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2021.12.16
猫本来の習性から考える、理想的なキャットフードの与え方とは?
tamaのコンサルティングサービスでは、たびたび寄せられる質問の中のひとつに、キャットフードの与え方についての質問があります。多くの方が、キャットフードの与え方に対して「これで本当に良いのかな…」と不安を感じているようです。
その方々のお話を聞いていると、気になっていることはさまざまで「食事の回数は適切なのか」、「早食いをして吐いてしまう」というものから、「食事に興味を持ってくれず、痩せてしまっている」というものまであります。
これらのお悩みを考える時に、知っておきたいのが野生の猫たちがどのような食事スタイルでごはんをたべているのかということ。
キャットフードの与え方の工夫をすると、思わぬ形でお悩みの解決につながることもあります。
本日は、猫の食事のお悩みのひとつである「キャットフードの与え方」について、猫本来の習性などを交えてご紹介します。
猫の食事回数について
猫は本来、食事を何回かに分けて食べる習性がある動物です。
人間と一緒に暮らし始める前、肉食動物である猫は、狩りが上手くいけばごはんを食べられ、狩りの失敗が続くとしばらく食事にありつけない…ということが当たり前でした。
新鮮な食事を好み、基本的に食べ物を貯蔵するということをしない「新鮮肉食者」です。ですから、お腹が減ったな、と感じたら狩りを始めるというのが猫たち本来のスタイルだったのです。現在でも野生で暮らしているネコ科の動物たちは同じようなライフスタイルで暮らしています。一度に食べられる量だけを食べて、お腹が減ったら新しく狩りを行いまた食べる、という繰り返しなので、今でも猫はちょこちょこ食べるという食事法を取ることが多いです。
ネコ科の動物のライフスタイルを踏まえて考えると、猫の食事回数は「決まっていない」というのが本来の形といえます。
お腹が減ったら食べるし、ある程度食べて満足したらウトウトし、またお腹が減ったら食べるというのが猫流なのです。
猫がお腹が減ったな~と感じた時に食べることができるというのが、人間目線では「ダラダラ食べ」に見えるかもしれませんが、猫にとっては理想的なのかもしれません。
猫が早食いをしてしまう理由は?
猫が早食いをしてしまい、嘔吐してしまうこともあり心配になるというお声もあります。
猫が早食いをしてしまう背景には、いくつか理由が考えられます。
野良猫だった経験がある猫や、きょうだい猫と食事の取り合いをした経験がある猫、多頭飼いといった環境で暮らす猫は「自分の食事をしっかりと確保しなくてはいけない」と焦って食事を食べてしまう傾向があるようです。
また、食事と食事の時間が開きすぎてしまい、強く空腹を感じることでも早食いになりやすくなります。
猫が空腹を感じた時に自由に食事をとることができるスタイルなら、早食いを少しは軽減できる可能性があります。
猫が食事に興味を持ってくれないとき
猫が食事に興味を持たず、何を与えてもあまり食べてくれない…というお悩みを持つ方もいます。食が細いので、体力が低下してしまうことや、体がなかなか大きくならないことを心配されている方は多いです。
食が細い猫の中にも、キャットフードの与え方を工夫することで食欲が出てくる子がいます。
猫は、本来狩りをして食べものを手に入れていた動物です。猫にとって狩りは食べ物を手に入れるためのとても大切な行動。狩りへの欲求と食欲には深い関係性があると考えられています。
猫の多くは狩りに近い遊びが大好きです。遊びを取り入れることでエネルギーを消費するだけではなく、本能が刺激されて狩りを成功させた満足感から食欲が戻るケースもあるようです。
猫の食欲は、ごはんが美味しそうだと感じるかどうか以外にも、狩りの欲求が満たされているかどうかも非常に重要な要素になっています。猫にとっては狩りは食事とセットになっている行動であることを踏まえて、食事を与える前に狩りに近い遊びを取り入れるなどの工夫を取り入れて、食にも興味を持たせている方も多いです。
猫の習性に合わせたキャットフードの与え方
「適切な食事の回数が分からない」「早食い」「食事に興味を持ってくれない」これらのお悩みは、キャットフードの与え方にちょっと工夫を加えることで改善される可能性があります。
『どのように食事を与えるか』ということは『どのような食事を与えるか』と同様にとても大切なことなのかもしれません。
■軽んじられてきた、「猫本来の食事スタイル」
今でも野生の頃の習性を残す猫たちの食事のスタイルに注目した、とある研究者がいます。
彼女の名前は、リズ・ベールズ。ベールズ博士は、
"猫にとって食事は『獲物を狩って摂るもの』。狩りという行為がないと、猫は『ただ食べるだけ』になってしまい、猫本来の健康的な食事からはどんどん離れて行ってしまいます。"
と警鐘を鳴らしています。
キャットフードの中には、肉類をたっぷり使用した高タンパクのフードを「猫本来の食事」と表現しているメーカーもあります。たしかに、食事の中身は猫が野生で食べてきたものに近づいているのかもしれません。
でも、猫本来の食事のスタイルは?
残念ながら、これまで「猫本来の食事のスタイル」にはあまり注目されてこなかったように思います。
お腹が減ったら狩りをして、獲物を捕まえて食べるという猫本来のライフスタイルも、食事の内容と同じく重視してみませんか?
■「No Bowl Cat Feeder」で、猫には猫の食事スタイルを。
アメリカで獣医師を続けるベールズ博士が、猫の行動を元に開発した新しい形の食事の与え方が「No Bowl Cat Feeder(ノーボウルキャットフィーダー)」です。
ノーボウルキャットフィーダーは、猫本来の習性を考慮し、ご飯はフードボールで定期的に与えるのではなく、自ら探させ、自分で狩りをしているかのような体験を与えられる、新しいタイプの食事の与え方です。
猫の興味を引くネズミのような形をした器の中に、キャットフードやオヤツを入れて隠すことで、猫自身が「獲物を探す」「獲物をハンティングする」「食事をとる」という一連の行動を体験できるようになります。
また、猫自身が気ままに好きなタイミングで食事をとることができるのもメリット。ネズミの中に入れるフードの量を調整すれば、一気に大量のフードを食べて吐き戻してしまうことへの対策としても使えます。
多頭飼いなどの家庭でも、猫がそれぞれフードを探して食べることができるので、ごはんの取り合いなども起こりにくくなるはずです。
No Bowl Cat Feeder(ノーボウルキャットフィーダー)
猫本来の食事スタイルを追求した、新しい与え方。
5匹のマウスにドライフード(もしくはトリーツ)を専用のスプーンを使って入れます。 その5匹のマウスを家の中に隠しておくだけです!
始めは慣れていませんが、少しずつ教えれば理解していきます。まずは好みのフードやトリーツを入れたマウスを猫の前に置いて、中に美味しいものが入っていることを認識させましょう。少しずつ遠くに置いたり箱に隠したりしているうちに、探すのに慣れていきます。
■No Bowl Cat Feederの詳しい使い方などはこちら
おわりに
本日は猫の食事の与え方に関するお悩みへの対策を、猫本来の習性などを元にご紹介いたしました。
「吐き戻し」や「食欲不振」などはフードに原因があると考えて、いろいろなフードを試してみるという方も多いと思いますが、フードの与え方を変えることが解決のカギになるケースもあります。
今回ご紹介したことが気になる、という方は猫の食事の与え方を工夫してみてはいかがでしょうか。