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2021.07.29
キャットフードの〇〇ミール、危険って本当?どんなものなのか正しく知ろう[#調査隊レポート]
猫たちの健康の基本であるキャットフードですが、使用される原材料に関心を持っている方が増えているようです。
キャットフードの原材料をチェックしてみると、チキンミールやフィッシュミールという原材料を見かけることがあります。このミールってどんなものなのでしょうか?
インターネットで調べてみると「ミールは危険!」「ミールを使うフードに注意」といった情報を見かけることも多いです。こういった情報を見て、心配になってしまったり、現在与えているフードに対して不信感を持ってしまう方もいるようです。これって本当なのでしょうか?
そこで、今回はキャットフードの原材料のひとつである「ミール」の気になることについて調べてみました。
チキンミール、フィッシュミールとは?
まず、チキンミールやフィッシュミールと呼ばれる「〇〇ミール」とはどんなものなのでしょうか?
チキンミールに代表されるミールは、家畜や魚などを食肉に加工する際に出る、人間用の可食部の肉を取り除いた残りを集め、加熱して脂肪分を取り除いてから乾燥させたものを指します。
具体的にチキンを例に解説すると、肉の端や脂身、皮、筋、軟骨などから脂肪分を除いて乾燥させたものです。よく勘違いされることなのですが、チキンの場合内臓や首、脚などが含まれたものはチキンバイプロダクツミールであり、チキンミールとは表記できません。
チキンミール以外にも乾燥チキンやディハイドレートチキンという名前で表示されることもあります。
残念ながら、ミールを批判してミールが原材料表記に含まれないフードを勧める記事などでも、実はそのオススメのフードがあえてミールという呼び名を使っていないだけで、「乾燥チキン」「乾燥フィッシュ」という書き方でぼかしているものもあります。
乾燥チキンなどと表記されているものには、実際にミールを使用せずにチキンの乾燥肉を使っているキャットフードもあり、より判別が難しくなっています。
キャットフードにミールを使用する理由を知ろう。
なぜ、キャットフードにチキンミールやフィッシュミールなどが使用されることが多いのでしょうか?ミールを使用することにメリットがあるのでしょうか。
また、実際のところミールを使用することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。
■ミールのメリット:品質を安定させやすい
ミールはキャットフードのタンパク質含有量を上げるために使用されることがあります。
なぜ生肉ではなくミールなのかというと、生肉にはタンパク質だけではなく脂質なども含まれていて、タンパク質を上げようと生肉の使用量を増やすと脂質も一緒に増えてしまう傾向があるためです。ミールは脂質が取り除かれているので、タンパク質量だけを増やすことが可能です。
また、ミールを使用することで成分や品質のばらつきを抑制することにつながります。
一方、生肉や生魚をたくさん使用したフードでは、粒の形や大きさ、栄養バランスが季節の要因などによってまちまち、ということも多いのです。
(旬で脂が乗っている魚とそうではない魚を同じ量使うと、脂肪の量などに違いが出るため)
それから、ミールは脂質や水分が取り除かれているので、常温で保存することができ、重量も軽くなり、その分輸送コストを抑えることができます。
さらにミールは生肉と比較するとかなり安く手に入れることができる原材料です。タンパク質1gあたりのコストでは、生肉と比較して約1/6という計算結果もあります。
プレミアムキャットフードでも、品質を安定させつつ、栄養バランスを整えて価格もちょうど良いキャットフードを作るために、生肉とミールを組み合わせて作られているフードもあります。
■デメリット:嗜好性は生肉に劣ります
キャットフードの品質に関して、ミールを使用する際の最大のデメリットは「嗜好性」です。猫はやはり生肉を多く使用したフードを好む傾向があります。
栄養バランスが理想的であっても、やはり猫は美味しいものが好きなもの。安価なキャットフードの中で、ミールを主原料として使用しているもののなかには、低い嗜好性を補うために香料などで興味を引かせているものもあるようです。
また、もともとミール自体は、動物性脂肪の抽出を目的に高温での処理工程が進むため、生肉に比べタンパク質変性が進んでいる可能性があります。
ミールが猫にとって危険って本当?
ここまでキャットフードに使用されるミールについてご紹介してきましたが、猫にとってミールは危険なものなのでしょうか?
■ミールには食べられない部位が含まれているから危険って本当?
先ほどもご紹介した通り、ミールというものは魚や肉の端や脂身、皮、筋、軟骨などから脂肪分を除いて乾燥させたものです。これらの部位自体は人間が食べる部分の端ということになります。
よく勘違いされることなのですが、チキンの場合内臓や首、くちばし、爪、脚などが含まれたものはチキンバイプロダクツミールと表記する必要があり、チキンミールとは表記できません。こういった部位が含まれている可能性がある、という指摘は誤りと言えます。
■高品質のミールを選ぶことは難しい?
質の良いミールであれば、脂肪を抑えながらしっかりとタンパクだけを上げる優れた原材料となります。実際オーガニックフードメーカーの中には自社でオーガニックチキンミールに加工して使用しているメーカーも存在するようです。
しかし、一般的なフードメーカーはミールをレンダリング企業から仕入れることになるため、消費者はどのような原材料を使い、どのような工程で作られているミールなのかをパッケージ情報から認識することはできません。
残念ながら、ミールというもの自体が、食肉、さらには動物脂肪を製造する際に出る副産物という立場から脱却することができていないのが実際のところです。
こういった背景から、キャットフードに使用されているミールが不安や問題のタネとなっているというのが現状です。
おわりに
本日はキャットフードに使用される原材料、ミールについてご紹介しました。ミールに関しては、栄養バランスや品質を一定に保つにはとても役立つ原材料ですが、一方で嗜好性の面では生肉を使用しているものに劣り、またどのように作られているかをパッケージなどから知ることは難しいというデメリットもあります。
猫の病気の治療のために栄養バランスを一定にする必要がある(栄養管理のためブレがないようにする必要がある)療法食などでは、ミールをあえて使用するパターンもあります。ミールを使っている=安価な原材料を使用している粗悪品とは言い切れないのです。
インターネット上には、正しい情報とそうではない情報が入り乱れているだけではなく、意図的に過剰に悪く表現したりするメディアもあり、実際に与えているフードの原材料表記をチェックして心配になってしまう方も多いようです。よさそうな印象を与える言葉に惑わされることなく、うちの子の体調や状況にあったフード選びをしていくためには、猫の健康維持やキャットフードに関する情報を家族が正しく知ることが大切ですね。
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