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2023.07.13
猫にトリミングは必要?サマーカットの代表例ライオンカットと注意点

暑くなってくると、猫も暑さで元気がないように見えることが増えてきます。もしかして暑いの?と思ったときに、何だか涼しそうな『サマーカット』をしている犬の姿を見て、「うちの子も…」と思った方もいるかもしれません。
でも実際のところ、猫にサマーカットをはじめとするトリミングって必要なのでしょうか?今回は、実際に「トリミングされる側」の猫の気持ちも踏まえて考えていきましょう。

猫にトリミングって、必要?

猫に犬のようなトリミングは必要なのかというと、基本的には必要ありません。
そもそも、犬でもトリミングが必要なのは毛が伸び続けるプードルやマルチーズ、ヨークシャーテリアなどの一部の犬種や、特定の犬の見た目=スタイルを維持するためです。実はほとんどの犬にとってはトリミングは必要ではないのです。
(日本で見かけることが多い犬種はトリミングが必要な犬が比較的多いようです)
猫の場合、犬以上に「知らない人に触られる」「長時間じっとしている」「知らない場所に連れていかれる」ということが苦手な子が多いこともあり、猫のことを考えるとトリミングを無理にさせる必要はないと思います。
また、犬用のトリミングサロンで猫のトリミングを受け付けてくれることは非常に稀です。犬と猫ではやはり必要な配慮が異なることもあり、プロフェッショナルといえど難しいというのが正直なところ。ただ、なかには問い合わせてみると「猫もOK」という猫好きなトリマーさんが在籍しているお店もあるようです。
動物病院では猫の簡単なトリミングを受け付けているところもあるようですので、必要な場合はかかりつけの動物病院で相談してみるのも良いと思います。
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ゴロー
ボクちんたちにトリミングは必要ないでありますか?
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ランラン先生
基本的に猫は自分でグルーミングを行い、体を清潔に保つことができる生き物ですからね。犬のように外に散歩に行くわけでもないですし。
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ムー
でもプロのトリマーさんの手で美しくなれるならちょっとあこがれるわね…!
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ランラン先生
猫の場合はカットを行ったら毛がなかなか伸びず、見た目が変わってしまったという事例もあるそうですが…。
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ムー
そ、それはちょっとイヤだわ。
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ランラン先生
ただし、猫の健康や安全を守るために必要な「トリミング」もありますので、以下に一部をご紹介します。
■猫の毛の役割
猫の毛には、下記のように生きていくうえで重要な役割があります。
・皮膚の保護
猫の皮膚は人よりも乾燥しやすいため、皮膚の保湿を維持することを目的として全身に毛が生えています。毛がなく、皮膚が直接外気に触れてしまうと、必要な水分がなくなってしまい、感染症やフケの原因となることも。そのため、猫のトリミングを検討する際は、居住空間の気温や湿度などについても考えておきましょう。
・体温調節
猫は季節によって夏毛と冬毛を生え変わらせることで、体温調節を行っています。また、猫の毛と皮膚の間には空気の層があり、季節によって断熱材や保湿剤のような役割を果たします。トリミングをすることでこれらの効果が減少、もしくはなくなってしまうため、室内外の環境に注意したうえで判断しましょう。
・クッション
猫の毛は爪による引っかきキズや牙による噛みキズ、ぶつかったときの衝撃を減らす、クッションの役割も果たします。クッションの役割を果たしている毛をトリミングしてしまうと、外部要因でケガをしやすくなってしまいます。
猫のトリミング 足裏のケア
代表的な猫のトリミングの一つが、足の裏の毛をカットしたり、バリカンで短くしたりする行為です。猫の肉球は本来、適度に汗が分泌されることでグリップが効くようになり、滑り止めとしての機能を持っています。
ところが、肉球の周囲に生えている毛が伸びすぎてしまうと、肉球が床に触れずに上手く踏ん張れなくなり、転倒の原因になったり関節の負担となったりすることも
とくに長毛の猫では足の裏の毛が伸びやすいので、定期的に足の裏の毛を短くバリカンなどでカットすることは、ケガの予防や関節への負担軽減目的で必要なこととなっています。
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王子
アイタタ、後ろ足が滑って尻もちをついたのだ…。毛がずいぶん伸びてしまったのだ。
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ランラン先生
長毛の猫と暮らす方は、2~3カ月に1度くらいでカットする人がいるようです。
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王子
でも足の裏をいじられるのはあんまり得意じゃないのだ。早く終わってほしいっていつも思うのだ…。
猫のトリミング お尻周りカット&肛門絞り

次にご紹介するのが、お尻周りの毛のカットと肛門絞りです。
こちらも長毛の猫に多いのですが、お尻の周辺の毛が長いと排泄物が付いてしまったりして、ニオイの原因になることも。とくにウンチが軟便気味だったり、下痢になっていたりするとべったりとついてしまい、猫自身がストレスに感じるほか、皮膚トラブルの原因になることも。
そこで、お尻の周辺を衛生的に保つために、お尻の毛を短く刈ることがあります。
また、合わせて行われることがあるのが肛門腺絞りです。
猫の肛門の周辺には「肛門腺」と呼ばれる分泌器官があります。この器官で作られる分泌物が強烈なニオイを放つ「肛門嚢液」、あるいは「肛門腺液」などと呼ばれているものです。
通常であれば、ウンチをするときに肛門腺が圧迫されて、ウンチと一緒にこの分泌物が排泄されます。
ところが、高齢の猫や運動不足気味な猫、生まれつきこの肛門腺が出にくかったり、下半身のマヒなどの障害を持っていたりする猫、下痢などによる炎症が原因で排出する穴がふさがってしまっていると、上手く肛門腺から分泌物を出すことができないことも。
猫は犬よりも肛門腺がつまることは少ないといわれているので、猫は犬のように定期的に肛門腺を絞る必要はあまりありません。しかし、猫がお尻を執拗に舐めたり、痒がったりする仕草をみせる場合には獣医さんに相談してみてください。
猫の肛門腺を絞るのにはかなりのコツがいりますので、プロに任せた方が安心です。
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ナナ
あたちもお尻周りの毛が長いから、汚れてるよ!っていわれることあるの~。
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ゴロー
ナナちゃんはグルーミングもちょっと苦手でありますからね。
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ランラン先生
そういう時はある程度お尻周りの毛を短くしておくと汚れにくくなりますよね。肛門腺絞りに関しては、上手くできないと猫にとって強いストレスになりますから、自信がある人以外はプロに任せた方が無難ですよ。
猫のトリミングサマーカット
一般的な猫のトリミングサマーカットは、体の一部、または全体の毛を刈るスタイリングを指します。先述した猫の毛が持つ機能を損なわせず、夏を快適に過ごせるようにトリミングします。
家庭でも行うことはできますが、トリミングサロンや動物病院などで実施することをおすすめします。
猫の毛をさっぱり短くする「サマーカット」ですが、猫にとってのメリットとデメリットをきちんと見極める必要があると思います。
・サマーカットのメリット
メリットは、やはり長毛の猫であれば全身の毛を短くすることでかなり涼しく、過ごしやすくはなるようです。毛が長いと皮膚が蒸れてしまい、皮膚炎を発症するリスクが高くなるため、短くすることでこれらの症状を抑えられます。
また、サマーカットを施すことで抜け毛が少なくなるため、掃除やお手入れが楽になる点もメリットといえます。 特に、長毛種については毛が密に生えていることから毛玉ができやすいため、メリットを得やすいでしょう。
・サマーカットのデメリット
デメリットは、よく知らない人に長時間触られたこと、知らない場所で拘束されたこと、自分の姿が変わってしまったことなどに強いストレスを感じ、体調を崩してしまうこともあるようです。
サマーカットされた後、元気がなくなってしまい、老け込んでいるように見えたというお声もあります。
また、猫の被毛は紫外線や害虫などから皮膚を守るという役割も持っています。毛を短くしてしまったことで、真夏の強い紫外線に代表される刺激に触れ、かゆみや赤みが出たりするほか、害虫に刺されるリスクも高くなります。
これらのリスクを考慮すると、涼しさや見た目の珍しさのためにサマーカットをさせるのは、猫のためになっているのか、判断が難しいところではないでしょうか。
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ゴロー
そういえば、以前お友達の猫さんはライオンさんみたいになっていたでありますね。あれがサマーカットでありますか!
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ランラン先生
普段からトリミングサロンなどでこまめに手入れされている、というのであればそこまでストレスを感じないのかもしれません。でも、毛を短くしなくてもエアコンの温度設定やサーキュレーターの導入などで、過ごしやすくすることもできますので、猫のことを思うならサマーカット以外の方法をオススメしたいところです。
■猫のサマーカットの代表例
下記にて、猫のサマーカットの代表例をご紹介します。
・ライオンカット
ライオンカットは顔周りとしっぽの先端を残して、体の毛だけを短くするカットを指します。ライオンのように見えることからこのように名付けられており、サマーカットといえばライオンカットといえるほど人気です。体の部分については完全に刈り上げるのではなく、猫が快適な生活を送れる程度には毛を残します。
一方、毛を残す部分についてはトリマーさんや猫の状態を確認したうえで決められるため、猫によって若干完成が異なります。
・部分カット
ライオンカットは涼しげなものの、外部要因でケガや病気にかかってしまから心配、といった方は多いと思います。そのような方や猫におすすめなのが、気になる部分の毛だけをカットする「部分カット」です。全身の毛を刈らずにすいて毛の量を減らしたり、肉球の間に伸びた毛だけをカットしたりします。外部からのケガを守りつつ、猫に快適な生活を送ってもらいたいときは、部分カットがおすすめです。
サマーカットを推奨する猫の種類
サマーカットに向いている猫は、下記のような特徴を持つ猫になります。
・毛玉が良くできる猫
・短毛でも自分でグルーミングがうまくできない猫
・毛玉ができやすい猫
・ 抜け毛が多い猫
・毛が長い猫 など
ただし、これらを私たち自身で判断する場合、ケガや病気を招いてしまう可能性があります。自分で判断してトリミングをした結果、ケガをしてしまうとお互いにつらい思いをしてしまうものです。
そのため、トリミングするべきなのかを迷ったときは、トリマーや動物病院に相談してみましょう。
そもそも猫にシャンプーは必要なの?

基本的に家の中で暮らす猫についてはシャンプーは必要ないといわれています。ただし、例外もありますので猫の体調や性格などを踏まえて家族が判断をしていきましょう。
猫は基本的に非常にきれい好きな生き物です。自分の体が汚れたり、ニオイが付いてしまったりしたらグルーミングをして清潔な状態を維持しようとします。
また、食事の後も自分で顔や口元を拭うことが出来るので、食べ物のニオイが付いてしまうということもありません。
そのため、健康的な猫であれば、猫自体に体臭はないといわれていて、室内で暮らしている猫の場合は大きく汚れるようなこともないと考えられます。
ただ、皮膚トラブルや体質などによって皮脂が過剰に出てしまい、ニオイやべたつきが発生したり、外耳炎によって耳からニオイが発生するようになったり、歯周病などによりよだれがたくさん出てしまうことでニオイの元になるケースがあります。
また、猫種や体質によっては、皮脂汚れが出やすく、シャンプーが必要とされる子もいます。
それから、子猫の時期やハイシニアになってトイレを失敗してしまったり、下痢などでお尻回りが汚れてしまった際などには、猫の体が汚れてしまうことがあります。そんなときはシャンプーが必要になるかもしれません。
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ランラン先生
皮膚トラブルや寄生虫がいるときには、動物病院で処置としてシャンプーをすることもあります。それは一般的なシャンプーとは目的が異なるものになります。
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ナナ
そういえば、皮膚がカユカユになったときとかにも、病院でシャンプーしたことがあったかも~。
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ムー
シャンプーされた後のドライヤーも大きな音がストレスになるし、ニオイも落ち着かないわよね。人間的にはいい香りみたいだけど…。
おわりに
今回は猫にとってトリミングは必要なのかについてご紹介いたしました。猫の健康維持や衛生管理のために必要なトリミングもある一方、猫にとっては特別必要ではないトリミングもあります。
本当にうちの子にとって必要なものなのか、慎重に判断する必要があるかもしれません。犬用のトリミングサロンでは猫のケアを受け付けていないことも多いので、動物病院で相談してみるのもオススメです。