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2020.07.02
猫のおなかにも嬉しいの?オリゴ糖と猫の健康について調べてみました[#調査隊レポート]
皆さま、猫の毎日の食事であるキャットフードを選ぶときにはどんな基準で選んでいますか?猫の好み、原材料の種類、製造国や栄養バランスなど、色々な基準があると思います。
でも、無視できないのは「安全性」という観点ですよね。tamaでお取り扱いしている商品たちは、いずれも独自の視点とバイヤーたちの厳しい目で安全性についてもチェックをした上で、信頼できるものだけを選んでいます。しかし、インターネットが発達している今、「○○ってあまり良くないらしい」とか「あれはやめたほうがいいよ」など、心配になってしまうような情報が飛び交っていて混乱してしまうことも少なくないですよね。
そこで猫の健康を願うスタッフが皆さまに代わって、さまざまなキャットフードの原材料や製造方法について調べてみるシリーズ。
今回扱うのは、人間のための食品や飲み物でもおなじみの「オリゴ糖」。猫にとってもオリゴ糖は嬉しい成分なのでしょうか?それでは、調査隊のレポートを猫と一緒にどうぞご覧ください。
オリゴ糖ってどんなもの?
オリゴ糖といえば、人間用のヨーグルトやドリンクなどでも活用されている成分で、お腹の調子を整えるものとして知られています。
でも、オリゴ「糖」と名前に糖もついていますし、オリゴ糖は肥満などに結び付くのでは?と心配になってしまう方もいるのではないでしょうか。調べてみると、オリゴ糖は糖の仲間ですが、肥満につながるいわゆる砂糖などとは異なった性質を持っている成分であることが分かりました。
糖の仲間は、大きく分けるとブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)など、いわゆる甘味を感じたり、速やかにエネルギー源に代わる糖が含まれる「単糖類」と、この単糖類が2~10個ほどの長さになるまで他の分子や同じ糖類と結合した「少糖類」とに分けられます。オリゴ糖は少糖類に含まれています。
甘みを感じさせるブドウ糖や果糖などの単糖類は、体内で速やかにエネルギーに代わるという特長がある一方で、オリゴ糖などの少糖類はほかの成分と結合しているために、消化器系からすぐに吸収されてエネルギーとして使用されるのではなく、腸内細菌などによって分解されるという特長を持っています。
オリゴ糖などの少糖類はエネルギー源として吸収されないので、肥満などには関係しないのです。
体の中でエネルギー源として吸収される単糖類と、腸内細菌に分解されるまで吸収されない少糖類。それそれ活躍する場所が異なっているということなんですね。
オリゴ糖自体は自然界に存在している成分で、フラクトオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・マンナンオリゴ糖などさまざまな種類があります。
オリゴ糖はどのように猫の健康に関係するの?
次に、オリゴ糖が猫の腸内でどのように分解され、体に働きかけてくれるのかを調べてみました。
消化酵素で分解されることなく、オリゴ糖は大腸まで届けられます。猫や人間など、哺乳類の大腸にはたくさんの腸内細菌が存在しています。これらの腸内細菌は、猫の体にもうれしい働きをしてくれる有用菌、悪さをする菌、そしてどちらでもない日和見菌がバランスを保っている状態が理想的といわれています。
腸内細菌の中にはオリゴ糖を発酵させる能力を持っている菌がいます。これらの菌はオリゴ糖だけではなく、水溶性食物繊維も一緒に発酵させることで健康にうれしいさまざまな成分を作り出します。
■ もっと詳しく:腸内細菌とオリゴ糖の嬉しい働き
腸内細菌が発酵させたオリゴ糖は、体内で役立つどのような物質に生まれ変わるのでしょうか?
腸内細菌がオリゴ糖を発酵させると、酢酸、プロピオン酸、酪酸といった成分が作られます。これらの成分は、腸のぜん動運動(ウンチを腸の中を速やかに通していく運動)を促進したり、大腸のpH値を調整するなどの作用を持っています。
また、それだけではなく、オリゴ糖を発酵させた成分である酢酸は肝臓で代謝され、筋肉でエネルギーとして使われるほか、プロピオン酸も肝臓で代謝されて、アミノ酸代謝、アンモニアの解毒分解などに活用されます。腸内環境を整えるだけではなく、肝臓の働きもサポートしてくれるなんて、オリゴ糖ってスゴいですね。
おわりに
お腹を整えることで知られているオリゴ糖が、猫の体調管理にも役立つのかについてご紹介しました。
オリゴ糖は少糖類に分類される糖類で、甘さを感じる単糖類と比べると甘さを感じにくく、また食べてもエネルギー源として吸収されないことが分かりました。
そして消化器系では吸収されず、大腸で腸内細菌によって発酵されてうれしい成分を作ります。この働きによって、腸内環境を整えてくれるだけではなく、さまざまな部分に嬉しい影響を与えてくれます。
ただ、オリゴ糖はたくさん摂取すればいいということではなく、過剰に与えてしまうとかえって軟便などの原因になることもありますので、適量を猫のうんちの状態などを確認しながら与えてみるのがよさそうです。