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2022.05.19
腎臓ケアのためにはどんなことを意識する?キャットフードのリンとタンパク質に注目。
猫の毎日の食事の基本となるキャットフードですが、その種類は豊富です。
最近ではさまざまな特長を打ち出しているフードが登場し、フード選びに迷ってしまうという方も多いですよね。
そんな中でも多くの方が関心を持っているのが、「猫の腎臓」というキーワードではないでしょうか。シニア期になった猫の多くが悩むことになる腎臓病。療法食以外でも「腎臓」の健康を意識した商品も数が多くなりつつあります。でも、それらのアイテムは本当に猫の腎臓の健康維持を意識しているのでしょうか。
そこで今回は、腎臓を労わりたい時に与えたいキャットフードってどんなもの?というポイントをご紹介していきます。
いつから始める?猫の腎臓ケア
猫はシニア期に入ると腎臓に不調が出ることが多いといわれています。もともと飲水量が少なく、尿を濃縮するために腎臓を酷使する生き物であるためか、猫の多くが慢性腎臓病になるといわれていて、宿命ともいわれる病気となっています。(他の動物と比較して特別猫が腎臓病になりやすい理由については、研究が進められている段階とのことです)
腎臓病の恐ろしいところは早期発見が難しく、一度低下してしまった腎臓の機能を健康的な状態に戻すことは、現代の獣医学では難しいという特徴を持っていることです。猫の様子がおかしい、と思った時には腎臓病が進行してしまっているというケースも多い病気。そのため、中年期~シニア期と呼ばれる年齢になった猫は、なるべく腎臓への負担を意識した食事を選んでいくことが、より長く健康的に暮らしていくためには重要になってきます。
猫の腎臓の健康維持のためにキャットフードのこの成分をチェック!
■リン
猫の腎臓病について調べていると、必ずと言っていいほど登場するリンという成分。この成分は猫の腎臓病とどのような関係があるのでしょうか。リンはミネラル類の一種で、骨や歯を丈夫で硬く作るために活躍する栄養素です。健康的な猫の体では、必要な分だけを体内で使用し、不要なリンは腎臓でろ過されてオシッコの成分として排出されています。
しかし猫の腎臓の機能が低下すると上手くリンを尿として排出することができなくなり、体内でリンの濃度が上がりやすくなります。リンの濃度が高くなった猫の体では、体内の環境を一定に保とうとする機能が働き、パラソルモンというホルモンが放出されます。パラソルモンはリンとカルシウムの体内バランスをコントロールする働きがあり、体内で増えすぎてしまったリンの調整を行おうとします。
パラソルモンは、オシッコに排出させることでリンの血中濃度を下げるよう、腎臓に働きかけるのですが、腎臓の機能が低下している猫の体では、パラソルモンがいくら働いても、おしっこに体内のリンを排出することができません。
それどころか、パラソルモンは増えたリンとのバランスを保つために骨を溶かしてカルシウムを血液中に増やすという作用も持っているため、パラソルモンは信号を出し続け、骨からカルシウムがどんどん取り出される事態になってしまいます。
このことで骨が弱くなってしまったり、腎臓にカルシウムの結晶が作られるほか、腎臓の組織にダメージだけが積み重なって腎不全の症状悪化に繋がってしまいます。
リンは猫の腎臓病の直接的な原因とはいえませんが、腎臓病の進行に影響する成分といえます。
リンは高タンパクの食べ物に、より多く含まれる傾向にあります。肉食獣である猫は、より多くのタンパク質を必要としますが、タンパク質を多く摂取すると自然とリンも多く取ることになってしまいます。
身近な食材では高タンパクの肉や卵、魚のほか、乳製品などにもリンが多く含まれています。納豆や大豆などの植物性タンパク質が豊富な豆類もリンが多く含まれます。
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最近では猫の腎臓のネフロンをお掃除するAIMタンパクと呼ばれるタンパク質の働きが、ほかの動物とは少し違う…ということが分かり、これが特に猫で腎臓病が多い原因なのでは?という研究が進められています。
AIMタンパクを活用した薬の登場も予測されていますので、今後は猫の腎臓を取り巻く環境が少しずつ変化していくことになるのかもしれません。
■タンパク質
猫の腎臓の健康を意識する時にリンと合わせて注目したいのが、タンパク質です。
先ほどもご紹介した通り、リンは肉や魚、卵など高タンパクの食事に多く含まれる傾向にあります。
でも、リンを抑えるためにはタンパク質も抑えなくてはいけないのかというと、必ずしもそうとは言えないというのがポイントです。
そもそも、猫はもともと肉を中心とした食事を食べてきた動物です。自分で獲物をハンティングし、フレッシュなお肉を食べてきた猫たちにとって、タンパク質をまったく摂取しない、という食事は決して健康的とは言えないと思います。
猫の腎臓がある程度機能している、初期の腎臓病であれば、適度にタンパク質を摂取することが大切です。
ですので、腎臓病のケアとしてもリンを大幅に抑えるというよりも、猫の腎臓の状態に合わせて食事を選ぶことがポイント。
シニア期に入った猫や、健康診断や血液検査などで腎臓の機能を表す数値に変化がみられるようになってきた、などの段階から動物病院で猫の食事や生活スタイルについて相談し、一緒に食事を見直してみるのもひとつの手です。
もちろん、動物病院で「療法食を食べさせてください」と指示があったなど、療法食を与えてあげることがベスト、ということもあります。
腎臓の機能が低下している時にも使える、リンなどの老廃物を吸着し排出させる、腎臓の働きを補うサプリメントもあります。腎臓の機能の低下が見られてきた、というときにはサプリメントなども活用しつつ無理なく腎臓を労わってあげてください。
リンとタンパク質を意識して選ぶ!オススメキャットフード
療法食以外でリンの値が低いものを集めました
- 詳細を見る ナウフレッシュ グレインフリー フィッシュ アダルトキャット ◎リン(DM):約0.55% ◎タンパク質(DM) :約33%以上
- 詳細を見る ナウフレッシュ グレインフリー シニアキャット&ウェイトマネジメント ◎リン(DM):約0.55% ◎タンパク質 (DM) :約34%以上
- 詳細を見る カントリーロード キドニー プラス シニアケア 635g ◎リン(DM):約0.58% ◎タンパク質(DM) :約28%以上
- 詳細を見る tama ボナペティ ラム&フィッシュ ◎リン(DM):約0.66% ◎タンパク質 (DM):約34%以上
おわりに
シニアになった猫の多くが悩むことになる腎臓の健康維持、という視点からより幅広くフードを探していくとキャットフードの選択肢も増えてきます。
もちろん、どのキャットフードが合っているかは猫それぞれではありますが、ひとつのフード探しの基準としてキャットフードに含まれる「リン」「タンパク質」をチェックしつつフード選びをしてみてはいかがでしょうか。