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2022.02.24

猫の関節炎、サプリメントで対策できる?痛みが起こる原因と対策

猫の関節炎、サプリメントで対策できる?痛みが起こる原因と対策

猫も高齢になると関節炎を起こすことがあります。
人間でも辛い関節炎ですが、猫が関節炎を起こすとどのような変化がみられるようになるのでしょうか?
言葉を話すことができない猫のために、いち早く関節トラブルのサインに気が付くためのポイントと、食事から取り入れたい栄養、そして暮らしの中の一工夫をまとめてご紹介します。

猫の関節炎とは?

猫の関節炎は、多くは変形性関節症と呼ばれるもので、関節の動きを滑らかにする働きがある軟骨が擦り減ったり、周辺の組織が変形してしまうことで起こります。
変形性関節症になった猫は関節をスムーズに動かすことが難しくなり、本来であれば衝撃を吸収する働きを持つ軟骨が失われることで骨と骨、組織などが接触して強い痛みを感じることもあります。

関節の軟骨そのものは、加齢に伴い徐々に擦り減り、修復する能力も加齢に伴って低下するので全ての猫で徐々に関節炎を起こしやすくなるといわれています。加齢に伴う関節炎は特定の猫種に起こりやすいということはありません。

肥満体形の猫、運動不足の猫、大型猫では関節炎は起こりやすく、また痛みを伴う傾向にありますので、とくにシニア猫は普段の生活習慣や体重などを観察して注意しておくと良いかもしれません。

遺伝的に関節への注意が必要な猫とは?

猫の中には遺伝的に関節にトラブルが起きやすい猫がいますが、これらは加齢に伴う関節炎とは原因が異なっています。
遺伝的な要因で起こる関節トラブルですので、上手く病気と付き合っていく、悪化させないように注意をするなどの工夫を行いながら暮らしていくことになります。
以下の猫種すべてでこれらのトラブルがみられるわけではありませんが、傾向としてこれらの症状が起こるリスクについて、動物病院などで相談し、どのような対策を行うかを確認しておくと安心です。

・スコティッシュ・フォールド…骨軟骨異形成症候群
・デボン・レックス…膝蓋骨脱臼
・シャム猫・サイアミーズ系…股関節異形成

いずれの猫でも、体重管理は必要になることが多いです。

猫の関節炎対策に食餌から取り入れたい成分

どんな猫でも起こす可能性がある関節炎。猫に痛みや思うように体を動かすことができない不自由さを感じさせないために、シニア期に入ってきた猫は少しずつ対策を始めていきましょう。
食事の内容のチェックを行う際、注目したい成分などについてご紹介します。



■炎症への対策 オメガ3脂肪酸(EPA)

オメガ3脂肪酸のうち、EPAは、体内で起こる炎症をコントロールする際に使用されます。炎症は様々な刺激や異物に対しての防御反応のひとつです。
関節炎を起こしている猫も関節に炎症を起こしますが、適切にEPAを取り入れることが痛みや発熱などを抑えることに繋がります。猫が関節炎で痛みを感じていたり、足をかばうような様子を見せる時などに、動物病院で処方される薬やサプリメントにも多く含まれている成分です。

 

 

■筋力の維持 BCAAアミノ酸

BCAAアミノ酸とは、「branched chain amino acid(分岐鎖アミノ酸)」のことで、バリン・イソロイシン・ロイシンがこれに含まれていて、これらのグループは筋肉のエネルギー代謝に深くかかわるアミノ酸です。
また、食べ物から摂取したタンパク質やアミノ酸を、筋肉細胞として再合成する際にもBCAAのアミノ酸は必須です。
BCAAアミノ酸の仲間は、肉や魚などのアミノ酸スコアが優れたタンパク源に多く含まれています。

猫にとっては、筋力を維持し、その筋力を使える状態にするために必要な栄養素といえますね。シニア期の猫は代謝が低下し、運動不足に陥りやすいといわれています。すると筋力も低下してより一層肥満になりやすいというループに陥ります。
また、バランスよく十分な筋力を維持していれば、しっかりと筋力で体を支えることができますので関節への負担を軽減することにもつながります。
関節炎・肥満になりにくい猫の体作りを意識する時に注目したい栄養素のひとつです。

特に加齢に伴って筋力が低下していくシニア猫は、アミノ酸スコアの優れた食事を意識して摂取することが大切、といわれるのはBCAAアミノ酸を取り入れるためでもあるのです。
高齢になった猫でも良質なタンパク源を使用したキャットフードを食べることで、しっかりとBCAAアミノ酸を摂取することができます。

 

■関節ケア成分 コンドロイチン、コラーゲンペプチド、MSMなど

猫の関節の軟骨は人と同じで一度削れてしまうと、修復することはほぼできないといわれています。そのため、今ある軟骨をいかに守っていくかが大切になってきます。
猫の関節を保護するために、軟骨の組織に働きかけるMSMや、関節の周囲を満たしている関節液の原材料となるコンドロイチン、コラーゲンペプチドなどを補う方もいます。

 


■猫の関節の健康維持のために。食事・サプリメントの使い方

猫の関節炎の対策として、食事やサプリメントから取り入れたい栄養についてご紹介しましたが、一番大切なのはその与え方です。
猫が足を引きずっていたり、運動を嫌がるなど目に見える関節の痛みによる症状が出ている間だけ、サプリメントなどを与える方もいます。
しかし、それではその場しのぎになってしまいますので、シニア期になった猫、過去に一度でも関節のトラブルを起こしたことがある猫は、継続的に関節の健康維持を意識した栄養を含む食事・サプリメントを与えるようにしてください。

猫の関節炎はすべての猫が起こすリスクがあるトラブルです。そして、基本的には擦り減ったり、変形してしまった関節の軟骨は元には戻りません。
私たち、そして獣医師さんができるのは猫が痛みを感じたり、不自由さを感じる時期を遅くすることです。毎日コツコツと続けることが、猫のQOL(Quality Of Life)の向上、そしていつまでも元気で若々しい暮らしにもつながります。

もう一歩ステップアップ 猫の関節を守るために

■まずは体重管理を!
獣医師によると、シニア猫の体重管理はとても大切。高齢になり、運動量も代謝も低下した猫の体重を減らすことは難しいので、まずは「これ以上太らせない」という意識を持つことから始めてみてください。
獣医師と相談の上、食事の内容を低カロリーのものを中心にする、オヤツを減らす/なくすなど、食事管理を行ってみてください。

 

■シニアになっても適度な運動は必要
猫にとって、狩りの模倣でもある遊びは重要なものです。適度な運動は、肥満の防止、筋力の維持、ストレス管理にも効果的。高齢になると運動量が低下し、活力もなくなる猫が多いですが、猫が大好きなオモチャや遊びを取り入れて運動させることを意識してください。

 

■室内で暮らす猫は足裏の毛、爪は短くカット!
猫の足裏には毛が生えていますが、長毛猫だと伸びた毛が肉球を覆ってしまい、滑り止めの働きを邪魔します。踏ん張ることができないと、関節の負担を大きくする原因になりますので、注意が必要です。伸びすぎた爪も四肢が滑りやすくなる要因なので、定期的にチェックするようにしましょう。

 


■床材の見直し
四肢が滑りやすいと思わぬ事故を招いたり、関節に負荷がかかることがあります。
猫が高齢になり、関節の健康を意識するのであればコルク板やカーペットなど、滑りにくい素材のものを敷くのがオススメです。

おわりに

今回は猫の関節炎についてご紹介しました。すべての猫がなる可能性がありますので、家にいる猫がシニア期になったら少しずつ対策を初めて行ってください。
また、高齢の猫は太りやすい傾向にありますので、体重管理と筋力の維持のためにも遊びを取り入れてみてくださいね。