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2024.04.11
食事、ブラッシング、始まる時期...。猫の換毛期の疑問にお答えします!
季節の変わり目などに、猫の体からごっそりと大量の抜け毛が出ることがあります。この現象を「換毛期」と呼ぶことは多くの方がご存じだと思います。
この換毛期は、猫が季節に合わせて体調を整える期間でもあります。換毛期の期間はどんな形で猫の健康をサポートできるのでしょうか?
猫の飼い主なら誰もが気になる換毛期のケア。適している食事やブラッシングのタイミングなど、改めて知りたい情報をまとめてみました。
猫の健康的な換毛期を迎えるために知っておきたいポイントをご紹介します。
換毛期は、毎年必ずあるわけではありません
まず、知っておいていただきたいのは、猫の換毛期は「毎年必ずあるものではない」ということです。
ある子もいれば、ない子もいます。年によってははっきりとした換毛期がある場合も、別の年は明確な換毛期がない場合もあるのです。
これは、猫が換毛期を起こすメカニズムに関係しています。
■ 換毛期ってなに?
猫や人間の毛は、一定の周期で成長し、やがて脱け落ち、同じ毛穴からはまた新たな毛が生えてきます。このような毛の成長サイクルを"毛周期"と言います。
健康的な猫の体では、全身の毛が順繰りに一定の毛周期を保ちながら生え変わり、体温や皮膚を守るのに十分な毛が生えそろっている状態です。
この毛周期がさまざまな影響を受けて変化し、同じようなタイミングで一斉に被毛が抜け替わることを「換毛期」と呼んでいます。
毛周期を変化させる要因は一つではなく、さまざまな要因に影響を受け、猫の体が必要だと感じたときに毛周期の変化が起こると考えられています。
【毛周期に関係する要素】
・日照時間(日照時間が長くなると毛の成長が促される)」
・気温(暑くなる前(春)と寒くなる前(秋)に換毛が起こる)
・栄養状態(低栄養の場合、成長期の毛の産生量が減少する)
・神経(神経が麻痺すると毛周期が長くなったり短くなったりすることがある)
・剃毛(手術や皮膚病の治療などで毛を短く剃ることで毛の成長がしばらく停止することがある)
・ホルモン(脳、甲状腺、副腎、生殖器で産生されるホルモンは毛周期を調整する)
とくに、季節の変わり目に大きく変化する「日照時間」と「気温」により、換毛期が引き起こされると考えられています。
季節の変わり目に起こる理由
猫は、暑い時期に適した夏毛と寒い時期に適した冬毛とを使い分けて体温を調整しています。
猫の換毛期は、人の衣替えのようなもの。
冬毛はふわふわと柔らかい毛で密集して生える下毛が多くなり、保温性を高めていた一方で、夏毛は少し硬めな毛で密度が荒い上毛が多くなり、通気性を良くしようとします。
換毛期には全身の毛が一気に抜ける訳ではありませんが、数ヶ月かけて、大量の毛が抜けて徐々に新しい毛に生え替わっていきます。
換毛期を迎えた猫からは、毎日驚くほど大量の毛が抜けるので、普段通りのブラッシングをしていると気が付くという方が多いと思います。
換毛期は、人間の衣替えと同じような時期、春と秋に起こることが多いです。
毎日が換毛期?
最近は換毛期がはっきりしない猫も多くなってきています。
室内飼育の猫が増えたため、外で暮らす猫と比べて日照時間や気温の変化があまり感じられなくなり、換毛期が季節に関係なく続いたり、はっきりとした生え変わりが起きない子が多くなっていると考えられています。
猫たちの暮らしぶりが向上したことで起きるようになった変化と言えそうですが、手放しで喜ぶことはできません。
本来、きちんと換毛期を迎えさせることは、皮膚と被毛の健康維持に役立つと考えられています。
しかし、一方で換毛期が長く続いたり、全くないようであっても、なにか病気などが原因とは限りません。猫たちのライフスタイルの変化に伴う「個性」ですので、気楽に構えるようにしてくださいね。
換毛期に多い猫のトラブル
換毛期の時期に多くなるトラブルもあります。
代表的なものだと、毛球症(ヘアボール)が挙げられます。
毛球症から派生したトラブルもいくつかありますので、まとめてご紹介いたします。
■ ヘアボール(毛玉)ができる理由
猫はきれい好きな動物ですから、自分で毛づくろいを行います。その時に口に入ってしまった抜け毛が消化器系を通ることになります。本来、猫にとって被毛は栄養として消化吸収することができないものですが、少量であればそのまま消化器を進んでいき、ウンチとして排出されます。
しかし抜け毛の量が一時的に多くなる「換毛期」を迎え、猫が飲み込んでしまう抜け毛の量が多くなると、胃の中で抜け毛がまとまって固まっていきます。このことを「毛玉ができる」「ヘアボールができる」と呼びます。
なるべくヘアボールが消化器系のなかでできてしまわないように、対策を行っていくことが猫の健康維持のためには重要になります。猫のお腹の中でたまった毛玉やヘアボールは、時折猫が吐き出すこともあります。
お腹の中で毛玉ができないことが理想ですが、毛が長くボリュームのある長毛猫や外での生活が長くブラッシングが苦手な猫などは、どうしても飲み込む毛の量も多くなってしまい、短毛の猫やブラッシングに慣れている猫と比べるとお腹の中に毛玉やヘアボールができやすいといわれています。
■嘔吐、便秘
猫が多くの毛を飲み込んでしまい、お腹の中でヘアボールや毛玉が作られているのに、ウンチとして排出することも、うまく吐き出すことができない場合には消化器系の動きを妨げてしまいます。ヘアボールを排出できないことによるさまざまな病気を「毛球症」と呼びます。
その状態が長く続くと食欲不振、嘔吐や便秘から、やがて消化器系が塞がれてしまい、腸閉塞になってしまい開腹手術が必要な状態になることもあります。
■被毛トラブル
換毛期の猫はたくさんの被毛が抜けますが、それに伴って新しい毛を作る必要があります。栄養が不足している場合には、新しい毛を上手く作ることが出来ず被毛がパサついたりしてしまうことも。
そんな時には被毛を美しく維持するのに嬉しい栄養素をバランスよくとれているかを確認してみてください。
被毛に限らず、細胞の基本的な材料となるアミノ酸、被毛にツヤを出し皮膚のバリア機能の維持に必要な脂質、被毛を維持するのに必要な亜鉛などの栄養が被毛の健康維持に関係しています。
手作り食などでは、栄養バランスの調整が難しいことも多いので、亜鉛などが不足しやすい傾向にあります。必要であれば、サプリメントなどで栄養を補ってみてはいかがでしょうか。
ヘアボール対策のフードってどんなフード?
猫たちの体調を管理するフードの中には、「ヘアボール対策」と書いてあるものがあります。これらのフードにはどんな工夫がされているのでしょうか。
ヘアボールの対策としては、まず猫たちの消化器系の動きを助け、きちんとヘアボールを排出できるようにサポートすることが大切になります。そのため、猫たちの消化器系をサポートする工夫に、プラス、食物繊維を多めに含んでいることが特徴的です。食物繊維には、腸内細菌のエサとなるという特徴があり、腸内環境を整えるためには必要な栄養素です。同時に、豊富な食物繊維はウンチの量を増やし、猫たちの腸の中に溜まった毛を絡め取ってウンチと一緒に排出しやすくします。
また、毛玉によって便秘気味になっている猫たちには、脂肪分などを少し多めに含んでいるフードや水分量が多いウェットフード、腸内で善玉菌として働く乳酸菌などを含んでいるなどを与えてみるのもひとつの手です。どちらも固いウンチを柔らかくし、毛玉をウンチと一緒に出す助けになってくれます。
■ ブラッシングも忘れずに
もちろん、私たちが猫たちのためにブラッシングを行ったりすることも大切な予防策になります。ただ、猫の中にはブラッシングが苦手でストレスになってしまう、という子もいますので、猫との関係性が壊れない程度にしておきたいものです。
ブラッシングが苦手な猫には消化器系の動きをサポートするサプリメントやフードを上手に取り入れながら、ヘアボールがお腹の中で大きくなりすぎる前に出すことを意識した食事にするのも良い方法です。また、猫草ですが、猫が毛玉を吐く助けになるといわれているほか、お腹の中で毛を絡め取ってウンチと一緒に排出するサポートにもなってくれそうですね。
猫たちの好みや体質に合わせて、できる対策からはじめてみてはいかがでしょうか。
おわりに
猫の換毛期は家族にとって悩ましい時期ですが、適切なケアをすることで毛球症などのトラブルは対策できます。
基本となる対策はやはりブラッシング。定期的に抜け毛を取り除くことと合わせて、食事面でのサポートもオススメ。
換毛期に入ると嘔吐や便秘などの兆候が見られるようになる子は、換毛期の期間だけでもヘアボール対策のフードを取り入れるなどして対策を行ってみてはいかがでしょうか。