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2023.11.09
知ってた?子猫用フードはココが違う![#猫研究所]
キャットフードにはいろいろな種類がありますよね。
ドライフード、ウェットフードという水分量の違いのほか、「ライフステージ別」とも呼ばれる猫の年齢に合わせたフードの種類もかなり多くなりました。
年齢に合わせたフードの中でも、「子猫用フード」は成猫用、シニア猫用のフードとはちょっと違う存在。
成猫用やシニア猫用フードとはどのような違いがあるのか、総合栄養食の基準を定めている「AAFCO」の栄養基準をもとにチェックしていきましょう。
AAFCO基準では「子猫用フード」のみ栄養基準が別
「子猫用フード」は栄養基準が成猫用フードとは違います。
「え?当たり前じゃないの?」と思われた方も多いかもしれません。でも、実はシニア猫用のフードには明確な栄養基準は存在せず、成猫用フードの栄養基準をもとに作られていることはご存じでしょうか。
■シニア猫用フードの栄養基準は存在しない
シニア猫用のフードでは、成猫用の栄養基準をクリアしつつも、カロリーや脂質、リンやタンパク量などを減らしたりなどの工夫をしています。
高齢になると運動量が減るため、太りやすくなる子が多いので脂質を控えめにしたフードや、腎臓の機能が低下した子に合わせて、高カロリー設計にするなど、お悩みに合わせて調節を行っているのです。
とはいえ、シニアのための栄養基準が定められているわけではなく、メーカーによってシニア向けのフードとしての特長はバラバラです。
年齢に合わせて特別に栄養が調節されているのは、子猫用フードだけなのです。
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ゴロー
ムム?一体なぜ子猫用フードだけ別の栄養基準になっているでありますか?
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ランラン先生
ちゃんと理由があるんです。
■なぜ子猫用フードだけ栄養基準が違うの?
人間と同じように、猫も子猫時代に成長期を迎え、体や心が一気に成長します。人間では10数年~人によっては20年程度かけて心や体を成長させて大人になっていきますが、多くの猫は約1年で大人になります。(大型の猫種では、成長が止まるまで2~3年かかることもあります)
この急激な成長をサポートするために、成猫よりも多く栄養が必要になります。AAFCOの栄養基準では、体作りで必要となる栄養や、子猫が消化吸収を苦手とする成分が、成猫よりも多い必須量という形で表現されることがあります。
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ゴロー
ほほー、やっぱり成長期にはそれなりに栄養が必要なんでありますねえ。
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ランラン先生
子猫用と一言で言っても、離乳期用と成長期用で栄養バランスや粒の固さ、大きさを変えているメーカーもあるそうですよ。
子猫用フードの特長をまとめました
では、AAFCOの栄養基準によると、子猫用フードの方が多めに含まれていたり、子猫用の栄養基準だけで必須栄養素とされている栄養があります。
■タンパク質(アミノ酸)
タンパク質は肉や魚を構成する主な栄養素の一つで、アミノ酸はタンパク質を構成する成分です。
猫の体内ではこのアミノ酸を体の細胞の材料、免疫系としての働き、ホルモンや神経伝達物質としての働き、酵素の材料などに使われるほか、重要なエネルギー源としても活用されています。
子猫の体は大きく成長するためにたくさんの細胞を作る必要があります。また、エネルギーもより多く消費するため、タンパク質やアミノ酸は成猫以上に必要とする傾向があるようです。
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ムー
ムーたち、猫にとって最も重要な栄養素のひとつがタンパク質よね。子猫の頃は成猫よりも効率的にタンパク質を取り入れる必要があるってことなのね。
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ランラン先生
その通りです。一度に食べることができる量が少ないので、アミノ酸バランスが整った食事を適量取り入れることが大切になってきます。
■カルシウム、リン、マグネシウム、銅
ミネラル類も成猫より必要量が多く設定されています。
中でもカルシウムやリン、マグネシウムは、骨などの健やかな成長に必須の栄養素となっています。必要量をしっかりと摂取することで体格そのものの成長を促進するほか、骨を丈夫にするためにも必要です。
カルシウム、リン、マグネシウムは高齢の猫では腎臓病と関係が深い栄養素として知られており、調整されていたりなるべく低くなるようにレシピの設計がされていることもあります。
そのため、成長期の猫が療法食や高齢の猫用のフードを長期間食べ続けるとこれらの栄養が不足する可能性があります。
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ナナ
ふぅ~ん。そうなんだ~。お子ちゃまにはまだ早い!ってごはんもあるのね~。
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ランラン先生
とはいえ、少し食べてしまったくらいであれば心配ありません。子猫がシニア猫用のフードや療法食を長期間食べ続けてしまった場合などは、栄養バランスが崩れる可能性がある…くらいの認識があれば良いと思います。
■EPA+DHAは子猫用フードのみ必須量が明記
オメガ3脂肪酸であるEPAとDHA。猫の健康維持に非常に役立つ成分として、これまでtamaではご紹介してきました。しかし、実はEPAとDHAはそれぞれ成猫用のキャットフードでは必須量が定められていない栄養素=必須栄養素ではありません。
そのため、成猫用の総合栄養食ではEPAとDHAが含まれていないものもあります。
一方、子猫用のキャットフードの総合栄養食の基準では最低限含まれているべき量が決まっています。
子猫の健康的な成長において、EPAとDHAはいずれも非常に重要な役割を持っていて、とくに神経系の健やかな成長に大きく栄養するとされています。
また成長期に十分なEPAとDHAを摂取して成長した猫は精神的に落ち着いた性格に育ちやすいという研究結果も出ています。
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王子
ふむ。なるほど、EPAとDHAを多く含むお魚はやっぱり素晴らしいのだ。これをしっかり食べることでいつも冷静で穏やかな大人の男になれるのだ(ムシャムシャ)
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ランラン先生
成長期に摂取する場合はその通りですが、大人の猫では血行の健康維持や皮膚、関節などの炎症に対する役割が期待されています。
子猫用フードから成猫用フードの切り替えのタイミング
栄養面で違いがある子猫用のフードですが、いつ頃から成猫用フードに変更するのが良いのでしょうか?
tamaでは、猫の成長期が終わったら成猫用のフードに変更することをオススメしています。成長期が終わるタイミングは、実は猫それぞれ。何か月で切り替え、というのははっきりと決まっていないのです。
でも、「そろそろ切り替えかも…」の判断に役立つ基準があります。
まずは、猫の避妊・去勢手術を行ったタイミングです。猫の避妊・去勢手術は成長期が大体終わったころに行うことが多いと思います。ただし、術後すぐは元気がなかったり、体力が落ちていることも考えられますので、フードの切り替えは避けてあげた方が良いと思います。
抜糸が終わり、元気に普段通りの生活ができるようになったタイミングで、フードの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。
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おわりに
今回はキャットフードの中の「子猫用キャットフード」についてご紹介いたしました。
子猫用キャットフードと成猫用キャットフードには消化のしやすさや粒の大きさ以外でも、栄養面でも違いがあります。子猫は顎の力も弱く、消化器系も未発達のため消化しやすいように工夫されていることもあります。
病気の療養中や食欲が低下した時など、成猫にも子猫用フードが適しているケースもあります。子猫用フードと成猫用フードの成分の違いを知れば、そういった知識をもとにより柔軟な食事選びができるようになりますね。