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2022.01.27
キャットフードのオイルコーティングとは?猫に油分は不要って本当?調べてみました。[#調査隊レポート]
キャットフードについて調べているとインターネット上にはさまざまな情報があふれていて、「これって正しいの?」と気になるものを見かけることもあります。そんなさまざまな意見が存在するキーワードの中に、「オイルコーティング」もあります。
オイルコーティングされているキャットフードは質が悪い、酸化しているという意見を見たことがある方は多いのではないでしょうか。
オイルコーティングはキャットフードを製造する過程のひとつですが、この工程は本当に不要なものなのでしょうか?なぜキャットフードにオイルコーティングは行われるのでしょうか?猫の毎日の基本の食事であるキャットフードの製造工程のひとつ、オイルコーティングについてtamaのスタッフが調べてみました。
キャットフードのオイルコーティングとは?
キャットフードの原材料には、サンフラワー油(ヒマワリ油)やサーモン油などの「油(オイル)」が使用されているものもあります。油というと「肥満の原因になってしまうのでは?」「酸化が進みやすいのでは?」と心配になる方も多いと思います。
インターネット上には、キャットフードのオイルは猫の健康に良くないとするサイトもあり、中にはオイルコーティングしていないことをセールスポイントとしているキャットフードもあるようです。
猫の健康にオイルコーティングは影響するのかを考える前に、まずはオイルコーティングがどのようなものなのか、調べてみました。
■オイルコーティングとは?
オイルコーティングとは、熱による酸化を避けてキャットフードにオイル(油分)を含ませるための工程です。オイルコーティングが一般的になる以前は、他の原材料と脂質を含む原材料を混ぜて、加熱加圧加工を行っていました。そのため、酸化しやすい不飽和脂肪酸の酸化が進んでしまうことも発生していました。
現在では、キャットフードの粒を作った後、冷やしてからオイルをスプレーコーティングされています。そのイメージから粒表面がベタベタしてオイリーになり、健康的でないよう印象を持たれることもあります。しかし、最新技術として、油(オイル)を真空状態でスプレーコーティングする方法が開発されました。
真空で冷えたフードの粒に油(オイル)を吹きかけることで、製造工程でオイルが加熱によって酸化しないだけではなく、ぎゅっと粒の奥まで油(オイル)が浸透します。油(オイル)が粒にきちんと浸透しているので、ムラになりにくく、まんべんなく成分をしみ込ませることができます。
油(オイル)は粒の奥にしみ込んでいますので、最初から練りこむのと同じように油(オイル)が染み出したりすることもなく、ベタベタ感も軽減できています。
熱に弱く、酸化しやすい成分を配合するための最適な製造方法ですが、専用の機械が必要となり、そのぶんキャットフードの価格も高くなりやすい傾向にあります。
オイルコーティングをキャットフードに施すことで酸化が進みやすくなると考える人もいるようですが、オイルコーティングは酸化しやすい成分を製造工程で酸化させないために行う処理なのです。
猫にとってオイルは不要?必要?
次に、キャットフードに油(オイル)が使われている理由をご紹介します。従来の方法では酸化やベたつきといったリスクがあったにも関わらず、なぜオイルがキャットフードの製造工程において重要なのか、探っていきましょう。
■必須栄養素である脂肪酸の供給源として
リノール酸、DHA・EPA、アラキドン酸は猫の必須栄養素であり、総合栄養キャットフードの基準を満たすためには必ず配合しなくてはいけません。これらの成分を含む食材を使用するだけでは基準を満たすことができない場合、オイルをコーティングすることで必要な栄養基準を調整することがあります。
■嗜好性を高めるため
キャットフードに使用されている油(オイル)は、フードの嗜好性を高めるために使用されているという一面もあります。
猫の興味を引く香りを使用することで、興味を持ち嗜好性が上がります。
また逆に飼い主にとって身近な香りで、キャットフード特有の香りを抑えるために使用されている側面もあります。
■栄養バランスを整えるため
嗜好性を高める以外にも油(オイル)には大切な役割があります。それは、栄養バランスの調整です。
健康管理において、油分を含む脂質は必須栄養素の一つです。脂質はエネルギー源として活用されるほか、細胞を保護する膜を作ったり、皮膚や被毛の保護にも必要な栄養素です。
また、キャットフードに使用される油(オイル)には機能性成分を含むものもあり、健康維持に役立てる目的で敢えて使用されているものも。代表的なものとしては、EPAやDHAに代表されるオメガ3脂肪酸のほか、植物由来の油(オイル)には抗酸化力を持つポリフェノールやビタミンEを含むものもあります。
健康維持に役立てたいオイル(油分)について
■鶏脂肪(チキンオイル)
鶏肉の脂肪分です。人間用の食品を加工するにあたり、肉や鶏の皮などから出る脂肪を活用するケースもあります。
必須脂肪酸であるリノール酸を多く含み、嗜好性が高いといわれています。
■サーモン油(オイル)
サーモンからとれる油(オイル)です。お魚系の良い香りがして食欲を誘うほか、オメガ3脂肪酸であるEPA・DHAを豊富に含みます。抗酸化成分であるカロテノイド、アスタキサンチンも含まれていることが特長です。
■(ニシンなど)フィッシュ油(オイル)
サーモン以外の魚(ニシンなど)からとれる油(オイル)のことです。魚の油(オイル)にはEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。魚が好きな猫の興味を引きやすく、嗜好性にも優れています。
■フラックスシード油(オイル)
フラックスシード油(オイル)は、日本でも健康食品として人気の亜麻仁油の別名です。亜麻仁油は亜麻という植物の種子をしぼって作られていて、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を含んでいます。
■ボラージ油(オイル)、月見草油(オイル)
月見草油(オイル)はその名の通り、月見草という植物から抽出される油(オイル)で、希少なγリノレン酸を含むことが知られています。
また、ボラージ油(オイル)も同様にγリノレン酸を豊富に含む油(オイル)で、こちらはルリジサという植物から抽出されます。伝統的に皮膚トラブルなどに使用されてきたオイルです。
■ヘンプシード油(オイル)
ヘンプシードオイルはヘンプ(麻)の実から抽出される油(オイル)で、最近世界的に注目を集めている食材です。
ヘンプシード油(オイル)にはリノール酸(オメガ6)、αリノレン酸(オメガ3)、γリノレン酸(オメガ6)が理想的なバランスで含まれています。γリノレン酸は月見草油(オイル)やボラージ油(オイル)にも含まれていますが、3つの脂肪酸がバランスよく含まれているのはヘンプシード油(オイル)です。
また、世界的トレンドとなり注目されているのがヘンプシードに含まれているCBD(カンナビジオール)。この成分は、心を落ち着かせ、免疫系を底上げしてくれるものとして、安全性が確認され始め食用としてもラインナップが拡大中です。
■グリーンリップドマッセル(緑イ貝)油(オイル)
グリーンリップドマッセルとは、緑イ貝の別名です。グリーンリップドマッセルは、EPAを豊富に含んでいる貝の仲間で、見た目はムール貝に似ています。
EPA以外にも多種のオメガ3系脂肪酸を含んでおり、関節系サプリメントにも使用されています。
■クリル油(オイル)
クリル油(オイル)とは、オキアミと呼ばれる甲殻類の一種からとれる油(オイル)のことです。クリル油(オイル)にもEPAやDHAのようなオメガ3脂肪酸が含まれていて、サーモン油(オイル)同様にアスタキサンチンが含まれています。
おわりに
オイルコーティングは、キャットフードの粒にオイルを吹きかけることで成分をしみこませる工程ですが、最近では脂質の酸化を防ぐために真空でコーティングが行われることが多くなっています。ですから、オイルコーティングをしているから酸化が進みやすく、キャットフードの品質が悪いという指摘は適切ではありません。
また、キャットフードに必須栄養素である脂肪酸やさまざまな機能性成分をプラスして、健康維持に役立てるためにあえて使用されるケースも多くあります。
オイルも適切に与えることができれば猫の健康維持に役立ちますので、オイルの種類を確認し、「こういう目的で使われているのね」と納得してフードを選ぶことができればいいですね。迷ってしまった時には、tamaのコンサルティングサービスなどにご相談ください。
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