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- 猫研究所
2019.04.25
キャットフードの栄養成分について知ろう!猫に必要な「脂肪酸」とは
近年、キャットフードの見直しや飼育環境の改善、医療の進歩により猫の寿命は年々延びています。一般社団法人ペットフード協会が2017年に行った調査では、全体平均15.3歳、完全室内飼いの猫は16.3歳という結果でした。自分の家族の一員である猫にもできるだけ長生きしてもらいたいもの。そのためには、私たちが猫に必要な栄養素をしっかりと把握した上で適切なフードを選び、健康管理を行うことが大切です。
そこで今回は、猫にとって必要な栄養素である「脂肪酸」についてご紹介します。
「脂肪酸」とは?
脂肪酸とは、脂質を構成する成分のことで、食品の中に含まれる脂肪の約9割が脂肪酸でできているといわれています。脂肪酸は大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分類されます。
では、それぞれの特徴を見ていきましょう。
【1】飽和脂肪酸
肉やバターなどの動物性脂肪やココナツオイル、パームオイルの熱帯植物油脂などに多く含まれています。
猫にとって重要なエネルギー源の1つですが、摂取量が多いと心疾患や肥満、糖尿病などのリスクが高まるといわれ、摂取過多には十分な注意が必要です。常温で固形になる性質があり、牛脂やラードとしても使われています。
【2】不飽和脂肪酸
マグロやイワシなどの青魚や植物性油脂に多く含まれています。不飽和脂肪酸には、オメガ-3とオメガ-6があり、それぞれのバランスが健康には大切だといわれています。
「善玉の脂肪酸」ともいわれており、血中の中性脂肪やコレステロール値のバランスを保つ働きがあるほか、免疫機能や皮膚、被毛の健康維持に大きく作用しています。
常温で固まりにくい性質で、酸化・変性しやすいというデメリットがあります。
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ゴロー
最近オメガ-3脂肪酸なんかは良く聞くでありますね!関節に良いって話であります。
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ランラン先生
関節だけじゃなく、さまざまな炎症を抑制したり、人間だと血液サラサラ成分なんて呼び方もされていますよ。あと、美しい被毛を維持するのにも効果的です。
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ムー
あら、私の永遠の美しさを保つためにも役立つのね!ちゃーんと摂取しなきゃ!
食品から必ず摂取!「必須脂肪酸」
不飽和脂肪酸の中には体内で合成することができないものがあります。それらは食品から摂取する必要があり「必須脂肪酸」と呼ばれています。
必須脂肪酸は主に「オメガ6脂肪酸」と「オメガ3脂肪酸」の2つに分けられています。
猫にとって必要とされる必須脂肪酸は、オメガ6に分類される「リノール酸」と「アラキドン酸」、オメガ3に分類される「α-リノレン酸」です。
その他に、オメガ3脂肪酸の「EPA」や「DHA」も猫の健康維持に有効な脂肪酸といわれています。
犬の場合、リノール酸が含まれるフードを食べると体内でアラキドン酸を合成することができます。しかし猫は合成することができないため、食べ物から摂る必要があります。
猫の体内のアラキドン酸が不足すると皮膚や被毛、脳機能などに不調をきたす可能性があるため、普段の食事でしっかりと与えるようにしなくてはなりません。
アラキドン酸は肉類や卵などの動物性脂肪の中にしか含まれていませんが、良質なキャットフードにはいずれの脂肪酸が適正量含まれています。
もし足りないようであれば、良質なオイルをプラスしたり適正量が含まれているフードに変えたりして、必要な栄養素を摂取できるよう工夫するようにしましょう。
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ゴロー
ほー!調べてみたら、ボクちんのいつものごはんにも脂肪酸が含まれていたであります。安心でありますね。
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ランラン先生
きちんとした総合栄養食タイプのキャットフードなら、問題ないはずですよ。
猫の場合、手作り食をする人はあまり多くないかもしれませんが、手作りする場合には使いやすい必須脂肪酸を補うサプリメントも出てきているので、上手に使って栄養を整えてみてくださいね。
知っておきたい「脂質」の役割とは?
猫にとって必要な栄養素は、人間と同様に「タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・炭水化物」の5大栄養素です。中でも「脂質(脂肪)」には、一体どのような役割があるのでしょうか?
良質な脂質を摂取することで得られる効果やその作用について見ていきましょう。
エネルギー源
脂質は、猫の臓器や筋肉など体のあらゆる部分を動かすための重要なエネルギー源となります。多めに脂質を摂った場合、余った脂肪分は皮下脂肪として蓄えられ、エネルギーが必要なときに再利用されます。
この皮下脂肪が消費エネルギーよりも多く蓄えられてしまうと、肥満になってしまうのです。
ビタミンの吸収を促す
脂質には、猫に必要不可欠であるビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの吸収を促す働きがあります。
皮膚や被毛を守る
脂質は、猫の皮膚や被毛の健康を維持し、細菌感染や皮膚病を起こしにくくする働きがあります。また、脂質は皮脂腺から分泌される皮脂の原料となるため、それにより全身の毛艶を美しく保ってくれるのです。
炎症を抑える
炎症反応を抑える働きがあるEPAやDHA、γリノレン酸などの脂肪酸は、脂質から摂取することができます。それにより、関節炎や皮膚炎などの炎症性疾患の予防につながります。
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ムー
やっぱり私の美しさを若々しく保つために積極的に摂取しなきゃね。お兄ちゃんは最近太り気味だから、私がお兄ちゃんのぶんも代わりに摂取してあげる。
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ゴロー
ムーちゃん!それはあんまりであります!ボクちんもツヤツヤの被毛でいたいでありますよ!
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ランラン先生
まあまあ。何事もバランスが大切ですから、たとえ健康に良い成分だからといって、過剰に摂取するのも良くありませんよ。美味しくバランスよく、が基本です。
おわりに
今回は、猫の健康を保つために必要な栄養成分の1つ「脂肪酸」についてご紹介しました。
オメガ3・6脂肪酸をはじめとする「脂質」は、猫が元気に活動するための大切なエネルギー源であるほか、ビタミンの吸収を促進したり、皮膚や被毛の健康を維持したりするための重要な栄養素です。しかし、必要不可欠な栄養素とはいえ、脂肪分を多く摂り過ぎると肥満の原因につながることもあるため注意が必要です。
毎日与える食事だからこそ、猫に必要な栄養素がバランスよく含まれているかどうか、1度チェックしてみてくださいね。