危険ですから、遊ぶときは家族に見守ってもらうようにしてくださいね。
猫のヘアボールを対策するアイテムピックアップ
厄介なヘアボールは普段の暮らしの中で、ほんの少しの工夫を加えることで対策することができます。今回は、猫のヘアボール対策として取り入れたい成分やアイテムをピックアップしてご紹介します。
■猫が大好きな「猫草」は排出のサポートに
猫の毛玉・ヘアボール対策としてまずオススメなのが、猫草。
猫が好んでムシャムシャする草として知られていますが、実は猫は体内に溜まった毛を吐き戻すために猫草を食べるという説もあるのです。
尖った葉が消化器系を刺激して、吐き戻しやすくしたり、繊維質を補給するために猫草を食べると考えられているそうです。
猫にも好みがあるようですので、すべての猫が猫草を食べるわけではありませんが、ヘアボールや毛玉の対策のひとつとなります。
市販されている猫草は、イネ科のエンバクという植物の新芽であることが多いです。エンバク自体は実の部分をオートミールやグラノーラとして食べているものですが、猫が食べるのは葉の部分。この部分には、猫に有害な成分などは含まれていませんので安心して使えます。
tamaでも販売中!猫が大好きなあの草
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ゴロー
ああ!これはボクちんも大好きであります。知らず知らずのうちに健康習慣できていたでありますね~。
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ナナ
あたちもオバちゃんに1本ずつちぎって食べさせてもらってる~。そういえば、食べた後スッキリするかも~。
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ランラン先生
自分で食べに行く猫、家族が食べさせてあげると食べる子…楽しみ方も色々ですね。
■繊維質、消化器系の働きをサポートする成分
ヘアボール・毛玉ができてしまう原因のひとつには、猫が飲み込んだ毛をウンチとして排出できないことがあります。もともと便秘気味の猫や、運動不足、高齢になって消化器系の動きが悪くなっている場合などに起こりやすいといわれています。
そのため、猫の消化器系をサポートする工夫として、水溶性・不溶性の食物繊維を多めに含んでいるものがあります。
水溶性食物繊維には、腸内細菌のエサとなるという特徴があり、腸内環境を整えるためには必要な栄養素です。同時に、不溶性食物繊維はウンチの量を増やし、猫の腸の中に溜まった毛を絡め取ってウンチと一緒に排出しやすくしてくれます。
また、便秘気味になっている猫には、脂肪分などを少し多めに含んでいるフードや水分量が多いウェットフード、腸内で善玉菌として働く乳酸菌などのプレバイオティクスやオリゴ糖を含んでいるものなどを与えてみるのもひとつの手です。
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ムー
あら。美味しいオヤツでも対策できるんじゃない♪それなら大歓迎よ!
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ランラン先生
毎度言っていますが、オヤツは適量が大切ですよ。
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ゴロー
そうでありますよ、健康維持のためとはいえ、食べすぎには要注意であります!
■ブラッシングは大切!
ブラッシングは猫が飲み込んでしまう毛を減らすために非常に有効な対策になります。換毛期に入って抜け毛がいつもよりも増えている期間は、なるべくこまめに猫のブラッシングを行うことが大切です。
信頼している家族からされるブラッシングを心地よいと感じる猫も多いです。猫との大切なコミュニケーションに繋がりますし、皮膚や体の異変があった時に気が付くきっかけにもなります。
猫の健康維持にブラッシングはとても大切なことと意識して行ってみてください。
ただ、中にはブラッシングが苦手という猫もいます。そういった猫は無理にブラッシングを行ってしまうとストレスを感じてしまいますので、短時間で終わらせるほか、その他の対策も積極的に取り入れて毛球症を予防してましょう。
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王子
とはいえ、やっぱりブラッシングは苦手なのだ。気分が乗らないときにブラッシングされるともっとイヤになるのだ。
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ランラン先生
そうですね、無理に押さえつけたりするとブラッシング嫌いが加速する可能性もありますので、家族も猫も無理なく…がベストですね。
おわりに
猫のヘアボール・毛玉などは季節の変わり目の換毛期に特に多くなります。ですが、猫の吐き戻しや便秘などのトラブルが起こるのを防ぐためには、早め早めにできることを始めるのがオススメです。猫の抜け毛が増え、気になってきたら、始め時といえます。
季節の変わり目に入るころに猫草を用意する、ブラッシングの回数を増やすといった取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。もちろん、消化器系サポート成分を含むフードを取り入れたり、オヤツをヘアボール対策を意識したものに切り替えるのもオススメです。