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2021.03.18

猫の目はなぜ光るの?どんなトラブルに気を付けるべき?猫の目のアレコレ

猫の目はなぜ光るの?どんなトラブルに気を付けるべき?猫の目のアレコレ


私たちの心を惑わせる猫の美しい目。見事なカーブを描く大きな猫の目は、美人の目を表す言葉としても使用されます。そして猫の瞳の色もさまざまで、まるで宝石のような輝きを持っていますよね。
思わず見とれる猫の目のちょっと気になるヒミツと、気を付けたい目の異常についてまとめてみました

猫の目はなぜ光るの?

暗いところで猫の目が光ることをご存知の方は多いと思いますが、これっていったい何故なのでしょうか?
それは猫の目の構造が人間と違っていることが関係しています。

私たち人間も猫も、物を見る時には光を目に取り込み、網膜という部分に映った像を認識しています。光の量が多すぎても見えませんが、基本的には物を観る時には光が不可欠。
しかし、猫は夜行性(厳密には「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」)の傾向が強い動物(人間と暮らしていると家族に合わせることが多くなり、昼間に行動する子もいます)ですが、夜の暗闇の中では光の量がぐっと少なくなります。

光の量が少なくなると、必然的に物をみることが一気に難しくなります。そこで、少ない光の量でも物を良く見えるように、猫は目の中に光を反射するタペタムと呼ばれる膜を持っています。タペタムに光を反射させることで、わずかな光を2倍にして暗い中でも物を見ることができるようにしているのです。

暗い場所ではこのタペタムに反射した光が猫の目が光っているように見えている、という訳です。

とはいえ、猫の目は物にピントを合わせるのはあまり得意ではないといわれていて、大まかにしか見えていないというのが実際のようです。

代表的な猫の目のトラブルの例

猫は視覚だけではなく、小さな音やニオイ、わずかな空気の振動などさまざまな感覚器でものを把握していますから、視覚だけが特別重要というわけではありません。
でも、やはり可愛らしい猫の目の健康維持は意識したいもの。家庭での暮らしでたびたび見られる猫の目に関するトラブルについて簡単にご紹介します。
基本的に猫の目のトラブルは私たち家族で処置をすることは難しいので、長期間目に異常が見られるようであれば動物病院で相談してみましょう。

 

■物にぶつかったり、猫同士のじゃれあいで傷がついた、眼圧が一時的に変化した

遊び好きな猫や子猫の場合、家の中を走り回ったりして勢いあまって壁や家具などに顔をぶつけることがあります。この時の衝撃で、猫の目の表面に傷がついてしまう可能性があります。猫の目は前に大きなカーブを描いていますので、とても傷つきやすいのです。
猫の目の表面に傷がつくと、明るい場所でも瞳孔の大きさの調節が上手くできず、明るい場所でも目が光って見えることがあるようです。

また、ぶつかった衝撃で目の中を満たしている液体(房水)の圧力が変化してしまい、いわゆる眼圧が高くなっていることで一時的に目の奥が光っているように見えることがあります。
通常であれば、自然に房水が排出されて眼圧は徐々に戻っていくのですが、この状態が数日間続いているようであれば、動物病院で検査を受けるようにしましょう。

 

■まつげや異物が入ってしまった

猫の目の中にまつげや異物が入ってしまうこともあります。この時、猫の瞬きの回数が増えたり、目が閉じにくそうに見える、猫が目元を気にするような仕草がみられるなどの変化が起こることがあります。また、涙や目やにの量が増えて涙やけのような状態になることもあります。

とくに目が大きく飛び出している短頭種の猫では、目の表面が傷つきやすい傾向があるので注意が必要です。
通常であれば、涙や瞬きによって異物が洗い流されて自然に回復することが多いのですが、目が大きい猫などでは目の表面が乾燥しやすく、上手く異物を取り除けないこともあります。

猫の目はとてもデリケートで繊細です。猫の目の中に異物を見つけたとしても、取り除こうとはせず、しばらくは自然に取れるのを見守るのがベストです。
翌日になっても汚れが残っていたり、涙の量が増えている、白目の部分が充血しているなどのサインが見られたら病院で相談しましょう。

DOG's TALK

猫の涙が多い状態が続くと、涙やけの原因となります。涙焼けを起こす背景には、涙を鼻に流す鼻涙管と呼ばれる管が生まれつき通りが悪い場合や、涙のpHが関係しているケースもあります。いずれにせよ、こまめに涙を拭きとったりすることが対策になります。

■病気によるもの

目の奥の違和感が猫の病気のサインになっていることもあるようです。ウイルス性の猫風邪によって、涙の量が増えるほか結膜炎などを引き起こし、一時的に眼圧に変化が見られている場合や、瞳孔を開いたり閉じたりする括約筋の動きが悪くなっている場合には、目の奥が光っているように見えることもあります。また、体調不良から瞬膜と呼ばれる眼頭側の眼球を保護する白っぽい膜が出たままになっていたりすることもあります。瞬膜は健康的な猫でも見えることがありますが、通常であれば出たままということはありません。元気がなく、瞬膜が出た状態が続いているようであれば、動物病院で相談してみてくださいね。

■ 明るい場所でも猫の目が光っている?そんな時は

本来であれば猫の目は暗い場所では光を多く取り込むために瞳孔を開きますが、それが明るい場所でも見られることもあります。健康的な猫であればオモチャで遊んでいる時や、オヤツを楽しむときなどにも瞳孔が大きく丸くなることがありますよね。
でも、その状態がずっと続いているようであれば、病気の可能性があります。
瞳孔の大きさを調節する目の中の機能に何らかのトラブルが起きて、光の量に合わせて瞳孔をコントロールできなくなっている場合と、そもそも光の量の変化を検知することができなくなっている場合が考えられます。これらのケースでは、すみやかに動物病院での治療が必要になりますので、猫が明るい場所で瞳孔を大きく開いて、光がタペタムに反射して目の奥が緑に見えたりする状態が続くようであれば、精密検査を受けてみることをオススメします。
猫の健康管理には、私たち家族が早い段階で異常に気付くことが大切です。

おわりに

猫の目の奥が光るのはタペタムという暗い場所でも良く見えるようにするための膜の存在によるものです。これも猫が野生でたくましく生き延びるために身に付けた進化のひとつです。
本来であれば暗い場所で光るはずの猫の目ですが、明るい場所でも目の奥が光っているように見えるようであれば、トラブルのサインの可能性があります。私たち家族が早めに気が付くことができれば、それだけ早く治療や対策をすることができるようになりますので、こまめに猫の目をチェックしてみてくださいね。
猫の目はとてもデリケートな器官です。違和感があったとしても家庭での治療やケアは危険なので、触れないようにして動物病院で指示を受けるようにしてください。