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- 猫研究所
2021.11.18
こんなことが原因に?猫の"本当にあった、ストレスの話"
猫の健康維持のためにいろいろな工夫をしているというご家族は多いと思います。猫がいつまでも元気でいてくれるために意識したいポイントのひとつに、「ストレス」があります。
人間でも体調に大きく影響するといわれるストレスは、猫の体調にもさまざまな影響を与えるようです。
今回は猫の健康とストレスについてのまとめと、そして実際にスタッフ猫たちが経験したストレスとなった事例を調査した結果をご紹介いたします。
どんなことが猫にとってのストレスになるのか、参考にしていただけると嬉しいです。
猫のストレスサインを知ろう
ストレスを感じている猫はいわゆる「ストレスサイン」と呼ばれる特長的な行動をとることがあります。ストレスサインに含まれるものには、ストレスが原因ではなくてもみられるものがありますが、何度も繰り返したりするなどの傾向がみられるときは、ストレスの影響を考えてみるのも良いかもしれません。
【代表的な猫のストレスサイン】
・食欲低下、食事を食べない
・身体を何度も舐めたり、脱毛する
・若いのに寝ている時間が長い、活動的ではない
・排泄回数や排泄状態の変化
・粗相が増える(トイレの失敗が増える)
・攻撃的になる
・物陰などに隠れて出てこない
猫が強いストレスを感じたままの状態が続くと、ストレスサインだけではなく実際に猫の体調や私たちの暮らしに影響が出てしまうこともあります。
最近では、獣医師の間でも猫のストレスが体調に与える影響を重視する人が増えており、ストレスのコントロールによって実際に病気の治療を行っていくこともあります。具体的には、特発性膀胱炎と呼ばれる猫の膀胱炎では、ストレスとの関係性が注目されています。
そのほかにも、便秘、脱毛、皮膚トラブル、食欲不振などは猫に多いトラブルですが、これらもストレスとの関係性が疑われることがあります。
トイレが上手くできなくなったり、家族に対して過度に攻撃的になってしまうなどの状態は、いわゆる「猫の問題行動」とされることもありますが、猫にとっては強いストレスを感じた結果の行動である可能性も考慮したほうが良いかもしれません。
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ゴロー
猫の行動には猫なりの理由があるであります。
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ランラン先生
急に具合が悪くなった、とか急に困った行動をするようになってしまったと感じる家族も多いようですが、実はストレスが影響していたというケースもあるようですから、「いつもと様子が違うな」と感じたら、猫のストレスになるようなことがなかったかをチェックしてみてください。
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ムー
人間には理解してもらいにくいようなことも、ストレスに感じることも結構あるのよね。
猫の"本当にあった、ストレスの話"
実はこんなことがストレスになっていた、というスタッフ猫たちの事例をご紹介しましょう。
事例1スタッフ猫Aのストレスの話
スタッフ猫Aは、家族が"人間用"の料理を作るためにささみを茹でていたところ、その香りを敏感に感じ取り、おねだりを開始しました。
ところが、それは人間用のもの。
何度も何度も繰り返されたおねだりでしたが、その成果は実らず、家族は決していい香りを漂わせるささみをくれませんでした。
後日、「欲しいものがもらえなかった」というストレスからなのかは不明ですが、膀胱炎を発症。すぐに回復しましたが、まさかこんなことがストレスになるとは……とちょっと驚きの体験でした。
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ゴロー
ややー。まさかおねだりが失敗したことがストレスになるなんて……よっぽどお腹が減っていたでありますかね?
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ランラン先生
部屋の中に美味しそうな香りがするのに食べられない、ということがストレスになったのかもしれませんね…。
事例2スタッフ猫Bのストレスの話
多頭飼いの家のスタッフB。外出中に、トイレを同居猫が使用していたらしく、いつもスタッフ猫Bが使用するトイレにはホカホカのウンチが。いつも自分が使っているトイレだというのに、他の猫のウンチがあることが相当なストレスだったようで、私が帰ってくるまで他のトイレを使用することもせず、我慢してしまったのかもしれません。後日膀胱炎になってしまいました。
猫の膀胱炎では、トイレの回数が減ってしまうことと並んで、ストレスが原因として考えられることも非常に多く、注意が必要です。
トイレに関するストレスには、トイレの場所が家族の通る場所で落ち着いて用を足せなかったり、トイレが汚れている(同居猫のウンチなどが残っている)、トイレが狭すぎる、トイレの砂が気に入らない、などがあります。
猫にストレスなく快適にトイレを使ってもらうために、トイレを清潔に維持すること、そして猫の数よりも多くのトイレを用意すること、そしてトイレの場所選びなどは非常に重要です。
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ランラン先生
今回のケースのように、トイレは非常に重要な場所なんです。
皆さまご存知だと思いますが、トイレ中って本当に無防備になるので、安心して快適に使えるかどうかに注目していただけると嬉しいです。
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王子
人間目線で見ると落ち着いた場所に見えても、猫目線で見ると人の足が気になったりして落ち着かないってことも結構あるのだ。
事例3スタッフ猫Cのストレスの話
スタッフ猫Cにはお気に入りの場所があります。それは家族のお膝の上。暖かい膝の上が恋しくなると、家族の近くに寄っていっておねだりをします。
でも、その日はちょっと様子が違ったのです。いくらスタッフ猫Cがおねだりをしても、家族は膝の上にのせてはくれなかったのです。
実はその日、家族の親戚が遊びに来ていて、親戚の赤ちゃんが家族の膝の上にいたのです。それで、スタッフ猫Cがおねだりをしたタイミングで膝の上に乗せることができなかったのですが、これがストレスだったのか、その日は食事もあまり食べず…。
その後、徐々に食欲も戻りいつも通りの様子で過ごすようになりましたが、お客さんが来たことやおねだりに応えられなかったことがストレスに感じたようで、少し心配しました。
スタッフ猫Cの場合は、知らない人が家にいたことも強いストレスになったのかもしれません。自分の縄張りでもある家の中に見知らぬ人がいる状態に強くストレスを感じる猫も多いです。
そのほかにも、新しい家族(猫、人間、他の動物問わず)が増えた時や引っ越しも猫にとっては非常に強いストレスになります。
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ランラン先生
猫にとって新しい家族が増えるというのは、強いストレスになります。新しい家族が猫であっても、人間であってもそれは同じなんです。外から猫の声がしたり、家にお客さんが来ただけでストレスを感じる猫もいるんですよ。
事例4スタッフ猫Dのストレスの話
最後に、同居猫の異変に強いストレスを感じてしまったスタッフ猫Dの話。
長毛の同居猫は皮膚トラブルの治療のため、全身をトリミングする必要がありました。薬を塗るために顔周りと尻尾を残してライオンのような全体的にさっぱりとしたビジュアルに…。当の本人はあまり気にしていないだけではなく、夏の暑い時期だったので涼しくなって快適だったみたいです。
ところがこの変化は同居猫のスタッフ猫Dにとってはとてもびっくりするものだったようで、おびえた様子で同居猫とは距離を置くように…。
それだけではなく、全体的に見た目が大きく変わったことで知らない猫に見えてしまったようです。
同居猫の見た目が大きく変わってしまってから、スタッフ猫Dはストレスを感じたのか今度はスタッフ猫Dが体の一部に脱毛が起きてしまいました。
トリミングをされた猫が強いストレスを感じてしまうのは分かるのですが、まさか同居猫の方に影響が出るなんて思いもしなかったので驚きでした。
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ナナ
ニンゲンでも、髪型が変わると別人に見えたりするでしょ~?そんな感じなのかも。あたちはよくわかんないけど~。
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ランラン先生
トリミングなどを行う際には、当事者である猫のストレスが気になるところですが、同居猫にも思わぬストレスを与えることがあります。臭いが大きく変わるシャンプーも同様かもしれませんね。神経質な性格の猫の場合は慎重な判断が必要かもしれません…。
猫のストレスとうまく付き合っていくために。
猫の健康維持のためには、なるべくストレスを感じさせないような環境づくりを行っていきたいものです。例えば、猫が暮らしやすい環境づくりの工夫として、猫が隠れる場所を作ったり、上り下りができるキャットタワーなどを用意するほか、トイレを清潔に保つ、安心できる場所にトイレを設置するなどを意識してみるのも良いかもしれません。
また、引っ越しや家族が増えるなど、あらかじめ猫にストレスを感じさせてしまう可能性が高い予定がある時には、少し前から動物病院に相談してみるのもいいと思います。神経質な猫には気持ちを落ち着かせる薬などを処方してもらえることがあります。
なるべく猫のストレスにならないように暮らしたいものですが、それでも猫がストレスを感じてしまうケースもありますので、そんな時には思い切り猫と遊んだり、オヤツを楽しんでもらうなど、別の方法で発散してもらうのもストレスとうまく付き合っていくコツになります。ときどき、マタタビやキャットニップを使ってみるのも良いストレス発散になるかもしれません。
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おわりに
本日は、猫とストレスについてご紹介しました。
猫の体調に影響を与えるストレスですが、私たち以上に猫は様々なものにストレスを感じているのかもしれません。猫の行動や様子が「変だな」と感じたら、動物病院に相談してみることが最優先ではありますが、それでも異常が見つからない場合にはストレスのケアを行っていくことがポイントになるケースも多いです。最近、猫にストレスを感じさせるようなことがあったようであれば、その原因を振り返ってみるのが良いかもしれません。
猫のストレスの原因はなかなか特定しにくいものも多く、どんなことがストレスになるかは猫によるという面も大きいと思います。それぞれの猫の性格や暮らしの環境など、注意深く観察してみてくださいね。
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