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2022.06.23

【熱中症】猫が出すサインをチェックして、夏の快適な暮らしを!【日射病】

【熱中症】猫が出すサインをチェックして、夏の快適な暮らしを!【日射病】

夏に注意が必要なポイントと言えば、熱中症や日射病といった夏特有のトラブルです。すっかり日本国内の都市部では猛暑や熱帯夜が当たり前になりつつあり、室温や体温の管理に頭を悩ませる方も多いと思います。

猫との暮らしの中で、避けたい暑さに関するトラブルですが、猫が暑さを感じている時に見せるサインをはじめとして、猫との暮らしの中でできる工夫をまとめてみました。

猫は暑いのが平気?苦手?

猫のご先祖様は、アフリカや中東の砂漠地帯で暮らしてきたリビアヤマネコといわれています。
砂漠では乾燥に加えて遮るものがないために直射日光が降り注ぎ、日中はどんどん気温が上がっていきます。世界最大の砂漠であるサハラ砂漠では、日なたの平均気温は40度以上、過去には最高気温58度も記録したことがあるほど過酷な環境です。

「なら、猫も暑さに強いの?」と思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。
猫のご先祖であるリビアヤマネコは砂漠の猫ではありますが、夜行性です。夜の砂漠は昼間の酷暑からは打って変わって気温がぐっと下がり、1日の平均寒暖差は20度以上といわれています。砂漠といえど、夜であればそこまでの酷暑ではないのです。その時間に活発に動くのが猫の仲間ですので、砂漠出身だからと言って暑さはへっちゃら!というわけではありません。
やっぱり快適に過ごせる気温が一番心地よく、活動も活発になります。

ちょっと小話:ベルクマン・アレンの法則と地域の気候について

猫の中には体が大きな猫、小さな猫と同じように耳が大きな猫と小さな猫がいます。これは、猫のご先祖がどんな地域に暮らしていたかを示す一つの指標になると考えられています。
さまざまな哺乳類の体についてベルクマンとアレンという研究者が調べた結果、寒い地域に暮らす動物ほど耳は小さくなる傾向にあり、暑い地域に暮らす動物ほど、耳は大きくなるという傾向が見られたのだそうです。
これは、体が大きくなるほど保温性が高まり、耳は放熱し体温を調節する器官としての働きも持っているためと考えられています。
キツネの例が分かりやすく、ホッキョクギツネは体の大きさに対して耳はとても小さくなっていて、砂漠に暮らすフェネックギツネは体はコンパクトで耳がとっても大きくなっています。

この法則を猫に当てはめてみると、寒冷地出身の猫であるノルウェージャンフォレストキャットはノルウェー原産、メインクーンはアメリカ最北端のメイン州(ほぼカナダ)が原産となっていて、いずれも大きな体を持ち、それに対して耳の比率は控えめ。
逆に耳が大きい猫で言うと、アビシニアンはアフリカ、シンガプーラは赤道直下に近いシンガポールが原産となっています。
こういった法則と様々な猫の姿を見ていくと、猫のルーツもなんとなく見えてくるかもしれませんね。

猫が暑さを感じている時に見せるサイン

では、猫が暑さを感じている時にはどんな変化が見られるようになるのでしょうか?
暑さを感じている時の代表的なサインには以下のものがあります。

・息が荒くよだれを垂らす
・鼻や目、口の粘膜が赤くなる
・食欲がない
・心拍数の増加
・舌を出す(短頭種の場合)
・動きや反応が鈍くなる


猫が暑さを感じている時、これらの変化が見られるようになります。こういったサインがみられる時には、速やかに涼しい場所に連れていって落ち着くのを待つようにしてください。

私たち人間と暮らす猫は快適に気温が調整された室内に慣れてしまい、気温の変化にうまく対応できず、体調を崩してしまうこともあります。暑い日には様子をこまめにチェックしてこれらのサインが見られないかを確認していくことが大切です。

猫が快適に過ごせる室温とは

では、猫にとって適温と感じる温度はどれくらいなのでしょうか?室温管理においては、夏の間はエアコンの設定温度を25度前後を目安に設定する方が多いようです。
日差しが入る場所と日陰では体感温度も大きく変わりますし、集合住宅なのか一戸建てなのか、窓の向きや数、家の材質や気密性などの要素によって、室温は大きく変化しますのでご家庭に合わせて調整してください。

被毛を持っていることから「暑いんじゃないか」と心配される方も多いのですが、動物全体で見てみると猫は体が小さく、快適に感じる温度は人間に近い部分があります。
ですから、家族が過ごしやすい、と感じる気温を一つの指標としても猫は十分快適に暮らすことができます。

ただし、長毛の猫、大型の猫、短頭種の猫の場合は、目安よりもやや低い温度設定が適している場合もあります。どれくらいなら快適かというのは、その時の体調や猫によりますので、ご家族でこまめに猫の様子をチェックしてあげてください。

それから、エアコンが効いている部屋でも、猫は「寒いな」と感じたら別の部屋に移動したがったり、ひなたに移動して日光にあたって体を温めて体温調節をします。
一度体を温めたら、また涼しい場所に移動してくるということも良くあります。
そのため、家の中の全ての部屋の温度を同じに維持するのではなく、少し温度に幅を持たせたり、日差しが入る窓辺などでゆっくりできるスペースを作るなどの工夫をしてみてください。

猫も熱中症、日射病になるの?

猫も熱中症や日射病になることがあります。

熱中症とは、高温の場所でおこる、熱による障害を総称して熱中症といいます。この中に日射病や熱射病も含まれます。

猫の熱中症も人間とほぼ同じような症状がみられることが多いです。体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などの症状が見られ、重症のものでは意識を失ったりすることもあります。
ただし、猫は体温の上昇や頭痛などを上手く表現することができないので、熱中症のサインに気が付かずにいると重症化してしまうこともあるようです。
また、注意が必要なポイントとして、重度の熱中症は腎臓に大きな負担となるということです。熱中症が進行すると腎臓の機能が破壊されてしまうケースもあります。
特に注意が必要なのは高齢の猫です。加齢による認知機能の低下に伴い、暑さに無頓着になってしまうシニア猫も多くいます。また、体の自由が利かずに涼しい場所に自主的に避難することが難しいこともあるので、十分に注意して見守ってあげてください。

様子がおかしい、と家族が感じた時には重症化してしまっていて、命に係わる状況になるケースもあるようですので、まずは猫が熱中症になってしまうような環境を作らないこと、そして猫の熱中症のサインを見落とさないことが大切です。

おわりに

今回は夏に向けてチェックしておきたい猫と暑さについてご紹介いたしました。基本的には猫は人間と同じくらいの室温を快適と感じているようですので、神経質に温度管理を行う必要はないようです。
ただし、高齢の猫や大型猫、長毛の猫、短頭種の猫では熱中症のリスクが高くなりますので注意して猫の「暑いよ~」というサインを見逃さないよう見守るようにしていきたいですね。