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2024.02.15
猫の平熱は?体温の測り方や調整方法を解説[#猫研究所]
![猫の平熱は?体温の測り方や調整方法を解説[#猫研究所]](../../../../ext/magazine/images/cat-body-temperature2024_main.jpg)
猫の平熱ってどれくらいだと思いますか?人間の平熱はだいたい36~37℃前後と言われています。
少し前に世界的な感染症がパンデミックを起こした際には「37.5℃以上の体温で発熱」と明確に定義されたり、消毒液が出るディスペンサーに体温計が設置されたりするなど、体温を気にする機会が大きく増えました。
人間では健康状態を知るためのヒントになる体温。普段から意識している方は多くないかもしれませんが、猫の平熱ってどれくらいなのでしょうか?
本日は猫の体温について、tamaのスタッフ猫たちが調査した結果を発表するようです。

猫の平熱ってどれくらい?
成猫の平熱は、直腸の温度で38℃~39℃といわれています。
皮膚で測った場合はそれより少し下がりますが、それでも人よりも1℃程度高いくらいです。
実は、猫の体温は1日の時間帯によって変化しています。
一般的には早朝が最も低く、夕方にかけて徐々に高くなり、夜になると下がっていくというサイクルがあります。とはいえ、急激な変化は体調不良のサインだといわれています。
(例外的にスフィンクスのような平熱が高い品種も存在します)
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ゴロー
どうして、ボクちんたちの体温は人間より高いでありますか?
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ランラン先生
ふむ…。一般的には、運動量が多く筋肉の比率が高い生き物ほど体温が高い傾向にあるそうですから、その影響かもしれませんね。
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ゴロー
マッチョボディの証拠でありますか!
猫はどうやって体温調節しているの?
猫は私たちや犬などと同様に、周囲の外気温に関わらず、ほぼ一定の体温を維持する恒温動物です。猫は脳の視床下部というところにある、温度調節のような機能を持つ、「体温中枢」で体温を調節しています。寒いときは、首元やわきの下など太い血管が通っている場所を隠すように体を丸めて鼻先を突っ込み、熱の放射を最小限に抑えようとします。体温が上がった時は、体をなめ、気化熱で体を冷やそうとします。
年齢や種類などによりますが、猫の平熱は直腸の温度で38℃~39℃といわれています。それ以上になると発熱状態であり、それ以下の場合は体温が下がることにより身体機能の低下が見受けられるようになります。
猫の体温が高いときの症状は?
猫は通常より温が高いときに、以下のような症状が見られることがあります。これらの症状を確認し、早期に適切な対処を行うことが重要です。
ぐったりしている
猫が普段よりも動かず、ぐったりしている場合は、体力の消耗や脱水、感染症などが原因かもしれません。特に長時間動けない状態が続く場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
嘔吐・下痢
嘔吐や下痢が繰り返し見られる場合、消化器系の異常やウイルス感染が原因の可能性もあります。一度きりで収まることもありますが、血が混じっていたり、頻繁に起こる場合は迅速な対応が必要です。獣医師に相談できるように、嘔吐物や便の状態を写真に残したり、持参したりできるように準備しておきましょう。
無気力
普段活発な猫がじっとしている時間が増えたり、遊びに全く興味を示さなくなることがあります。これは痛みや倦怠感、発熱が原因である可能性があります。特に食欲の低下や呼吸の変化が見られる場合は注意が必要です。
食欲の低下
猫が食事をほとんど摂らない、または全く食べない場合は、体調不良の重要なサインです。特に好きな食べ物にも見向きせず、ほとんど食事を摂らない場合、胃腸の問題やストレス、発熱などの原因である可能性があります。早めに獣医師に診てもらいましょう。
呼吸が速い・苦しそう
口を開けて呼吸をする、浅く速い呼吸をする、または呼吸音が荒くなる場合、熱ストレスや肺炎、心疾患の可能性があります。猫は通常、口呼吸をしないため、このような症状が見られた場合は早急に獣医師に診てもらう必要があります。
うずくまっている
猫が体を丸めてじっとしている場合、体のどこかに痛みや不快感、高熱による不調が考えられます。このような状態が続く際には、異物の誤飲誤食や怪我の可能性も考えられますので、獣医師の診断を受けてください。
体温の上昇
成猫の一般的な体温は38℃~39℃ですが、耳の付け根や肉球を触れて普段よりも熱いと感じた場合、発熱の可能性があります。特に体温が40℃を超える場合は緊急性が高いです。体温計を使用できる場合は、実際の体温を測定し、記録して獣医師に報告しましょう。
これらの症状のいずれかが見られた場合は、早めに動物病院を受診し、獣医師の診断を受けることが重要です。猫は本能的に体調不良を隠すため、普段の行動との変化点を見逃さないことが大切です。特に複数の症状が同時に見られる場合や、症状が悪化している場合は迅速な対応が必要になります。
■猫の体温に変化が見られる病気の一例

猫の体温に変化が見られる病気には、以下のようなものがあります。
・ウイルス性の感染症
いわゆる猫風邪やFIP(猫伝染性腹膜炎)、伝染性の白血病などでは猫も高熱を出すことがあります。
・悪性腫瘍
リンパ腫や乳腺腫瘍などの悪性腫瘍ができると、発熱などの症状が見られることもあるようです。
・熱中症
暑い中長時間過ごしていると起こる熱中症ですが、猫は汗をかいたりして体温を下げることができないため、体温が上がることもサインとなります。
その他炎症などがあると体温が上がることがあります。
猫の肉球や耳に触れていつも以上に熱い、と感じたら体温が上がっているかも。速やかに動物病院で相談するようにしてくださいね。
体温が低すぎる場合も注意が必要
先述の通り、多くの猫の体温は38℃~39℃であるため、37℃以下など体温が低すぎる場合も注意が必要です。体温が低すぎるときは急性腎不全や低体温症になってしまい、さまざまな病気を発症している可能性が考えられます。また、体温の低下が進むと全身の代謝が低下し、臓器の機能が衰えるリスクがあります。
特に寒い環境や病気の影響で体温が低くなる場合は、毛布で体を包み、暖房や湯たんぽを使用するなどして猫の体を温めることが大切です。
改善が見られない場合は、速やかに動物病院で診察を受けるなど、迅速に対応することで早期回復が期待できます。
成猫と子猫、どちらの体温が高い?

人間では、子どもと大人では子どものほうが平熱が高いといわれています。
これは猫も同じなのでしょうか?
実は、生まれてすぐの子猫の体温は成猫よりも低く、子猫が自分の力で体温を維持することができるようになる生後1か月半頃までは、母猫が寄り添うことで温度を一定に保っているといわれています。
生後2か月に満たない子猫を保護した場合は、体温を維持することで生存率が大きく上がるのはそのためです。
成長し、体温を維持することができるようになった子猫の体温は、成猫とほぼ同じくらいの温度で安定するようになります。
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ゴロー
小さい子猫は、きょうだいで固まって過ごすことが多いのは体温をキープする目的もあるでありますね。昔はムーちゃんもくっついてきてくれたものでありますが…。
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ムー
やだ、昔の話じゃない。ムーはあんまりベタベタしない大人の女になったのよ。
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ゴロー
さみしいでありますが、立派になってくれて兄として鼻が高いであります!
猫の体温調整方法
ある程度の体温調整は猫自身もできますが、家族が助けてあげることにより調節がしやすくなります。こちらでは、猫の体温調整方法について、下げたい場合と上げたい場合に分けてご紹介します。
体温を下げたい場合
外気温の影響や遊びすぎなどによって体温が上がっている場合、少し濡らしたタオルを当てたりしましょう。体温を下げても下痢や嘔吐を繰り返すなどの症状が見られた場合、体内で何かしらの異変・病気を患っている可能性があります。
体温を上げたい場合
寒い季節などによって猫が体調を崩さないように体温を上げたい場合、毛布などで体を包んであげましょう。ただし、急激に体温を上げることは避けましょう。
暖房を使って急激に温めると、猫が体温調整をうまく行えず、かえって体に負担をかけてしまう可能性があるため、徐々に温度を上げることが大切です。直接的な温風は避け、温度が急激に上昇しないように調整することが重要です。
猫の体温変化に気付くためには、日頃から猫と家族でスキンシップを図る必要があります。ちょっとした変化にも気付けるように、日頃から体温を測定する習慣を身に付けておきましょう。
猫の体温の測り方
猫の体温測定と言えば、お尻に体温計をプスっとさして計測…というイメージを持っている方も多いですよね。
でもこの方法だと、家庭で手軽に体温測定をしにくいというのが正直なところ。衛生面でも、猫の体の中に体温計を入れるという行為自体にも抵抗がある方も多いと思います。
そこで、最近では人間の体温計と同じように、腋下(えきか=わきの下)温測定という方法で猫の体温を計測しようという研究も進められているそうです。
人間同様に猫のわきの下に体温計をはさんで計測した結果、直腸で計測した温度と大きく変わらず、ある程度信頼できる数字が出そうだということでした。
しかし、この計測方法にはまだ問題があるそうです。
■ わきの下で体温を測る時の問題点
1.長毛猫の場合、上手く計測できない可能性がある
2.猫が興奮/怯えている状態のとき、体温は大きくブレが出た
3.そもそも猫が数分もじっとしていられない
言われてみれば、たしかに。とうなずかずにはいられない問題点の数々。
しかし、猫の体温を手軽に測ることができれば、体調不良のサインにもより早く気が付くことができるようになり、健康維持に役立つはず。
現在も動物病院や大学で猫の体温を簡単に測る方法についての研究は進められているようですので、もう少ししたら猫にも家族にもストレスがない体温の測り方が確立されるようになるのかもしれませんね。
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ムー
たしかに、お尻の穴に体温計を入れるなんて…怖いわよね。ほかの方法があればいいなってずっと思ってたの。
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ゴロー
ムーちゃんは病院でずっと鳴いてるでありますからね~。
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ムー
それはお兄ちゃんだって同じでしょ!
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ゴロー
たはー!そうでありました!
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ランラン先生
この二人のように、病院で興奮してしまうタイプの猫は多いですから、現状の方法では安定した計測方法として採用できないのかも。病院ではなく、家での健康チェック法としてなら上手く活用できそうな気もします。
おわりに
本日は猫の体温と健康の関係についてご紹介しました。
人間では健康チェックの基本項目でもある体温の変化。猫ではこれまで測定の難しさなどからあまり活用されてきませんでしたが、現在は猫に適した体温測定の方法も調査されていて、今後は活用の幅が広がっていきそうです。
気軽に猫の体調について知ることができるようになれば、もっともっと長く猫たちに健康的に過ごしてもらえるようになるかもしれませんね。