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2020.01.09
ドライ、セミモイスト...形や目的で種類が異なるキャットフードを使い分けるコツ
一般的に猫のごはんといえば、猫と暮らしている方の間で「カリカリ」と呼ばれているドライフードを選ぶ方が多いですよね。しかし、キャットフードにはドライフードのほかにも、食感や形状が異なるフードがいくつか存在します。猫のライフステージや健康状態によって、それらを使い分けると猫の健康維持や食事選びの際に役立ちます。
そこで今回は、キャットフードの種類と特徴、フードのタイプの選び方とそれぞれの特徴を活かした使い方についてご紹介します。
キャットフードの種類
キャットフードには大きく分けて、ドライフードとウェットフードの2種類となりますが、「セミモイストフード」または「ソフトドライフード」と呼ばれる、ドライとウェットタイプの2種の特徴を持つフードも存在します。
それでは、フードそれぞれの特徴を見ていきましょう。
■ドライフード
猫の主食として人気のあるドライフードの多くは、猫に必須の栄養素がバランスよく配合されている「総合栄養食」です。
湿気や脂質の酸化に注意すれば長期間の常温保存が可能で、ウェットフードなどに比べると開封後の保存期間が比較的長いほか、猫の必須栄養素を総合栄養食タイプのドライフード+水でカバーできる、というメリットがあります。また、ウェットタイプと比べ歯石が付きにくいため、その特徴に着目し、口腔内の衛生管理にも役立つ機能性成分を配合したタイプのフードも存在します。
しかし、ウェットフードやセミモイストフードと比べて水分の含有量が少ないため、水をあまり飲まない傾向の猫の場合は水分不足になることもあります。その場合は、清潔で飲みやすい水飲み場の水を確保するだけではなく、オヤツや副食としてのウェットフードなどで水分補給を意識してみてください。
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ゴロー
これはボクちんも食べているご飯でありますね!噛んでいるとなんだか楽しい音がするであります。
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ムー
カリッ、カリッ…。この音と味わいがたまんないのよね~。ムーも大好きよ。あっ、オヤツの次に、かしらね♪
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ランラン先生
ドライフードのメリットとして、ある程度であれば、フードボウルに出しておくことができるということもあります。ちょこちょこと何度かに分けて食べることが好きな猫には良いですね。
■ウェットフード
缶詰やレトルトパウチ状のものが多いウェットフードには、素材がそのまま入っているフレークタイプやパテタイプ、スープタイプなど、「内容物」がさまざまな形状のものがあります。猫たちの好みに合わせて選ぶ楽しみがあるのも、ウェットフードの魅力のひとつかもしれません。
ウェットフードの最大のメリットは、水分含有量が高いため、ごはんを食べながら自然に近い形で水分補給ができるというという点です。猫たちは野生の状態では、獲物の生肉から水分を摂取することが多かったといわれています。猫にしてみれば、水分量が多い食事で必須の水分を補う食生活こそが、自然な形だといわれています。
また、具の種類も豊富で香り高いものが多く、猫の嗜好性がとても良いものが多いため、食が細い猫や食欲が落ちた高齢猫、病気の療養中の猫にも向いています。
ウェットフードの中には「総合栄養食」のものも存在します。総合栄養食タイプではない、栄養補助食タイプのウェットフードだけを与えていると、栄養が不足してしまうケースもあるようです。猫の主食としてウェットフードを選択するのであれば、総合栄養食のものを選ぶか、総合栄養食タイプのドライフードと合わせて与えるようにしましょう。
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王子
僕は膀胱炎とかおしっこトラブルになっているときは、総合栄養食タイプのウェットフードを食べているのだ。たしかに良い香りがしておいしいのだ。
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ランラン先生
水分補給がポイントになる病気の治療中の場合は、ウェットフードが助けになることも多いですし、ウェットフードに薬を混ぜて気づかないうちに飲ませるということもできますよ。
■ソフトドライフードとセミモイストフード
ソフトドライフード、セミモイストフードとは、いずれもドライとウェットフードの中間に位置する、半生状のフードです。
ドライよりも水分含有量が多いため、やわらかく食べやすいという特徴があります。そのため子猫の離乳食として、また病気の猫の療養食、老猫の介護食などに適しています。
こんな時には〇〇タイプが役立つ!特徴を活かすポイント
前述の通り、キャットフードには多くの形状や種類がありますが、ライフステージや健康状態に合わせて、フードタイプを使い分けるのがオススメです。
幼猫期~成長期の猫の食事は、「成長に必要な豊富な栄養」と「消化吸収の良さ」が重要なポイントとなるため、総合栄養食のウェットフードがおすすめです。もちろん、ドライフードでも子猫用の高栄養タイプのものを使えば問題ありません。まだ離乳後間もない子猫であれば、ぬるま湯でふやかしてから与えるなどの工夫をしてみてください。
猫の成長速度には個体差がありますが、1歳を迎える前後頃から成猫用のフードへの切り替えを検討する方が多いようです。
1歳以降の維持期は、猫の必須栄養素を網羅している総合栄養食のドライフードやウェットフードを主食とし、オヤツや副食を与える際の栄養バランスを調整しながら食事を楽しめます。もちろん、与えすぎは肥満などの原因になるので注意が必要です。
全身の筋肉が衰え運動量も落ちる高齢期の猫たちは、若いころと比較して食欲が低下します。もちろん、これは加齢に伴う自然な変化なのですが、全く食べなくなってしまった場合などには嗜好性の高いウェットフードやセミモイストタイプのものを選ぶのも良いですね。
また、成猫でも病気療養中などは食欲が低下しがちです。さらに口腔内の病気にかかってしまうと、たとえ食欲があってもドライフードは食べづらいため、その場合も、ウェットやセミモイストなどのやわらかいタイプのフードが適しています。
そのほかにも、水分不足が原因の便秘や膀胱炎、下部尿路結晶などのオシッコトラブルがある場合は、水分量が豊富な総合栄養食タイプのウェットフードを主食とすることがオススメです。
このように、猫のライフステージや健康状態に合わせフードタイプを切り替えることで、必要な水分量や栄養素を摂取させやすくなります。
それぞれの特徴を理解した上で、ぜひ上手に使い分けてみてくださいね。
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ナナ
ふ~ん。いろいろあるんだ~。あたち、難しいことわかんないけど、あたちたちの体調管理のためにゴハンの工夫してもらえるのはうれしいかも~。
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クリ
クリはねえ、色々なおいしいごはんが食べさせてもらえるだけで幸せだな~。お腹減ってきちゃったよ~。
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ランラン先生
とはいえ、上記の例はあくまで参考程度です。猫の好みによっては食べなくなってしまうこともありますし、体質によってはフードの切り替えによってかえって体調を崩してしまうこともあります。フードを切り替えたり、変更したりする際には徐々に変えるようにすることが大切です。
おわりに
今回は、キャットフードの種類と特徴、フードのタイプの選び方についてご紹介しました。
キャットフードにはドライだけでなく、ウェットやセミモイストタイプなどのさまざまな食感・形状のものが存在しますが、猫の毎日の食事の主食として選ぶのであれば「総合栄養食」のフードになります。
また、猫のライフステージや健康状態に合わせキャットフードを切り替えたり、使い分けたりすることも、猫の健康維持のためには大切なことです。