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- 猫研究所
2022.06.30
暑い時期はキャットフードの保存に注意!?安全に使うためのポイント
猫の毎日の食事であるキャットフード。毎日食べさせるものだから、おいしいことはもちろん、栄養価や原材料、品質にもこだわって選んでいる方が多いですよね。
でも、これからやって来る夏には、そんなこだわりのキャットフードの品質を低下させる「酸化」のリスクが高くなりやすくなります。
キャットフードの酸化とはなにか、そしてなぜ夏に酸化のリスクが高まるのか、夏の間のキャットフードの保存のポイントなどをスタッフ猫たちが調査してみました。
実際にフードを食べる猫たちの意見(?)もぜひ参考にしてみてくださいね。
キャットフードの酸化についてチェック
キャットフードの酸化は、キャットフード(主にドライフード)の成分のひとつである脂質が酸素と結びついたり、紫外線などに反応して変質する現象を指します。
脂質が変質すると、イヤなニオイ(酸化臭)の元になったり、体調を崩す原因になることがあります。
酸化が進んだキャットフードには、以下のようなデメリットがあります。
■おいしさへの影響
酸化の進んだキャットフードは、フレッシュなフードと比較して明らかに嗜好性が低下します。
キャットフードに含まれる脂質が酸化することにより、酸化臭が発生しますが、人間以上に嗅覚が優れた猫は酸化臭を嫌がり、食べなくなる傾向があります。
猫は酸化が進んだ食べ物を本能的に避けますので、キャットフードの食いつきが悪くなったら、開封してからどれくらい時間が経っているのかを確認するようにしてください。
■栄養への影響
酸化することでキャットフードに含まれる成分が変質してしまうので、本来は役立つはずの成分がきちんと吸収できなくなる可能性もあります。
脂質の中でもとくに酸化に弱いといわれているのが、オメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸といえば、関節や皮膚の炎症を抑えたり、腎臓の健康維持に役立つ働きがあることからキャットフードでも良く使用されている機能性成分です。
せっかく猫の健康維持に役立つ成分としてオメガ3脂肪酸が含まれていても、酸化が進んでしまっているとその働きを実感できません。
■安全性への影響
酸化が進み、変質した成分の中には猫の健康を損なってしまう成分もあります。
中でも酸化した脂質は、過酸化脂質と呼ばれる状態になり、毒性を持つようになります。消化のプロセスの中でなるべく毒性を中和するように分解されていきますが、分解が間に合わない場合や過酸化脂質の量が多いと消化器系に影響し、嘔吐や下痢などの原因になるケースも。
猫の健康維持のためにも、酸化が進んだキャットフードは与えないようにしてください。
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ムー
酸化が進んでいるごはんは美味しくないし、何よりお腹を壊す可能性もあるのね。
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ゴロー
ひええ。気を付けてほしいであります。
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ランラン先生
私たち猫は本能的に酸化が進んだ食事は「体に悪い」と認識して、食べなくなることが多いです。それでも、本当にお腹が減っていたら…食べてしまうかもしれませんね。酸化が進んでいる可能性があるフードを食べ、体調を崩してしまったら、速やかに動物病院に連れて行ってくださいね。
夏のキャットフードの保存には注意が必要なワケ
キャットフードにとって、酸化は大敵ですが、とくに注意が必要なのが夏の暑い時期のキャットフードの保存状況です。それは、日本の夏の環境はキャットフードの酸化を進める要素がたくさんあるからです。
キャットフードの酸化を進める要素には以下のものがあります。
・熱による酸化
・光による酸化
・湿度による酸化
・酸素による酸化
一度開封してしまうとどんなフードでも徐々に酸化は進んでいきますが、湿度も温度も高い日本の夏はより早く酸化が進んでいく、と考えられます。
未開封でのキャットフードの酸化を防ぐために、メーカーは猫の体調に影響しない、天然由来の酸化防止剤を使用したり、パッケージに工夫を凝らすなどしていますが、それでもリスクが高くなるのが「夏」なのです。
未開封であっても炎天下、長時間外に放置されていたりすると一気に酸化が進んでしまう可能性もあります。
また、日陰となる倉庫などに保存している場合や、車の中に放置しておいた場合でも、中が高温になると熱の影響を受けて酸化が進むことがありますので注意が必要です。
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ゴロー
夏は普段以上にキャットフードの酸化が進みやすくなるのでありますか!大変であります!
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ランラン先生
もちろん、一概には言えませんがリスクは大きくなります。ですが、適切な方法で保存し、使うことで夏でも酸化の進みを抑えながら使い切ることができますよ。
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ムー
ふー。ならよかったわ。せっかく楽しみにしているごはんの時間なのに、がっかりしたくないものね。
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ゴロー
しっかり学ばなくてはでありますね!
暑い時期のキャットフードの保存のポイント
一見するとリスクばかりがあるように思われる夏の間のキャットフードの保存ですが、ポイントを絞って保管場所を考え、使い切るようにすれば問題はありません。
【保存場所】
・直射日光に当たらない
・湿度が過剰にならない
・温度が高温にならない
【使い切りのタイミング】
・開封後はなるべく早く使い切る
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ランラン先生
いわゆる「冷暗所」での保存を徹底するようにお願いします。車の中に長時間放置したり、高温になる倉庫におきっぱなし…というのは危険です。
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ゴロー
ややっ。やっぱり早めに使い切るのがオススメでありますか。
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ランラン先生
そうですね、ついつい大袋を買ってしまう…という方も多いと思いますが、夏の間はとくに早めに使い切ることを意識してください。
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ムー
夏の間はいつもより小さいサイズのドライフードを買ったり、小分けパックを試すのも良いかもしれないわね。
最近では抗酸化作用を持つ自然由来のビタミンEなどを酸化防止剤として配合することで、酸化を防ぐフードも多くなりました。
しかし、ビタミンE類を酸化防止剤として添加しているキャットフードなどは、以前の化学的な薬品ほどの強い酸化防止作用はありません。プレミアムキャットフードでは、パッケージに工夫を凝らし、ガス充填をすることで酸化を抑える工夫を取り入れているメーカーがほとんどですが、夏の間は保存方法の基本的なポイントをしっかりと守る必要があります。
おわりに
今回は、キャットフードを保存するにあたって夏の間に注意したいポイントについてご紹介いたしました。
どんなキャットフードでも開封すれば徐々に酸化が進んでいきます。(酸化防止剤を使用しているフードでも、酸化は進んでいきます)
夏の間はよりキャットフードの酸化がより進みやすい環境である、ということですね。このことを踏まえて、普段よりも小分けになっているフードを買ったり、いつもよりも一度に購入する量を減らし、こまめに買うようにするなどの工夫もオススメです。
猫の毎日の食事となるキャットフード、安全でおいしく楽しんでもらえるようにしたいですね。