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2022.08.18
キャットフードは年齢に合わせて選ぶべき?ライフステージとフードの関係
キャットフードを選ぶときに、皆さまはどんな基準でフードを探していますか?猫の大好物が使われているか、粒の大きさはあっているか…などなど。中には「うちの猫の体質に合わせた栄養バランスに注目して選んでいる」という方もいるかもしれません。
さて、キャットフード選びの際のひとつの「軸」となりうるポイントに"ライフステージ"を挙げる方も多いのではないでしょうか。
"ライフステージ"という言葉は聞きなじみがある方がほとんどだと思います。そこで、今回は知識をステップアップ。キャットフードとライフステージにはどんな関係があり、それぞれのライフステージのキャットフードにはどんな特徴があるのかなどを改めてご紹介いたします。
そもそも、猫のライフステージとは何か?
ライフステージとは、もともとは人間の方で使われていた言葉で、人生の変化を節目節目ごとに区切った、それぞれの段階のことです。
人間では、幼児、子ども、青年、中年、高齢者……といった感じで区分されることが多いです。
では、猫のライフステージはどんなものなのでしょうか?
意味としてはほとんど同じで、さまざまな要因によって変化する「栄養バランス」や「運動量」「基礎代謝」に着目して、成長段階、老化などに合わせる形で年齢を区分した段階を指すことが多いです。
もともとは、とあるフードメーカーがフードをより魅力的に見せるために使い始めた「セールストーク」だったといわれていますが、今では"それぞれの年齢に合わせた適切な栄養を取り入れたフード"を表すひとつのシンボルとして定着しています。
また、AAFCO(米国飼料検査官協会)では、そのフードだけで必須栄養素をカバーできる「総合栄養食」の基準が設けられていますが、その基準は成猫用と子猫用+妊娠・授乳期用の2種類しかありません。
つまり、シニア猫用だとか、特定の猫種用の栄養基準は存在しないのです。基本的に、成猫以降の総合栄養食は成猫用の栄養基準に即して作られています。
ライフステージ別、キャットフードの栄養面の特徴について
猫は人の4倍の速さで年を重ねるといわれるほど、成長の早い生き物です。そんな猫のライフステージは、「成長期」「維持期」「高齢期」の3段階が良く知られています。
それでは、それぞれのライフステージに適したキャットフードにはどんな特徴があるのか、ご紹介いたします。
■成長期用キャットフード=子猫用キャットフード
成長期用キャットフードと子猫用キャットフードはほぼ同じ意味です。そのまま、子猫の時期に与えることを想定して作られていて、栄養が豊富なことが特徴。子猫の体を大きく健康的に育てるためには、大きなエネルギーや栄養が必要となります。AAFCOでも、成猫用のものよりも多くの量が必須量として指定されている栄養も少なくありません。
また、子猫は成猫と比較して成長のために必要となるエネルギーが大きい一方、一度に食べることができる量が少ないため、重量当たりのカロリーなども高めになっていて、なおかつ数回に分けて与えることが推奨されています。
猫の場合、明確な区切りはないのですが、生後50日~1年くらいまでの時期のことを「成長期」と呼ぶことが多いです。「発育期」とも呼ばれるこの時期は、その名の通り子猫の骨や筋肉など、さまざまな臓器がつくられる、猫の成長に欠かせないとても大切な時期です。
子猫の時期だけ必須となっている栄養素もありますので、子猫の間は「子猫用キャットフード」を与えるという方も非常に多いです。
■維持期、成猫用キャットフード
成長期が終わり、成長が止まったころから、シニア期までの期間は「維持期」と呼ばれることが多いです。この時期に与えることを想定しているのが、維持期用キャットフードや成猫用キャットフード、アダルト用キャットフードと呼ばれるものです。
子猫用のものと比較すると重量当たりのカロリーは抑えられ、猫のライフスタイルや体質に合わせたさまざまなラインナップがあります。最も選択肢が多いのがこの時期のキャットフードかもしれません。
避妊、去勢手術を行ったことをきっかけに成猫用キャットフード等に切り替える方が多いですが、これは避妊・去勢手術によって猫の基礎代謝が低下し、子猫用キャットフードを与えていると栄養過多になり肥満になりやすくなるためです。
■シニア猫用キャットフード、高齢猫用キャットフード
猫も高齢になると徐々に運動量が減り、代謝も低下していくなどの加齢による変化が見られるようになります。こういった「老化」のサインが見え始めたころから与えることを想定しているのが、「シニア猫用キャットフード」や「高齢猫用キャットフード」といったもの。最近では獣医療の進歩によりご長寿猫が増えた影響か、「超高齢猫用」とか「ハイシニア猫用」という表記もみられるようになりました。
栄養基準では成猫用キャットフードと変わりはありませんが、シニア期に多くなる健康上のお悩みに合わせる形で役立つ成分がプラスされていたり、運動量が低下したシニア猫に合わせてカロリーが控えめになっていることが多いです。
最近では、高齢になった猫が多く悩むことになる腎臓病に対応するため、リンを抑えたり、腎臓の健康維持サポート成分をプラスしたものもあります。
オールライフステージ対応のキャットフードって?
ライフステージごとに栄養バランスを変えたキャットフードについてご紹介してきましたが、「オールライフステージ対応」のキャットフードもあります。
オールライフステージ対応、とはどのような意味なのでしょうか?
オールライフステージ対応のキャットフードは、AAFCOが設けた総合栄養食の栄養基準を、子猫用・成猫用どちらもクリアしているフードのことを指します。
実は子猫用の栄養基準の栄養基準を満たしていれば、成猫の栄養基準も満たすことができるのです。
そのため、子猫用キャットフードと比較すると子猫に対しては給与量の目安が多めに表記されていることがほとんどです。
ライフステージは、キャットフード選びのひとつの指標と考えよう
猫に必要な栄養素は、ライフステージごとに変化しますが、猫のライフステージに必ずしも合っているフードを与えなくてはいけない、ということはありません。
もちろん、それぞれの段階ごとに意識して補いたい栄養素はありますが、そういった成分はサプリメントやオヤツでサポートすることもできます。
■成長期に意識したい栄養素
成長期の子猫は、文字通り骨や内臓などが成長過程であるうえに運動量も多いため、成猫以上に高タンパク・高カロリーな食事を必要とします。具体的には不飽和脂肪酸であるEPA・DHAは、成猫では必須ではありませんが、子猫の間は必須の栄養素となります。
特に必須栄養素である「タウリン」や、骨の形成に必要な「カルシウム」や「リン」などのミネラルは成長期の猫にとって十分量与える必要があります。
■維持期に注目したい栄養素
維持期は、猫にあった適正体重を維持することが大切です。
現在、室内で暮らす猫の多くが肥満傾向にあるといわれており、特に成長期後半に去勢・避妊手術を受けた猫は、ホルモンバランスの乱れから太りやすい体質になることが多いといわれています。
とはいえ、もちろん猫たちの体質は千差万別。去勢・避妊手術を受けていても少食だったり、太りにくい体質の猫もいますのでそれぞれの猫たちに合った食事量を調整して与えるのがいいですね。
維持期の猫には、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの基本栄養素のほか、「DHA」や「EPA」、毛玉抑制に効果的な「食物繊維」、皮膚や被毛の健康維持のため「ビオチン」なども重要な栄養素となります。総合栄養食タイプのキャットフードを与えていれば、栄養素は基本的には不足することはありませんが、オヤツなどを極端に与えすぎると体重増加するだけでなく栄養バランスが崩れることもあるので、注意してください。
また、猫は泌尿器系の病気にかかりやすい傾向があるため、その予防対策としてウェットフードから水分補給ができるよう促したり、ある程度の運動時間を確保することも重要です。
■高齢期に注目したい栄養素
高齢期は基礎代謝や運動量が落ちるため、成長期や維持期に比べ必要カロリーも減少します。
猫も人間同様、年齢を重ねるとともに体の機能も徐々に低下していくため、高齢期に適した栄養バランスのキャットフードに切り替えることが多いです。
シニア猫向けのサポート成分としては抗酸化作用の高い「ビタミンC・E」や、「アスタキサンチン」、「ポリフェノール」のほか、関節炎に配慮した「EPA」などの不飽和脂肪酸、「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの栄養素が代表格。
加齢により徐々に衰えが見えてくる免疫系などをサポートするための成分も人気があります。
おわりに
今回はキャットフード選びの際に見かける「ライフステージ」についてご紹介いたしました。それぞれの年代に合わせたライフステージのキャットフードが展開されており、それぞれの年代に合わせた特徴を持っています。しかしその年代の猫には必ずライフステージが合致しているものを与えなくてはいけない、というわけではありません。
特定の軸だけにこだわりすぎることなく、猫の体調や好みに合わせて様々な選択肢の中から選ぶことも大切になるかと思います。