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2019.10.17

猫の体の謎 猫のヒゲは感覚器?その仕組みって?《cat academy第1回》

猫の体の謎 猫のヒゲは感覚器?その仕組みって?《cat academy第1回》


私たちのそばで暮らす猫たち。毎日見ていても飽きないくらい、全身の至るところが可愛らしく、魅力的ですよね。まるで私たちを魅了するために生まれてきたような生き物、猫ですが、そんな猫たちの体のパーツひとつひとつを見てみると「あれ?」と気になることはありませんか?
「なんでこんな形なんだろう?」「これはなんのためについてるの?」など、猫の身体にまつわるちょっとした謎(にゃぞ)について調査してみました。


今回取り上げる謎(にゃぞ)は「猫のヒゲ」についてです。

第1の謎(にゃぞ)猫のヒゲは生えている場所で名前が違う?

猫たちのヒゲと聞いて、皆さまはどんなものを思い浮かべますか?口周りに生えているしゅっとしたものから、頬に生えているもの、眉毛のようにまぶたのあたりに生えているものなど…。思い返すと猫の顔には結構いろいろな場所からヒゲが生えています。
学術的には、センサーのように働く毛をまとめて洞毛(どうもう)と呼び、感覚に関する毛状の器官はすべて洞毛とされています。

そこで今回は猫たちのキュートなヒゲの呼び名をご紹介します。

・上唇毛(じょうしんもう)
鼻の下から口元にかけてのヒゲのこと

・頬骨毛(きょうこつもう)
猫の頬辺りで地面と水平に生えているヒゲのこと

・口角毛(こうかくもう)
猫の口の端から生えているヒゲのこと

・上毛(じょうもう)
猫のまぶたの上辺り、眉毛とも呼ばれるヒゲ

・頭下毛(とうかもう)
顎から生えているヒゲ。水を飲んだあとなどに雫がついていたりする

今回は猫たちの顔周りから生えている毛で、特に太くしっかりとしていて、感覚器としての機能を持っているものをヒゲと定義しました。

続いて、猫のヒゲの仕組みを見ていきましょう。

第2の謎(にゃぞ)猫のヒゲはセンサー?どうやってどんな情報を感知するの?

よく言われる「猫のヒゲはセンサー」という言葉。でもどうせなら、どんな仕組みで猫たちのヒゲがセンサーとしての役割を果たしているかまで知りたくはありませんか?(私は知りたい)
そこで、猫たちのヒゲの仕組みをご紹介します。


猫のヒゲは他の被毛と比べて太く長いという特徴がありますよね。表面からは見えませんが猫のヒゲは他の被毛とは異なり、特に毛根付近には感覚神経や血管が密集しているほか、ヒゲを動かすための毛根周辺の筋肉が発達しています。特に、ヒゲの根元に存在する神経の数は普通の被毛の数十倍以上ともいわれているので、相当鋭敏な感覚を持っていると言えるのではないでしょうか。

猫たちは顔周辺に長いヒゲを伸ばすことで、微細な空気の流れの変化や障害物などのほんの少しの動きまでもを感じることができるのだそうです。これはヒゲの根元にある神経や血管が、特に敏感にそれらの振動や変化を感じ取ることができるように進化したからこそできるワザ。
猫たちは、ヒゲを通して私たちには見えない情報などもしっかりと見えて(感じて)いるんです。

たまに猫が何もない空間を見つめていたり、壁に話しかけたりしているのも、もしかするとこのセンサーが何かを感じ取っているからなのかもしれません。

■ 豆知識:猫のヒゲは前足にも生えている

実は猫たちの前足にも洞毛が生えています。ここでもやっぱり感覚を感じることができるよう神経が発達していて、振動や空気の流れの変化などの情報を敏感に感じ取ることが可能なのだそう。
一部では猫たちがこの部分にも洞毛を発達させたのは、地震予知などが可能になるためなのでは?といわれているとか、いないとか…。

第3の謎(にゃぞ)猫のヒゲは切ってはいけない?

スタッフのマエダ家ではこのように大量に猫のヒゲを集めていました。本人いわく「コレクション」とのこと。3匹もいるとこの量に…。

スタッフのマエダ家ではこのように大量に猫のヒゲを集めていました。本人いわく「コレクション」とのこと。3匹もいるとこの量に…。

猫のヒゲは感覚と同じくらい繊細な動きをすることができる部位でもあります。例えば、周囲の情報を得るときにも、気になる場所に向けて器用にヒゲを少し動かすことがありますよね。また、猫といえば狭い隙間をするーっと通ったりしますが、その際に「ここは通れるかな?」と確かめる際にもヒゲから得られる情報で、通れる/通れないの判断を一瞬にして行っているといわれています。

野生時代の猫たちにとって、ヒゲはまさに「生きるために必要不可欠な器官」だったといえるのかもしれません。猫たちの瞬間的な判断力、そして優れた身体機能を支える縁の下の力持ち的な役割がヒゲだったのです。
猫たちの素晴らしい能力を最大限活かすために、ヒゲは必要なものなので猫たち自身のプライドや自尊心、そして「猫らしさ」を守るためにも切ったり抜いたりせずに、ありのままを愛でてあげましょう。
たまに寝癖がついていたり、食べかすがついていたりするのも、猫たちに可愛らしいヒゲがあるからこそなのです。

また、私たちと暮らしている猫たちはヒゲの動かし方で感情を伝えているとも言われています。例えば、遊んでいたり興味があるものに対しては、上唇毛(じょうしんもう)を前に突き出して、さまざまな情報を得ようとします。「これなに!?これもっと知りたい!」という猫たちの好奇心が良く現れている仕草といえますね。
また、猫たちのヒゲからもゆったりと力が抜けている時はリラックス状態であるほか、怒っている時には思いっきり顔に沿うようにぺったりと倒れます。
猫たちのカワイイ反応を楽しめるのもヒゲのおかげ。ぜひとも、そんなヒゲは切らずに大切に可愛がるだけではなく、抜けたものは記念(?)として保存してみてはいかがでしょうか。

DOG's TALK

さて、猫たちの口元~頬のヒゲを英語ではwhisker(ウィスカー)と呼びますが、英語の慣用表現には、“素晴らしいもの、とっても良いもの”という意味で”cat’s whiskers”というものがあったりもします。

やっぱり猫のヒゲって素晴らしいものだということですね。

皆さまと一緒に、素晴らしい”cat’s whiskers”を探せるとうれしいです。